今、片づけが苦手な子も大丈夫!親はついイライラしてしまいますが、ちょっとした法則さえ押さえれば、自然に子どもがやる気になります。片づけは子どもの能力や才能を伸ばす絶好のチャンスです。地頭力がつくられる小学生のうちに片づけから生きる知恵を学びましょう。【解説】カール友波(お片づけプレゼンター)
著者のプロフィール
カール友波(となみ)
大阪芸術大学デザイン学科インテリア専攻卒業。整理収納アドバイザー1級。整理収納アドバイザー2級認定講師。子育てが一段落した後、大手家事代行会社のお片づけ部門を立上げ、様々なお客様のニーズに応えながら整理収納サービスに邁進。独立後、埼玉県内、都内、首都圏を中心に整理収納アドバイザー2級認定講座、「親子で学ぶおかたづけ」などのセミナーを開催。「カールく明るくお片づけ」のキャッチフレーズで重苦しくなりがちなお片づけがその人なりのペースでできると評判を呼ぶ。日本ではじめて生涯教育としてのお片づけ=「かたいく」を提唱し、普及に努めている。
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▼リアルおかたづけ(ブログ)
▼カール友波(Facebook)
本稿は『子どもがどんどん整理整頓したくなる!お片づけ帖』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。
整理整頓で身につく3つの力
(1)段取り力
効率のよい片づけをするためには、合理的な行動手順を考える力が必要とされます。例えば、いきなり掃除機を持ち出して掃除するより、先に、床に散らかっているおもちゃを片づけてからの方が効率がよいというもの。片づけの手順を考えることによって、物事の優先順位を考える力が育ちます。
(2)決断力
片づけをしていると、捨てるのか? 取っておくのか? どこにしまうのか? と、さまざまな選択を迫られます。こういった小さな決断を繰り返すことで、大きな選択を迫られた時に、戸惑わない決断力が育ちます。また、小さな失敗を繰り返すことで、軌道修正力やくじけない強い心も育ちます。
(3)モノを大切にする力
思い入れのあるモノを手放す時は、子どもなりにいろいろなことを感じています。片づけは単なる家事ではなく、自分の持ちモノとしっかり向き合う気持ちを育てます。今あるモノを長く大切にする心がめばえ、またそれは、人を大切にする心にもつながっていきます。
心もぐんと育つ!「玄関の靴」整理整頓の仕方
子どもが「自分からそろえたくなる」しかけ
できるかどうかで育ちが判断されることもある靴そろえ。しつけとしてだけでなく、靴をそろえる行為は「脚下照顧(きゃっかしょうこ)」という禅宗の標語が意味するように、「自分の足下を見つめ、自分の行為を振り返る」という心を整える効果もあります。ここでは子どもが無理なく靴がそろえられるようになるしかけをご紹介します。
靴を脱ぎ捨ててしまう癖は子どもが小さいうちに直しておきたいもの。口うるさく言ったり、大人がなおしてあげたりしているとなかなか身につかない……。
Step(1)チョークで靴形の絵を描く
しかけのポイントは視覚に訴えること。靴をどこに置くかタタキにチョークでマークをつけよう。チョークなら、いつでも消せて掃除もラクちん。
Step(2)絵の上に靴を置く
きょうだいによって、靴のイラストの表情や色を変えるなど工夫してみよう。
Step(3)いつの間にかそろえて置くようになる!
視覚に訴えるしかけは、言葉で伝えるより子どもには効果的。チョーク以外でも、テープで靴を置く位置に一本線の目印をつけるなど、やりやすい方法でぜひお試しを!
効果バツグン!やる気を起こす「片づけスイッチ」
今片づけが苦手な子も大丈夫!ちょっとした法則さえ押さえれば、自然に子どもがやる気になります。
法則(1)ゲームにして楽しく
子どもは自分が「楽しい!」と思ったことは、親が止めても延々とやり続けます。この性質を利用し、片づけを楽しいイベントにしましょう。
法則(2)小さなことからスタート
子どもができそうな目標を設定することからはじめましょう。初めから多くを求めすぎないこと。ちゃんとできたらしっかりほめることが大切。
法則(3)なわばり意識を持たせる
子どもに自分だけのスペースを持たせましょう。なわばり意識が育つと、自分の場所をキレイに保ちたくなります。
法則(4)ごほうびは次のモチベーションに
片づけが終わったら、最後は必ず「楽しい時間」でしめましょう。そうすることで、「片づけ=楽しい」のイメージがつきます。
言わなくても片づける!片づけスイッチを「ON」にする知恵
大切なのは子どもが「自分からやること」。口うるさく言わなくても子どものやる気が起こる片づけスイッチの入れ方をご紹介!勉強や習い事にも応用できますよ。
シールで達成度を見える化
片づけができた日はカレンダーにシールを貼って、「シールが〇個たまったら遊園地に行ける!」「臨時おこづかいがもらえる」などのお楽しみをつくりましょう。カレンダーがシールでうまっていくことで、子どものがんばる気持ちや達成感を引き出すことができます。
「はずかしい!」を利用
高学年くらいになると、友達が遊びに来た時、自分の部屋が散らかっていると恥ずかしいと思うもの。その気持ちを利用して、片づけてほしいときは家に子どもの友だちを招待するのも手です。
競争心で本気度アップ
子どもは基本的に負けず嫌いなもの。それを利用して、きょうだいで片づけ競争をさせましょう! 一番には豪華ごほうび、ビリには罰ゲームなど、それぞれの家庭で楽しいゲームルールを考えましょう。家族みんなで参加するのもおすすめ。
写真や絵で1秒理解!
「読んでわかる」ではなく、「見てわかる」仕組みをつくりましょう。例えば、おもちゃ棚や洋服タンスの引き出しは、入っているモノの写真やイラストでラベルをつくるなど。小さい子にもパッと見てすぐわかりやすいのでかんたんに片づけができます。
子どもに選ばせて“自分事”に
収納家具や収納グッズなどは、子どものお気に入りを選ばせましょう。自分で決めたことで、グッズは子どもにとってのパーソナルスペースになるため、「しっかり片づけよう」という気持ちや自分のモノを責任持って管理する心を育てることができます。
ゲーム感覚で楽しく
怒って片づけさせても散らかりグセはなおりません。片づけをゲームにして楽しみましょう。ポイントは心から楽しむこと!
ほめて満足感をあげる
おもちゃをカゴに入れることができたなど、ささいなことでもできたらしっかりほめてあげましょう。子どもはお母さんやお父さんにほめられることが何よりの喜び。自信がつき、次もがんばろうという気持ちにつながります。
なお、本稿は『子どもがどんどん整理整頓したくなる!お片づけ帖』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。下記の本は、知りたい情報の全文がコンパクトにまとまった一冊です。詳しくは以下のリンクをご参照ください。