専門家によると、毎日または定期的に使い続けることで弱ってしまったバッテリーの充電能力は、元に戻すことはできないそうだ。自分でバッテリーを交換できない機器なら、機器ごと買い替えるのでなく、有償でメーカー修理に出してバッテリー交換することも可能だ。
弱くなったバッテリーを元に戻す方法はある?
読者からの質問
バッテリーのみで動く製品では、長期間使っていてバッテリーが弱くなると、稼働時間が極端に短くなったりします。このような場合、そのバッテリーの充電力(?)を元に戻す方法はありませんでしょうか? それとも「買い替えるしかない」とあきらめるべきなのでしょうか?(K.Nさん 秋田県 45歳)
編集部:
この質問は、フリーライターのさんに聞きます。バッテリーの能力を戻す方法はあるんでしょうか?
専門家の回答
専門家:
「毎日、または定期的に使い続けることで弱ってしまったバッテリーの充電能力は、元に戻すことはできません。自分でバッテリーを交換できない機器なら、まずは機器ごと買い替えるのでなく、有償でメーカー修理に出してバッテリー交換することも検討しましょう」
編集部:
バッテリーの寿命って、どのくらいの期間なんでしょうか?
専門家:
「スペック表などに書いてありますが、リチウムイオン電池の場合、これがわかりにくい書き方になっているんです。例えばiPhoneの場合、スペックとして『フル充電サイクル500回で、本来の容量の80%を維持』と記載されています。このフル充電サイクルが肝です。
簡単にいうと、『500回』は、電池の容量の500倍の電気を放電(出力)することを表しています。
何回充電したかとか、1回の充電で半分充電したかフル充電したかということは全然関係なく、例えば、容量3000ミリアンペア(mAh)のバッテリーなら、充電→使用を繰り返し、累計150万mAh(元容量の500倍)の電力を出力した時点で、フル充電で2400mAh(元の容量の80%)の電気をためられる能力が維持されているという意味になります。
容量が80%だと、まだ機器としては使えますが、そこから急速に劣化が進む場合が多いですね。24時間、常に稼働しているスマホを例にすると、iPhoneを常用している筆者の体験では、だいたい3年から4年でバッテリーが使い物にならなくなります」
編集部:
充電頻度で、使用できる年数は変わるんですね。
専門家:
「そうです。毎日充電する機器と1週間に1回充電する機器では、バッテリーが使えなくなる日は7倍先と考えればいいでしょう。
でも、バッテリーを使わないで長期間放置すると、自然放電という要因でバッテリーが壊れます。特に、バッテリーを使い切った状態、つまり残容量ゼロの状態で放置すると、数ヵ月でバッテリーが不活性化してしまい、充電しても電気がたまらなくなります。
こうなったバッテリーは使用回数に限らず、『寿命』確定です。フル充電のまま保管するのもバッテリーの内部構造に負担がかかり、性能が劣化するので、長期保存時は事前に60%程度は充電しておき、1年1回程度の頻度で60%を維持する追加充電をするといいでしょう」
編集部:
バッテリーは生もののようにデリケートな部品なんですね。ありがとうございました!