(2020年10月26日更新)「Microsoft Office(マイクロソフト オフィス)」はビジネス文書の作成には欠かせないアプリだが、決して安くはない。そこで活用したいのが、無料で使える「Web版 Office」だ。マイクロソフトアカウントさえ用意すれば、ブラウザー経由でオフィス文書の閲覧や編集などをこなせる。Office環境が急きょ必要になるケースも多いと思うが、Web版Officeを活用すれば、オフィス文書の閲覧を始め、ちょっとした編集作業も十分こなすことが可能だ。

無料の「Web版Office」とは?

ブラウザーを介して使える「クラウド版」Office

「Microsoft Office」は文書や表計算、プレゼン資料などを作成できるアプリだ。Officeには買い切りのパッケージ版のほか、1ヵ月や1年単位で利用できるサブスクリプション版があるが、当然、いずれも有料となる。

有料版Officeの価格

名称形態価格利用できるおもなアプリ
Microsoft 365 Personalサブスクリプション
(定額課金)
1万2984円(年額)
1284円(月額)
Word、Excel、
PowerPoint、OneNote、
Outlook、
Access (Windowsのみ)、
Publisher (Windowsのみ)
Office Home & Business 2019買い切り3万8284円Word、Excel、PowerPoint、
Outlook
Office Personal 2019買い切り3万2784円Word、Excel、Outlook

必需品と割り切って購入するのも手だが、ちょっと利用する程度で大枚をはたくのをためらってしまう気持ちもよくわかる。

そこでオススメしたいのが、ブラウザーを介して利用できる「Web版Office」の活用だ。

Web版Officeは「Edge」などのブラウザー上で動作する。

パッケージ版やサブスクリプション版とは違って、このWeb版Officeはなんと「無料」で提供されている。利用に際して必要な「マイクロソフトアカウント」も同じく無料で取得可能。製品版より利用できる機能こそ少ないが、ちょっとしたドキュメントの作成程度なら問題なくこなせる。

さらに、オフィスを手掛けるマイクロソフト自らが手掛けるサービスだけあって、オフィス文書の互換性も極めて上々。資料のやり取りなどでオフィス文書の閲覧がどうしても必要なケースも多いと思うが、そうした用途でも極めて役立つ。

全5種類のOfficeアプリを利用できる

Web版Officeで利用できるアプリは全5種類。文書作成アプリの「Word」を筆頭に、表計算アプリ「Excel」、プレゼン文書作成アプリ「PowerPoint」、個人情報管理アプリ「Outlook」、さらにはデジタルノートアプリ「OneNote」と充実のラインナップを揃えている。もちろん、いずれのアプリも無料で利用可能だ。

Web版Officeでは、「Word」や「Excel」「PowerPoint」など、全5本のOfficeアプリを利用できる。

オフィス文書の新規作成はいうに及ばず、クラウドストレージの「OneDrive」経由にはなるが、別のパソコンで作成したオフィス文書の読み込みもこなせる。つまり、Web版Officeさえ使える環境があれば、どこでもオフィス文書の作成や閲覧を行えるというわけだ。

例えば、自宅のパソコンでエクセル形式のグラフに目を通したり、出先のパソコンでパワーポイント形式の資料を手直ししたりなど、さまざまな活用ができる。使い方を覚えておいてソンはないはずだ。

利用にはインターネット接続が必須

無料で使えるうえ、アプリの種類も豊富と、まさに良いこと尽くしなWeb版Officeだが、やはり弱点はある。それは、利用に際して「インターネット接続が必須」という点だ。

というのも、Web版Officeはネットワーク経由でアプリやデータが提供される「クラウドサービス」の体裁を採っているため、オフライン状態ではオフィス文書の編集はおろか、閲覧すらまったく行えないからだ。

オフライン状態では接続エラーが表示されて利用できない。

とはいえ、いまどきネットがまったく使えないという環境はごく稀なケースだ。大きなデメリットにはなり得ないとは思うが、喫茶店や図書館など、ことに出先で利用する場合は、ネット環境の有無を事前に確認しておいたほうがいいだろう。

有料版より使える機能は少ない

これも無料ゆえ致し方ないが、Web版Officeは有料版と比べて機能が制限されている。例えば、Web版Officeの「Word」は装飾機能が少ない、「Excel」ではマクロが使えないなど、思いのほか機能面の違いは大きい。

つまり、本格的なオフィス文書を作成するには、Web版Officeは少々力不足ということだ。

画像: Web版Officeではリボンも簡略化され、利用できる機能が制限されている。

Web版Officeではリボンも簡略化され、利用できる機能が制限されている。

もっとも、これは逆説的にいえば、ドキュメントの閲覧や文書のちょっとした校正、下書きの作成、数値入力といったごく軽めな用途であれば、Web版Officeでも十分事足りるともいえる。

例えば、Web版Officeを使って資料のアウトラインを作成。その後、有料のOfficeを使って見栄えを整えた完成稿を仕上げる、といった具合に使い分けをするのもアリだろう

いずれにせよ、Officeを使える環境がひとつだけというよりは、多少機能は限定されていてもさらにもうひとつOfficeが使えたほうが、なにかと重宝することは間違いないはずだ。

「Web版Office」を起動しよう

まずは「マイクロソフトアカウント」を用意

「Web版Office」に限らず、マイクロソフトのオンラインサービスを利用するには、原則「マイクロソフトアカウント」と呼ばれる専用アカウントが必須となる。もちろん、Windows10の初期セットアップ時などに作成したマイクロソフトアカウントを流用しても構わない。

マイクロソフトアカウントがない場合は、マイクロソフトアカウントの公式サイトから取得可能だ。まずは下記のサイトにアクセスしよう。

マイクロソフトアカウント公式サイトはこちら

サイトにアクセスしたら、「Microsoft アカウントを作成」をクリック。

「アカウントの作成」では、既存のメールアドレスを指定できるほか、新しいメールアドレスを取得してマイクロソフトアカウントを作成することもできる。

どちらを選んでも構わないが、ビギナーの場合、新しいメールアドレスを取得してのアカウント作成のほうがオススメだ。

あとは画面の指示に従ってアカウント作成を完了しよう。氏名やパスワードなどを入力していくだけなので、特に難しいことはないはずだ。

起動方法はおもに3種類

マイクロソフトアカウントが準備できたら、さっそくWeb版Officeを起動してみよう。

Web版Officeの起動方法は、おもに下記の3種類がある。

・「Office.com」にアクセスする
・「Edge」のツールバーから起動する
・「OneDrive」からオフィス文書を開く

複数の方法があるとかえって混乱するかもしれないが、あくまで「Office.com」から起動するのが基本。残りの「Edge」や「OneDrive」経由の方法は、必要に応じて使えばいいという程度だ。

もっとも覚えておけばなにかと便利ではあるので、この機に3種類の方法を解説しておこう。

「Office.com」から起動する場合

まずは基本中の基本、「Office.com」からWeb版Officeを利用する方法を紹介しよう。

まずは下記のリンクからオフィスのポータルサイトにアクセス。

Microsoft Office 公式サイトはこちら

次に画面の「サインイン」をクリックする。

「サインイン」ウィンドウが表示されたら、マイクロソフトアカウントのメールアドレスを入力し、「次へ」をクリック。

マイクロソフトアカウントのパスワードを入力し、「サインイン」をクリックする。この際、2段階認証を設定している場合は、さらにスマホアプリやSMSなどで別途認証が求められる。

初回利用時はガイドが表示される。「→」をクリックして読み進めていくと、Web版Officeのホーム画面が表示される。

「Edge」のツールバーから起動する場合

Web版Officeは、Windows10の標準ブラウザー「Edge」のツールバーからも起動できる。いちいち「Office.com」にアクセスしなくて済むので、手間が省けるはずだ。

EdgeのツールバーにWeb版Officeの起動ボタンを追加するには、まず画面右上の「…」をクリックし、「拡張機能」→「Microsoft Edgeの拡張機能を検出する」を選択する。

画像1: 起動方法はおもに3種類

ブラウザーで「Edgeアドオン」ページが開いたら、検索ボックスに「Office」と入力して検索を実行する。

検索結果から「Office」の項目をクリックする。

「インストール」をクリック。

「"Office"をMicrosoft Edgeに追加しますか?」と表示されたら、「拡張機能の追加」をクリック。これでOfficeの拡張機能がEdgeにインストールされて、ツールバーにOfficeアイコンが追加される。

続いて、Edgeのツールバーに追加された「Office」アイコンをクリックし、「Microsoftアカウントでサインイン」を選択しよう。

アクセス許可画面が表示されたら「はい」をクリック。これでサインインが完了し、ツールバーのアイコンからWeb版Officeを起動できるようになる。

画像2: 起動方法はおもに3種類

「OneDrive」から起動する場合

Windows10にはクラウドストレージの「OneDrive」が標準搭載されているが、ここからもWeb版Officeを起動可能だ。

まず事前準備として、Web版Officeと同じマイクロソフトアカウントでOneDriveにサインインする。

次に、ファイルエクスプローラーを開いて、OneDriveフォルダー内にオフィス文書を保存し、ファイルを右クリックして「オンラインで表示」を選択する。

ブラウザーが起動して、Web版Officeでオフィス文書が表示される。

画像3: 起動方法はおもに3種類

「Web版Office」の使い方

オフィス文書を開く

Web版Officeには「オフィス文書の保存先はOneDriveに限定される」という制限がある。従って、有料版のオフィスとは違って、Web版Officeではパソコンに保存したオフィス文書を直接開くことはできない。つまり、オフィス文書の閲覧にしても編集にしても、まず事前にOneDriveフォルダー内にファイルを保存しておく必要があるということだ。

OneDriveへの保存方法は、Windows10ならファイルエクスプローラーのOneDriveフォルダー内にオフィス文書をコピーや移動するのがもっとも手っ取り早い。

ほかには、ブラウザーでOneDriveの公式サイトにアクセスして、オフィス文書をアップロードする方法もある。

OneDrive公式サイトの画面上部にあるツールバーの「アップロード」、もしくは画面へのドラッグアンドドロップでファイルを保存可能だ。

もう少し手間を省きたいなら、Edgeブラウザーにオフィス文書をドラッグアンドドロップしてそのまま開くという方法もある。

まず事前準備として、前節を参考にEdgeにOfficeの拡張機能をインストールしておく。拡張機能の導入が済んだら、拡張機能画面の「Office」項目下にある「詳細」をクリックしよう。

「ファイルのURLへのアクセスを許可する」をチェックすれば設定完了だ。

これでWeb版Officeの画面上にファイルをドラッグアンドドロップするだけで、OneDriveへのアップロードとともに、オフィス文書を表示できるようになる。

画像: オフィス文書を開く

オフィス文書を編集する

Web版Officeを使った文書の編集方法は、基本的に有料版に準する。文章の入力はもちろん、文字の装飾やレイアウトなどを行なって、文書を作成していこう。

ただし、記事中でも何度か言及したように、Web版Officeでは限られた機能しか利用できない。有料版オフィスのユーザーは少し違和感を覚えるかもしれないが、利用頻度の多い必須機能はしっかり揃えているので、アウトラインの作成や修正、閲覧程度なら程度なら不足を感じることはないだろう。

画像: Web版Officeの「Word」でも、フォントの種類やカラー、ボールドなど、基本的な装飾機能はひと通りそろっている。単に文章を入力するだけなら、有料版のOfficeと比べても不足はないはずだ。

Web版Officeの「Word」でも、フォントの種類やカラー、ボールドなど、基本的な装飾機能はひと通りそろっている。単に文章を入力するだけなら、有料版のOfficeと比べても不足はないはずだ。

オフィス文書を保存する

Web版Officeでは文書の自動保存機能が備わっているため、それほどファイル保存に注意する必要はない。

文書を編集するたびにデータが自動保存される。

ただし、保存先はあくまでOneDriveのクラウドストレージのみとなる。外部に持ち出す必要がある場合などは、後ほどOneDriveからコピーすればいいが、文書の編集後、直ちにパソコンやUSBメモリーなどに保存したい場合もあるだろう。

そんなときは、まずファイルメニューの「ファイル」をクリック。

次に、「名前をつけて保存」をクリックし、「コピーのダウンロード」を選択しよう。これで作成したオフィス文書をパソコンのストレージやUSBドライブなどに直接保存できる。

オフィス文書を共同編集する

Web版Officeの最たる特徴として、複数ユーザーによる共同編集に対応する点がある。例えば、作成した資料をほかのユーザーに校正してもらったり、仲間うちで旅行計画プランを出し合ったりなど、アイデア次第でさまざまな活用ができるはずだ。

文書の共有方法は、まず画面右上の「共有」をクリック。

リンクの送信ウィンドウが開いたら、共有したい相手のメールアドレスを入力し、「送信」をクリックしよう。これで相手に文書の共有リンクが送信され、共同編集が行えるようになる。

ちなみに、初期設定では、共有文書はリンクさえ知っていれば誰でも編集可能な状態になっている。閲覧のみに変更したい場合は、まず「リンクを知っていれば誰でも編集」をクリック。
次に、リンクの設定ウィンドウで「編集を許可する」のチェックを外すと、編集が禁止されて閲覧のみが可能となる。

さらに、文書の編集(閲覧)可能な有効期限や、パスワードも設定可能だ。

「Web版Office」のメリット・デメリット

オンライン版Officeは「Office Online」などと名称を変えつつ、長く変遷を重ねてきた。正直なところ、初期バージョンの頃は荒削り感が強く、使い勝手もイマイチだったが、今回紹介する「Web版Office」にして、ようやく実用的なOffice環境としての第一歩を踏み出したと感じる。

もちろん、無料サービスのため、機能面では有料版には及ばないが、それでもクラウドサービスならではの強みもある。

そのひとつが「マルチデバイス対応」で、ネット環境が使えるパソコンがあれば、どこでもオフィス文書の編集や閲覧が可能。例えば、出先のネットカフェのパソコンでオフィス文書を閲覧したり、知り合いからノートパソコンを拝借して内容を訂正したりするのもいたって簡単だ。

また最近は、Office互換アプリを使用している人も多いが、マイクロソフト純正のOfficeと比較すると文書ファイルの互換性はさほど高くはない。最悪の場合、文書のレイアウトが崩れてしまって内容を把握できない場合すらあるが、高い互換性を備えたWeb版Officeなら、そうしたリスクを回避して正確なレイアウトでオフィス文書を表示できる。

インターネット接続が必須だったり、ファイルの保存先がOneDriveに固定されていたりなど、制限も決して少なくないが、それでも基本的にパソコンさえあればOffice環境が手に入るというのは実に太っ腹だといえる。それに機能が限定されているぶん、ビギナーにも扱いやすいので、これからOfficeを覚えようという人向けの入門用としてもオススメだ。

Web版Officeのおもな特徴

【メリット】
・無料で使える(個人利用の場合)
・ネットが使えるパソコン環境があればOK
・レイアウトの再現性が高い

【デメリット】
・ファイル保存先はOneDrive限定
・基本的な機能しか使えない
・インターネット環境が必須
・商用利用は法人向けMicrosoft365のライセンスが必要

まとめ

「いくら無料でも低機能なのはちょっと……」とためらう人もいるかもしれないが、そもそもOfficeの全機能をフル活用している人は稀だ。無論、有料版があればそれに越したことはないが、職場や自宅などのパソコンすべてにOfficeを導入しようとすると、当然かなりの費用が掛かる。
しかし、「下書きは自宅パソコンのWeb版」「清書は有料版」といった具合に作業の内容によって使い分けるようにすれば、有料版が必要なシーンは大幅に減らすことが可能だ。

ペーパーレス化の推進により、Officeが必要な場面は増えてきているが、だからといって考えなしに購入するのは決して賢いやり方とはいえない。無駄な出費はできる限り抑えて、そのぶん浮いたお金をパソコンやデスク周りの改善に回すのもアリだろう。

【2020年10月26日追記】
記事初出時、Microsoft Officeの商用利用権について言及がありませんでしたが、Web版Office(Office Online)の商用利用には法人向けMicrosoft365のライセンスが必要となります。Web版Officeの無償利用は、個人用途に限ります。今回、当該部分を訂正させていただきました。ご迷惑をお掛けした読者の皆さま、ならびに関係各位に深くお詫び申し上げます。

◆篠原義夫(フリーライター)
パソコン雑誌や家電情報誌の編集スタッフを経て、フリーライターとして独立。専門分野はパソコンやスマホ、タブレットなどのデジタル家電が中心で、初心者にも分かりやすい記事をモットーに執筆活動を展開中。

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