ダイソン「omni-glide(オムニグライド)」は、これまで掃除機が不得意だった横方向への動きを可能にした新しい掃除機です。サイクロンシステムやクリーン排気システムといった残すべき機能は残し、「全方向駆動コードレスクリーナー」と新しくカテゴライズした最新の掃除機です。
ダイソンの新型掃除機「dyson omni-glide」
掃除機の基本は前後の動き
4月7日、ダイソンが新型掃除機「dyson omni-glide(オムニグライド)」を発売しました。大きなカテゴリーで言うと、スティック型掃除機ですが、今までダイソンが作ってきた手持ち式スティック型掃除機とは考え方が違います。一体、どう言う掃除機なのでしょうか?
人は前後の動きに優れます。特に前ですね。目が前向きについていることでも分かりますね。体育の反復横跳びは、クラスに一人くらい苦手な人がいたものです。このため、立って行う家事は前後が基本になります。
掃除機もそうですね。ヘッドを前後に動かすことによりゴミを吸い取ります。逆に前後だから、子供でも簡単に掃除機は扱えるのですね。
ところが時々、ちょっと横にゴミが落ちている時があります。どうしますか?ほとんどの人は大きく掃除機を後ろに引いて、角度修正。そして前に押し出して吸い取りますね。ほとんどの掃除機は、横長のローラーが床に接地しています。このため、その場での方向転換をしようと思ったら、かなりの力技になります。それなら前後に動かしながら、方向を変える方がいいです。
しかし、ヘッドが横にもラクラク動けると、話は変わってきます。ダイソンの新型掃除機「dyson omni-glide」はそんな掃除機なのです。
「dyson omni-glide」は自在にヘッドが動く
秘密は4つのキャスターホイールにあり
掃除機は動きがある家電ですから、一部動画で説明します。90秒を目安に編集してあります。まずはご覧ください。
自由自在に動くヘッドが、「dyson omni-glide」の魅力です。Omnidirectional Fluffy(オムニダイレクショナル フラフィ)クリーナーヘッドという名前ですが、2つの特徴を持ちます。
1つ目は、自在に動かすために4つの小さいキャスターホイールを付けていることです。それでもあのフィラフィーローラーは。べったり床に接触していると厳しいのですが、そこはバランスの問題。床への接触は軽く、支えは基本キャスターホイールが行います。
それにしても見事に動きます。
2つ目は、フィラフィーローラーが2つあることです。これは前後逆方向に回っています。要するに中へ中へゴミを集める形です。前後の動きがメインの時は、前のゴミはローラーで後ろに送ります。そして吸い込みます。吸い込めなかったゴミは後ろ側のストッパーでヘッド外に出るのを妨げられます。そして、掃除機を引くと、またゴミは吸い込み口の下へ来ます。そうしてゴミを送ります。
しかし、「dyson omni-glide」はヘッドが自在ですから、どちらが前と規程できません。なら、どちらも動かしてしまえ!搭載できるバッテリーに制限を持つスティック型掃除機では、大胆な意見ですが、ダイソンは、それを採用しました。開発者の気迫が感じられます。
ヘッドを自在に動かすために「持手(もちて)」も変更
ダイソンの特徴の一つに、トリガースイッチがあります。これはバッテリーを、少しでも喰わないようにと考えられたもので、瞬時に電力をカットします。
このためダイソンのスティック型掃除機の持手は、どことなく猟銃に似ています。このためでしょうか、ダイソンのスティック型掃除機は、持つと精神が高揚しますね。イケイケというやつです。
逆にいうと手で「ガシッ」と握るので、前後に動かす分には楽なのですが、手首を返すなどの動きはしにくいところがあります。
このため、持手「棒」にしちゃいました。こちらも動画でご確認ください。
ダイソンの特徴はできる限りキープ
この2つの特徴のため、今までのダイソンのスティック型掃除機とは、全然別物に仕上がっており、ダイソン社は、dyson omni-glideを「コードレス掃除機」ではなく、新しく「全方向駆動コードレスクリーナー」と新しい分類に入れています。
では、他の特徴は継続されているのでしょうか? こちらは頑張って継続していると言えると思います。
まず「サイクロンシステム」。ダストボックスを見てもわかるように、小さいです。この高さがないところでサイクロン効果を十分出すには、より強力な遠心力が必要となります。新しく開発した超高回転モーター(最高:105000rpm)で実現された「dyson omni-glide」の遠心力は9800G。メインモデルの、V11が7600Gですから、すごい!というより、ここまでやるかという感じです。
次にワンタッチゴミ捨て。こちらもキープされています。
そしてクリーン排気システム。こちらも維持されています。
今回は、本体部分が、銃ではなく棒状なので形は違いますが、機能特徴はきちんとキープされています。
ちなみに、今回のスタンドは、きちんとスタンド・アローン型が同梱されています。今までのように壁打ちとかではありません。これも多くの人に喜ばれると思います。
まとめ
開発スタートは2018年クリスマス。日本メーカーはどうする?
このプロジェクトのスタートは、2018年クリスマスの席上で、ジェームスが、新しい掃除機を作りたいと言ったのがスタートだとか。2018年は、V8がリリースされ、フィラフィーヘッドも世に出ていますので、手持ち式スティック型掃除機の想定レベルまでの到達に目処がついたところです。
ダイソンは、そこから見事に新しいものを作り上げましたね。
気になるのは、日本メーカー。日本市場のトップを走るダイソンに、追いつけと言わんばかりに、手持ち式スティック型掃除機に集中して開発をしてきています。しかも、使いにくいほど、軽いレベルのモデルに力を入れているようです。私も、ほぼ全機種テストさせていただきましたが、感心するものは皆無でした。詳細は前回の記事をご覧ください。
今回も、日本メーカーはダイソンの後追いをするのでしょうか?ダイソンより使いやく、新しいデザインの掃除機を出すことで、私たちに日本メーカーの底力を見せつけて欲しいものです。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーを繋ぐ商品企画コンサルティング「ポップアップ・プランニング・オフィス」代表。米・食味鑑定士の資格を所有。大手メーカーでオーディオ・ビデオ関連の開発に携わる。趣味は東京散歩とラーメンの食べ歩き。