本機は、小型化ゆえの気になる点もあるが、高速連写、瞳AFなど実写性能は優秀だ。上面がフラットで、バッグに収納しやすい。実際に使ってみたところ、接近する列車を、AF/AE追従「最高10コマ/秒」で高速連写。連続撮影可能枚数も多く、AF追従性能も良好。いい瞬間をとらえられた。
今回のテストアイテムはこちらソニー「α7C」
実売価格例:22万9900円(ボディ)
●プロフィール
光学式ボディ内手ブレ補正機構を内蔵したフルサイズミラーレスで世界最小・最軽量をうたう。AFや連写などの基本性能が高く、6K相当の情報を凝縮した高解像4K動画記録も可能。ロングバッテリー性能も実現している。
SPEC
●撮像素子/フルサイズCMOS(約35.6mm×23.8mm)●有効画素数/約2420万●レンズマウント/ソニーEマウント●記録画素数/最大6000ドット×4000ドット●ファインダー/0.39型(約236万ドット)、倍率:約0.59倍、視野率:約100%●ISO感度/100〜5万1200、拡張下限50、上限20万4800●連続撮影速度/最高約10コマ/秒●液晶モニター/3.0型(約92万ドット)●記録媒体/SD/SDHC/SDXC(UHS-I/II対応)●電源/専用リチウムイオン●サイズ/幅124.0mm×高さ71.1mm×奥行き59.7mm●重量/509g
上面がフラットで、バッグに収納しやすい
35ミリ判フルサイズの面積は、APS-Cの2倍以上。だから、必然的にボディも大きくなる。だが本機は、同社のAPS-C機、α6600と同程度のサイズと重さを実現。また、上面が出っ張る一眼レフふうの外観ではなく、上面がフラットなので、全長を抑えた28〜60ミリ新標準ズームレンズとの組み合わせで、バッグにスッキリ収納できるのだ。
だが、小型化の弊害もある。まず、フルサイズ機としてはファインダー倍率が低い点。撮影に大きな支障をきたすことはないが、ほかのフルサイズ機(0.7〜0.8倍)を見慣れていると、0.59倍の本機は、臨場感が物足りないと感じてしまう。
また、グリップ部の張り出し量が少なくて、右手でホールドした際のフィット感がイマイチなのも少々気になる。
◾️「MENU」ボタンは液晶の上部にある
高感度でも、ノイズはあまり目立たない
撮影機能では、AF/AE追従時で最高約10コマ/秒の高速連写性能が光る。一瞬の動きや表情をとらえる能力が素晴らしい。しかも、データ量が大きくなる「RAW+JPEG」設定でも、連続撮影枚数が80枚前後と多い。高速連写の最中に、カードへのデータ書き込み待ちが生じにくいのは快適だ。
裏面照射型センサーと画像処理エンジン、BIONZ Xによる画質も安定。低感度時はもちろん、ISO1万以上の高感度でも、ノイズはあまり目立たず、細部質感の低下(消失)も抑えられているという印象を受けた。
連写性能や高いAF機能(人物や動物の瞳にピントを合わせ続けられるリアルタイム瞳AFなど)に加え、補正効果5.0段の5軸ボディ内手ブレ補正機構の恩恵も十分に感じられた。機能や仕様の満足度が高い、実力派の小型フルサイズ機である。
◾️10コマ/秒で連写。AFの追従性も良好
おすすめ度…A⁻
小型化ゆえの気になる点もあるが、高速連写、瞳AFなど実写性能は優秀
ココが〇
小型・軽量ながらボディ内手ブレ補正を搭載。連写性能やAF機能もハイレベルだ。モニターには、自撮りに対応できるバリアングル式を採用。
ココが✖️
α7IIIなどと比べると、ファインダー倍率が低い。前ダイヤルやマルチセレクターが省略されたほか、メニューボタンの配置はやや操作しづらい。
※文中の「オススメ度」は、「A+」から「C-」までの9段階評価になっています。
※価格は記事作成時のものです。
解説/吉森信哉(フォトグラファー)