【多肉植物の育て方】最適な置き場所と「水やり」のコツ 用土や肥料、病虫害の対処法も解説

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植物の生長には、光合成のための「光」と適量の「水分」、さらに「肥料」があると大きく育ちます。一般的な植物に比べ、やせて乾燥した土地に適応して生きてきたものが多い多肉植物は、水分が多すぎる状態(過湿)が苦手です。そのため、「風」を通して過湿にならない環境を保つことも必要です。【解説】長田 研(カクタス長田)

著者のプロフィール

長田 研(おさだ・けん)

1975年静岡県生まれ。多肉植物の生産・出荷・輸出入を行うナーセリー「カクタス長田」経営。アメリカ・バージニア大学で生物と化学を学び、交配種の作出や海外品種の日本導入などを積極的に行っており、新しい種にもくわしい。国内外の多肉植物の研究者や関係者との交流も深く、自身も日本の多肉植物業界を牽引するひとり。おもな著書に、『NHK趣味の園芸 12か月栽培ナビNEOコーデックス』、『NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月 多肉植物』(ともにNHK出版)、『特徴がよくわかる おもしろい多肉植物350』(家の光協会)などがある。

本稿は『はじめてでもうまくいく! わかりやすい多肉植物の育て方』(永岡書店)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

イラスト/seesaw.

多肉植物を育てるのに必要なもの

自然の中で生きる植物は、人間の手が入らなくてもたくましく育っています。しかし、人工的に繁殖された苗を入手したら、丈夫に育てるための環境を整える必要があります。多肉植物を育てるのに必要な要素、最適な環境を覚えておきましょう。

多肉植物に必要な要素ってなに?

まずは、苗を植えつける「土(用土)」が必要です。植物の生長には、光合成のための「光」と適量の「水分」、さらに「肥料」があると大きく育ちます。また、一般的な植物に比べ、やせて乾燥した土地に適応して生きてきたものが多い多肉植物は、水分が多すぎる状態(過湿)が苦手です。そのため、「風」を通して過湿にならない環境を保つことも必要です。

必要な要素


太陽の光は光合成で育つ植物には欠かせないもの。真夏の直射は避けるが、基本はしっかり日に当てる。


多肉植物の苦手な過湿を避けるには、屋外でも室内でも風通しのよい場所に置くのが原則。場合によっては扇風機などを使ってもよい。


多肉植物は地植えよりも鉢植えのほうが管理しやすい。水はけのよい用土にする。


水分は根から吸収される。根が水分を吸収すると、土に含まれる栄養素や酸素も植物の体内に運ばれる。

肥料
多くは必要としないが、生長期に適量を施すことで、生育が促され丈夫に育つ。

多肉植物に最適な環境ってどんなもの?

多肉植物は種類が豊富ですが、多くの種類は雨が少ない場所や強い日差しの当たる岩場など乾燥した環境に自生しています。そのため、日当たりと風通しは多肉植物にとって重要な要素です。
長雨の時期があり、季節の気温差が激しい日本では、季節ごとに置き場所を変えて管理するのが上手に育てるポイントとなります。年間を通して風通しをよくし、季節ごとに日当たりや水やりの調整を行うことが大切です。

日当たりが悪いと?

光の少ない場所で管理された多肉植物は、「徒長」しやすくなります。徒長は茎が間延びして節と節の間が開いてしまう状態です。病気とは違いますが、そのままでは貧弱な株になってしまいます。光の当たる場所へ移動しましょう。
移動させるときはすぐに日向に出さず、明るい日陰〜明るい半日陰と1週間ほどかけて徐々に光にならします。急に強い日差しに当てると葉焼けを起こしてしまいます。

コーデックスの「火星人(フォッケア・エデュリス)」。つる先は葉のつく間隔が広くなっている。これは徒長のサイン。

紅葉には光が重要

多肉植物には、秋〜冬にかけて紅葉する種類があります。紅葉は気温が下がってくると出てくる現象ですが、日照の量も関係しています。朝夕の気温が20℃を下回る9月下旬ごろから冬の間は、太陽の光をたっぷり浴びせましょう。

紅葉する種類は、エケベリア、クラッスラ、センペルビウムなどに多い。

風通しが悪いと?

日本の夏は高温多湿で、多肉植物には過酷な環境です。風が通らないと鉢の中も蒸れてしまい、根腐れが起こりやすくなります。梅雨の時期などはひと晩でダメージを受けることもあるので要注意です。

根腐れを起こしたユーフォルビアの「エノプラモンスト(紅彩閣石化)」。水のやりすぎもNG。

落葉は「枯れ」とは違うので注意を!

葉が枯れ落ちてしまうと根腐れや病気を心配しがちですが、多肉植物にも落葉するタイプがあります。落葉は休眠期を迎える準備です。落葉しても幹や茎、塊根などがしっかりしていれば、病気ではないと判断できます。

冬型のアエオニウムは夏に落葉する。葉はしおれてくるが、幹は元気。パキポディウムなどの夏型コーデックスは冬に落葉して休眠する。

多肉植物の栽培に適した用土と肥料

鉢植えの多肉植物にとって、鉢に入れる用土は「家」といってもよいでしょう。快適な住まいづくりは植物にも必要です。植え替えなどの作業の際には、多肉植物に合った用土を用意し、適切な肥料を施すようにします。

多肉植物に適した用土とは?

ほとんどの多肉植物には明確な休眠期と生育期があり、休眠期には株全体を乾燥させる必要があります。そのため用土は、一般の草花用のものより排水性を高めた配合にします。おすすめの配合は右の2種類です。この配合土に、市販の固形肥料を元肥として規定量混ぜ込み、植え替えや挿し木などの際の用土として使用します。

水はけのよい配合
過湿になりにくく、コーデックスや大きな株など根腐れを起こしやすい種類に適している。水やりをまめにできる人向きの配合。

水もちのよい配合
水切れを起こしにくく、水やりの回数を少なく済ませられる。水やりを忘れがちな人、あまり時間が取れない人向きの配合。6号鉢より大きい鉢のときは、鉢底に軽石などを入れて水はけをよくするとよい。

用土の種類

植物栽培に使う土には、基本の用土と排水や保水など用土の機能を高めるために加える改良用の用土があります。通常は、これらの用土をミックスして、植物に適した配合土をつくります。

基本の用土

赤玉土
一般的に使われる園芸用の用土で、有機質をふくまず、排水性、通気性がよく、保肥性も高い。粒の大きさによって、大・中・小がある。

鹿沼土
栃木県鹿沼地方で採れる火山灰土。多孔質で、有機質をふくまず酸性が強い。保水性、通気性がよい。

改良用の用土

ピートモス
湿地に堆積した水ゴケが発酵したもので、腐葉土の代わりに使える。やや酸性なので酸度調整済みのものを使うとよい。

腐葉土
広葉樹の落ち葉を発酵させたもので、通気性と保水性がよく、水もちもよくなる。

パーライト
真珠岩というガラス質の火山岩をくだき、約1000℃で焼きかためたもの。排水性と通気性はよいが、保水性や保肥性には劣る。

川砂
排水性がよいので、赤玉土や鹿沼土にまぜて使うとよい。桐生砂などがある。

くん炭
もみがらを低温で蒸し焼きにしてつくる。栄養素はないが、通気性や保水性、排水性がよい。

肥料にはどんなものがあるの?

肥料には、植え替えや挿し木などの繁殖作業の際に入れる「元肥」と、元肥の効果が切れたあとの生育期に施す「追肥」があります。元肥には、長い期間おだやかに効き続ける「固形肥料」を用いることが多く、土に混ぜたり、鉢土の上に置いたりして使います。追肥は固形肥料のほかに、「液体肥料(液肥)」もよく使われます。液体肥料は効き目が速いのが特徴です。
原料によって、動物や植物由来の有機物でつくられた「有機肥料」と、化学的につくられた「化成肥料」があります。においがなく多肉植物に使いやすいのは化成肥料です。

多肉植物に適した肥料

植物に必要な基本の肥料は、窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の3つです。肥料にはひとつの成分だけの単肥と、数種の成分をまぜた混合肥料がありますが、多肉植物には、次の比率の混合肥料がおすすめです。

固形肥料の場合
N10、P10、K10の割合で配合されている緩効性の化成肥料。

【元肥】配合した用土に規定量を混ぜ込む。
【追肥】規定量よりも少なめの量を2か月に1回施す。

固形肥料の追肥は、通常の規定量よりも1〜2割ほど少なめの量を鉢土の上に置く。

液体肥料の場合
N7、P4、K4で配合されているもの。水に溶かすタイプとそのまま使えるタイプがある。

【追肥】規定倍率の2倍に薄めて、1週間に1回施す。水やりと一緒に行ってもよい。

適した割合の肥料がない場合
ホームセンターやネット通販などで購入できる一般的な肥料には、おすすめの割合のものがあります。どうしても入手できない場合は、ひとつの成分だけの単肥をブレンドすれば適した配合にできます。

ここに注意!

肥料は生育期にのみ与えるようにし、休眠期には与えません。紅葉する種類は遅くまで肥料を与えると色づきが悪くなるので、通常より少し早めに施肥をやめます。
生育期でも肥料を与えすぎると根が傷み、株が腐る原因になります。市販の肥料は、それぞれ特徴や配合割合、使い方などの説明書きがありますから、それを必ず確認して適量を施します。

初心者に手軽な多肉植物用の土

園芸店やホームセンターなどでは、「多肉植物用の土」「サボテン用の土」などと書かれた用土を見かけることがあります。栽培初心者なら、こういったものを使うと手軽です。ただし、生育期でも1週間以上土が乾かない、夏以外でも1〜2日で乾いてしまうなどの場合は、蒸れや乾燥しすぎなどの症状が出るので、用土を見直すのが無難です。
市販の配合土には、肥料分が含まれているものもあります。そういった配合土の場合は、元肥を入れる必要はありません。

最適な置き場所と上手な水やり

生育型に関係なく、多肉植物栽培の失敗でよくあるのが、過湿による根腐れと低温障害です。それを避けるためには、水やりのしかたと鉢の置き場所を意識するのがポイント。適切な水やりの方法と季節ごとの管理場所を確認しておきましょう。

正しい水やりの方法ってどんなもの?

多肉植物は時期によって水の与え方が変わります。それぞれの時期に適した与え方を覚えておきましょう。

▼生育期

どの生育型も、生育期の水やりは「表土が乾いたらたっぷりと」です。鉢底の穴から水が流れ出るまで与えます。

じょうろにハス口をつけてたっぷり与える。葉や花にかかってもよいが、タネを採りたいときは、花にはかけないようにする。

▼生育緩慢期

生育期が終わるころから徐々に水やりの回数を減らし、休眠期から生育期が始まる時期は徐々に増やします。鉢内の土が完全に乾いてから3〜4日後に1週間程度で乾く量が目安です。

水やり直後と土が乾いた状態の鉢を持ち上げてみて、鉢の重さで乾き具合を確認するとよい。

▼休眠期

夏型種は冬に水を断ちます。冬型は夏に断水しますが、乾燥しすぎている場合は葉水を与えます。春秋型は夏と冬に、月に1〜2回葉水を与えます。葉水は、鉢土が半日ほどで乾く程度の水やりです。

多肉植物のための葉水は、葉ではなく鉢土に水をかける。室内の場合は霧吹きでもよい。

この水やりはNG!

ちょろちょろ水やり
鉢土の表面がぬれる程度の水では、根まで水が届かず植物が水分を吸収できない。逆に土が蒸れる原因になる。

鉢皿の水を放置
鉢皿にたまった水をそのままにしておくと、いつまでも水分が乾かず根腐れの原因に。鉢皿の水は必ず捨てる。

生育型別 季節ごとの置き場所と水やり

冬以外は基本的に屋外管理がおすすめです。どうしても屋外に出せない場合は、室内でもできるだけ日当たりのよい場所に置き、冷暖房器具の風を当てないように管理します。

春秋型

置き場
3月に入り気温が上がり始めたら、日中はよく日の当たる屋外に移動させ、夕方には風通しのよい室内へ。4月下旬〜6月ごろまでは、風通しがよい屋外の日向で管理する。

水やり
3月ごろから水やりを開始し、4〜6月下旬まで表土が乾いたらたっぷり与える。

置き場
7〜9月ごろの気温が高い時期は、屋外の明るい半日陰(日中のうち半日くらい日が当たる場所)で、風通しよく雨に当たらないように管理する。

水やり
6月下旬から水やりを控え目にし、7〜9月中旬ごろまでは月に1〜2回、夕方〜夜に葉水を与える。

置き場
9月下旬〜10月いっぱいは、春と同じように、風通しがよい屋外の日向で管理する。

水やり
生育期は表土が乾いたらたっぷりと与える。

置き場
冬は日当たりのよい室内が基本。寒さに弱い種類は、1日の最低気温が10°になるのを目安に室内へ。寒さに強いものでも霜には当てないほうが安全。

水やり
室内に取り込んだら、月に1〜2回葉水を与える。

夏型

置き場
4月になったら、日中は屋外の日向に移し、少しずつ外の空気に触れさせる。5月になったら終日屋外でもよい。風通しのよい日の当たる場所で管理する。ハオルチアやガステリアは年間を通して室内の半日陰がベスト。

水やり
屋外に出すようになったら少しずつ増やす。5月以降は表土が乾いたらたっぷりと。

置き場
7〜9月ごろの気温が高い時期は、屋外の明るい半日陰(日中のうち半日くらい日が当たる場所)で、風通しよく雨に当たらないように管理する。

水やり
9月下旬ごろまでは表土が乾いたらたっぷりと与える。

置き場
気温が下がり始めたら、日中は日の当たる場所で、夕方には室内に取り込む。11月には完全に室内管理に切り替えを。室内の日当たりのよい場所に置く。

水やり
9月下旬から徐々に減らし、11月に入ったら断水。

置き場
3月ごろまでは風通しのよい室内の日当たりのよい場所で管理する。

水やり
11〜3月までは水やりはせずに断水状態する。

冬型

置き場
4月に入り気温が高くなってきたら、屋外の風通しのよい半日陰に移動させる。

水やり
4月いっぱいはたっぷり与え、5月中は徐々に減らす。

置き場
9月いっぱいまでは、屋外の風通しのよい半日陰に置く。直射日光は当てず、真夏でも涼しくなるような場所がベスト。梅雨時は雨に当てない。

水やり
6〜9月中旬ごろまでは断水。クラッスラ、セネシオ、アエオニウム、モナンテスなど乾燥に弱いものは夕方〜夜に葉水を与える。

置き場
10月中は、屋外の日の当たる場所に置いて管理する。風通しをよくしておく。

水やり
9月下旬〜10月の間は水やりの移行期で、徐々に増やす。11月以降は、表土が乾いたらたっぷり与える。

置き場
11月に入り気温が下がってきたら室内に取り込み、室内の日当たりのよい場所に置く。メセン類はとくに風通しよく管理する。

水やり
4月いっぱいくらいまで、表土が乾いたらたっぷり与える。

注意したい病害虫について

病気や害虫の被害は、あっという間に広がってしまうこともあります。毎日の観察で、いつもとちがうと感じたときなどに、さらに注意して見ることで発見しやすくなります。

病害虫は日頃の観察でチェック!

斑点、変色、変形などを見つけたら、原因を探り早めに対処します。アブラムシなどはあっという間に数がふえますが、数が少ない段階で見つけて駆除すると、その後の大発生を防ぐことにつながります。新芽や花芽を好む害虫も多いので、生育期には重点的に観察しましょう。鉢土の過湿が原因で発生するものもあるので、鉢土に触れて、しめり具合を手の感覚として覚えるのも効果的です。
風通しをよくすることで防げるものもあります。病害虫が発生した後は、栽培環境が適切かどうかを見直しましょう。

薬剤の種類と散布時の注意点

病気に対する薬剤が殺菌剤、害虫を駆除するのが殺虫剤です。殺菌剤には、細菌類に効くものとカビ類(糸状菌)に効くものがあるので、症状に合わせて選びます。殺虫剤は応急的な処理ならスプレータイプが便利。予防や初期の駆除なら、浸透移行性の殺虫剤が効果的です。水に溶かすものと固形状があります。
病虫害の原因がはっきりわかっている場合には専用の薬剤を選ぶとよいのですが、初心者ならば菌にも害虫にも効果がある殺虫殺菌剤が使いやすいでしょう。
薬剤は、農薬取締法で使用できる植物が決まっていますから、必ず注意事項を読んで、使用方法を守って使いましょう。室内で育てている種類も、薬剤をまくときには屋外に出して行い、マスクをするなどして、薬剤を吸いこまないように注意します。

軟腐病

時期
6月中旬〜7月中旬(雨の多い時期)

症状
葉、茎、花茎などの傷口から細菌が侵入する。ひどくなると腐敗して悪臭を放つ。

対処
初期の段階なら腐った部分を完全に切り取り、「ストマイ液剤20」など細菌性の病気に効果的な殺菌剤で消毒する。株が完全に乾燥したら新しい用土で植え替えを。症状が全体に広がってしまったら、その株は破棄する。

カビ

時期
4〜7月中旬、10〜11月

症状
葉、茎に白やグレー、黒などの斑点が出て、ひどくなると腐敗して悪臭を放つ。

対処
初期の段階なら被害部分を切り取り、「トップジンMゾル」などカビ類(糸状菌)に効果的な殺菌剤で消毒する。症状が全体に広がってしまったら、その株は破棄する。

カイガラムシ、コナカイガラムシ

時期
通年

症状
風通しが悪いと発生しやすい。葉、茎、花茎から汁を吸い、生育を妨げる。

対処
見つけたら、株を傷つけないように気をつけながら、歯ブラシなどでこすり取るか浸透移行性の殺虫剤を散布して駆除する。

カイガラムシの被害にあったユーフォルビア。薬剤を散布したあとの状態。

グラプトペタラム・ルスビーについたコナカイガラムシ。

アブラムシ

時期
多いのは3〜5月

症状
新芽や花芽などやわらかい部分の汁を吸い、生育を妨げる。

対処
歯ブラシでこすり落としたり、水流で飛ばす。スプレー式の殺虫剤を散布してもよい。

ハダニ

時期
多いのは4〜10月

症状
新芽から吸汁し、生育を妨げる。被害部分はかさぶたのようになる。小さい虫なので肉眼では見つけにくい。葉が萎縮し変色してきたらハダニの可能性がある。

対処
殺ダニ剤を散布して駆除する。応急処置ならスプレー式の殺虫剤でもよい。

ハダニの被害にあったアデニウム。

サボテンネコナカイガラムシ

時期
通年

症状
カイガラムシの仲間で、地中で発生して根から汁を吸い、生育を妨げる。植え替え時に気づくことが多い。ネジラミと呼ぶこともある。

対処
被害を受けた株は、根は切り取って植え替える。または、浸透移行性の殺虫剤を散布して駆除する。

キノコバエの幼虫

時期
2〜6月、9〜10月

症状
有機物が多く、湿った用土に成虫が産卵し、ふ化した幼虫が根や葉を食害する。食害の跡から軟腐病が発生しやすい。

対処
用土が完全に乾いていることを確かめてから水やりをするように心がけることで発生を防ぐことができる。

アザミウマ

時期
多いのは4〜10月

症状
新芽や花芽から汁を吸い、生育を妨げる。ハダニに似た症状で、被害部分はかさぶたのようになる。

対処
浸透移行性の殺虫剤を散布して駆除する。

ナメクジ・ヨトウムシ

時期
6月中旬〜7月中旬(雨の多い時期)

症状
葉や茎を食害し、生育を妨げる。

対処
見つけしだい捕殺するか、浸透移行性の殺虫剤を散布して駆除する。

ナメクジは見つけたらすぐに補殺する。

失敗しがちな季節の管理方法

蒸し暑い夏、霜や雪の心配がある冬、梅雨時などは多肉植物にとっては過酷な時期です。逆にいうと、これらの時期を乗り越えられれば、株がダメージを受けることも少なくなります。特別な時期には普段よりも手を掛ける配慮が必要です。

夏の暑さ対策

夏の管理は、生育型によって異なります。夏型種は強い日差しを受ける場所でも生育しますが、春秋型種と冬型種は半日陰が適しています。いずれの生育型でも過湿や風通しが悪い場所に置くと根腐れを起こしやすくなりますので、それを回避するのが夏越しのポイントです。

水やりは夕方から夜にかけて
気温の高い日中に水やりをすると、濡れた株が暑さで蒸れてしまいます。水やりは朝や日中を避けて、夕方や夜間に行います。夜も暑さが残るときは、夕方から夜間に打ち水を行い、温度を下げて涼しくしてやるのもよいでしょう。

鉢は一段高い位置に
雨ざらしの鉢は地面からの湿気に当たりやすく、ベランダやガレージなどコンクリート上にある鉢は輻射熱で高温になります。どちらも夏の間は、棚やレンガなど一段高い位置に置くのがおすすめです。その際、エアコンの室外機の温風に当たらないようにしましょう。

強い日差しは遮光する
春秋型種と冬型種、夏型種でも一部の種類は、夏の直射日光では光が強すぎます。明るい半日陰の場所があればよいですが、ない場合は、寒冷紗などの日除けグッズを使って遮光しましょう。

鉢は棚に置いて、日差しが強い場所は遮光の工夫を。寒冷紗やよしずなどは日差しを弱めながら通風を確保できるのでおすすめ。

冬の寒さ対策

冬は凍結を防ぐことが大切です。とくに夏型種はしっかり断水し、低温障害を予防しましょう。温室は通風の確保や温度・湿度の管理が案外難しく、慣れていないと失敗の元になります。温室よりは室内管理のほうが臨機応変に対応でき、とくに初心者は世話もしやすいでしょう。
セダムやセンペルビウムなど屋外で冬越しできるものもありますが、屋外管理のものは日向に置くようにします。

最低温度は5〜10℃を目安に
耐寒性が弱い種類は最低温度10℃を目安に、それ以外は5℃を目安に室内管理に切り替えると安全です。室内でも徒長を防ぐために、窓辺など日差しの当たる場所が適します。室内管理も5〜10℃を保ちます。

冬型種は高温すぎる状態に注意
冬でも日差しが強いと窓辺は高温になりがち。冬型種は高温になると休眠の準備を始めてしまうので、日中は窓を開けたり、外に出したりして暑くなり過ぎるのを避けることも大切です。

戸外へ移すタイミングは徐々に慣らした後
冬の間、室内にあった株を屋外へ移すときは、葉焼けを起こさないように、段階的に日光に慣らすようにします。日当たりのよい室内から、日中だけ屋外で日を当てるなど、徐々に屋外へと移していきましょう。

日当たりのよい窓辺などに置き、1週間に1回、鉢の向きを180度回転させると、全体に日が当たり草姿の乱れを防げる。夜間の窓辺は冷気で冷え込むため、夕方以降は室内の中心部に移動させるとよい。

長雨対策

多くの多肉植物は雨に当てないように管理するのが基本です。そのため、梅雨や秋雨など長く雨が続く時期は、室内や軒下に移動させるのがベターです。雨と同時に気温も高くなっている場合は、より蒸れやすくなるのでしっかり対策しましょう。

とにかく過湿にならないよう注意
梅雨の時期には屋外の雨が当たらない、風通しのよい場所に置いて管理しましょう。夏型種は、雨のないときには日差しが当たる場所がベストです。雨粒のはね返りなどで株や用土が濡れないように注意します。

台風のときは風対策も行う
強風をともなうときには、風対策も必要です。室内か風の影響の少ない軒下に取り込みます。無理な場合は、棚の上のものは低い位置に下ろします。どうしても風の影響を避けられない場所の場合は、複数の鉢を1カ所にまとめてロープなどでひとまとめにしておくとよいでしょう。

多湿が続く場合は、扇風機などを使って風を送るのもよい。扇風機は無風の熱帯夜などに使うのもおすすめ。

なお、本稿は『はじめてでもうまくいく! わかりやすい多肉植物の育て方』(永岡書店)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

はじめてでもうまくいく! わかりやすい多肉植物の育て方
¥1,650
2021-04-01 9:16

※(1)「「多肉植物とは」」の記事もご覧ください。

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