コロナ禍で注目されているのが、衛生家電。紫外線(UV)で殺菌するレイコップからハンディ掃除機にUVランプをつけた「レイコップ GO」を発売しました。衛生効果を高めるためには使い方にコツがあることをご存知でしょうか?また紫外線のライバルとなる熱(スチーム)の衛生家電の新製品も併せて紹介したいと思います。
レイコップの布団掃除機「UV除菌ポータブルクリーナー レイコップGO」
ちょっと前に大流行した「布団掃除機」といえば、レイコップ。爆発的な人気でした。ただ、スティック型掃除機がメインとなり、各社布団掃除用アタッチメントを標準装備してきた今、専用の布団掃除機のニーズは落ち着いたものとなっています。
レイコップの布団掃除機には、ある特徴があります。「紫外線」で殺菌などの衛生効果を狙うことです。元々レイコップの社名は、レイ(光線)+コップ(警官)の造語だそうで、紫外線を活かす作るには定評があります。
今回紹介するモデル「UV除菌ポータブルクリーナー レイコップGO」は、シンプルな仕様のハンディ掃除機に、UVランプを付けた仕様。布団だけでなく、除菌したいところならどこでもという汎用性があります。今ある危機、コロナ禍に対応した形とも言えます。ただし、これを上手く使うには、コツがあります。今回は、それをお話しします。
UV除菌ポータブルクリーナー レイコップGO RGO-300
4パーツで組み立てられた超小型のハンディスティック型掃除機
レイコップの布団掃除機は、スティングレイ、海の生き物「エイ」に似ています。これは布団を押さえ込むために特化した形を追求したためで、決して伊達や酔狂で決めた形ではありません。その証拠に布団を掃除するには実にいい塩梅。掃除機に吸われて乱れようとする布団を押し留めます。逆にいうと、それほど布団掃除に特化した形でもあり、汎用的なハンディ掃除機の視点で見てみると、大きすぎ、いろいろなところにちょっと使ってみようという感じにはなりません。この様な特化した形は、長所であり、欠点でもあると言えます。
コロナ禍の現在、衛生的に扱いたいのは、布団だけ出なく、衣類もそうです。また子供の持つぬいぐるみもそうでしょうね。これらに共通する特徴は、形が一定でないこと。そして、布団の様に、床に敷くなどではなく、普段はかなり起こした形で使われていることです。
この様ないろいろな形に対応すべく、今回、レイコップが採用したのは、ミニスティック型掃除機の形です。何気ないT字型。UVランプが付いているヘッドも小振りですので、いろいろな方向、例えば立てかけてあるモノにもスムーズに対応することができます。
レイコップGOは小振りのポータブル掃除機ですが、更に4つのパーツに分けられます。「ヘッド」「ゴミ集積部」「モーター部」「取手部」です。それぞれのパーツもしっかりした造りですが、組み立ててもしっかりしています。素晴らしく念が入った作りと言えます。
元々、専用布団掃除機は、カテゴリー全体を見ると、雑な作りのモデルが多かったと言えます。雑な作りで問題なるのは、アレルゲンを含む漏れ気、排気による二次汚染です。掃除機の大手メーカーは、この一度捉えたゴミ、アレルゲンを逃さないことを、ポイントとしてよく心得ていますので、排気フィルターにしっかりしたものを付け、想定したルート以外から空気が漏れない様、筐体をしっかり作ります。
レイコップもそうです。しかし、適当に、某国で作らせたモデルの中には、合わせなどがよくなく、漏れが発生するものもあります。流行時は、そんな製品がごまんと出てきます。調理家電だと、多少不味いくらいで済みますが、衛生家電などだと、よかれと思って使ったら、かえって悪くなってしまったなど、洒落にすらならない状況なることも考えられます。
収納ポーチのデザイン性に注目
4パーツに分かれるレイコップGOですが、小さいものを、何故より小さくするのでしょうか? それは同梱されている収納ポーチに回答が隠されていそうです。
この収納ポーチ、かなりおしゃれです。私が過去見た中でベスト3に入るくらいいい感じです。中に小型掃除機が入っているとは、お釈迦様でも気がつかない作りです。最近、小型掃除機、スチーマー兼用アイロンなど、小型家電は、デザインをお洒落にしているから、出しっぱなしでもOKねと言わんばかりの製品が多いです。が、人は、そんなに家電を眺めて暮らしたいとは思っていなのです。適当な袋を付けようものなら、「ダサい」「邪魔」「コストが高くなる」と悪口の大合唱です。なかなかいい解答は見つけられていません。
今回のデザイン、収納は、布団掃除機以外のレイコップの特徴になるかも知れないと思えるほどの、洗練さがあります。
UVで殺菌・ウイルス不活化させるコツは「時間」
レイコップGOは、通常、ヘッドローラーがある位置にUVランプが設置されています。使用されているUVランプは、水銀ランプで、4W、253.7nm。253.7nmは紫外線で最も殺菌効果がある波長でセレクトして付けられていることがわかります。ちなみに、同じ紫外線でも波長によっては、効果が1/5以下の波長もあります。だが、如何せん4Wだとエネルギーが小さい。当てた瞬間、即滅菌(殺菌は菌が1つでも死ねば殺菌という言葉が使えます。滅菌は、菌がほぼいなくて、人間に害を及ぼさないレベルであることを意味します)とはいきません。そうはいうものの、エネルギーが小さくても、UVは目には有害。紫外線が出ている間は、ヘッドに青いパイロットランプを灯しアピールしていています。また水銀灯ですので、廃棄時には注意も必要です。
さて、レイコップGOで最も重要な機能は「衛生」です。ホームページには、UV殺菌、ウイルス除去、ダニ除去、全て99.9%(先でいう滅菌状態)と記載されています。
これらの効果を謳うためには、第三者機関のテストデーターが元になります。今回も小さな文字で、次のように書かれています。
【UV除菌】広州市微生物研究所調べ[方法]菌液を含むシャーレに製品のUVを1cm上に置いて3秒照射し、大腸菌(生菌数8.6×10_5(10の5乗。以下同じ))黄色ブドウ球菌(生菌数9.8×10_5)を測定※全ての菌に有用ではありません。報告書NO. WJ20204039号令和2年10月12日、【ウイルス除去】広州市微生物研究所調べ[方法]シャーレにウイルス液(A型インフルエンザウイルス)を入れ(6.32×10_5)、製品のUVを5秒間照射後、ウイルスを回収して感染価(TCID50/ml)を測定※全てのウイルスに有用ではありません。KY20200686令和2年9月25日、【ダニ除去】広州市微生物研究所調べ[方法]ダニ(1,000匹)を織布(10cm×10cm)に均一に散布して、3秒で1往復させて吸引し、ダニ残数を測定。※全てのダニに有用ではありません。報告書NO. WJ20204040令和2年10月14日。
つまり、殺菌は1cm上から3秒照射した時、ウイルス除去は1cm上から5秒間照射した時、ダニは3秒で10cmを1往復させて吸引した時のテストデーターが元です。このため衛生用にレイコップGOを使うときは、かなりゆっくり、焦ったくなる位ゆっくり、使うことを心がけることが必要です。通常の掃除と言うよりは、全く異なる「衛生作業」と考えて行うべきとでもいうべきでしょう。逆にいうと、これが実践できないなのから、効能保証ができないので、買うことをお勧めできません。それは「掃除機」としてみるとモノ足らないところが多いからでもあります。
まずヘッドローラーがないため、掻き出しはできません。効果的な床掃除はできません。吸引力自体はまあまあですが、ダストカップの容量は極めて小さく、長時間掃除もあまりお勧めできる感じではないです。ゴミを吸うだけなら、スティック型掃除機の本体であるハンディ掃除機をお勧めしたいでですね。つまり、レイコップGOは、使い易い、殺菌、ウイルス不活機能を持つ小型の本格「衛生」掃除機として認識すべきものと言えます。
巣ごもりで時間がある人、ゆっくりキレイにしたい人にお勧めです。逆にせっかちな人にはお勧めできません。使いこなしを問われる掃除機と言えます。ちなみに、私としては「ながら衛生」を勧めします。テレビを見ながら、Youtubeを見ながらゆっくり使うのはどうでしょうか?
そこまで想定したのか、レイコップGOは「UVモード」も内蔵されています。掃除機ではなく、UVランプとして使えるモードです。テレビを見ながら、気になる衣類をゆっくり除菌するわけです。
ケルヒャーのスチームクリーナー「SC MINI」
雑巾のように手軽に使える!
日本では、料理で「蒸す」以外、スチームは使われる場面は少ないですが、欧米では、当たり前の様にガンガン使われています。欧米は、日本より北にあるので、暖房をガンガンかけるためですね。スチーム自体を暖房に使うのですが、あまりにも便利なので、いろいろ使われます。特に掃除。固化して取りにくいと言われる動物性の油でも、体温まで温度を上げてやれば油は液化、すぐ取れますし、60〜70℃でタンパク質は変異します。細菌、ウイルスなどはタンパク質をやられると、機能しなくなります。これを応用したのが「煮沸消毒」。家庭でも、細菌を駆逐することができます。
ケルヒャーのスチームクリーナーは、ほぼ100℃のスチームを放出します。細菌、ウイルスは、ほぼ即死。しかし、ちょっとでも離れるとスチームの温度は急激に下がります。クリーナーで実測してはいないのですが、衣類スチーマーだと、1cmで5℃下がる時もあります。逆に言うと、スチーマーをうまく使うには、「近接」がポイントとなります。
スチームクリーナーは、元々、モップ、雑巾の様に使うのが前提になっており、ケルヒャーは多種多様のラインナップを持っています。今回、ご紹介するSC ミニは、「入門機」として開発された、まさに雑巾と言える仕様。そして、ほぼ1万円と言う価格が大きな魅力です。(オンラインストア価格 10,780 円。現在、送料0円キャンペーン実施中)
SC MINI
この破格とも言える価格は、ケルヒャーが、スチームクリーナーの良さを日本のユーザーにより知ってもらおうための手段でしょうが、実に魅力的。ドイツの会社でもあるケルヒャーの品質は、定評があり、モデル差がありません。信頼が置けます。
しかし、安い故の短所もあります。「豊富」と称されるアタッチメントがほとんど使えないことです。個人的には欲しいのは、ポール。これがあれば、モップ化して床用としても使えるのだが、そうは行かぬらしい。
それはさておき、入門機が安く手に入るのはありがたいこと。ただしレイコップと違うのは、ながら掃除は絶対できないこと。スチームは高温です。扱いにはやはり注意が必要です。
まとめ
コロナ禍も長くなってきました。全部、アルコール除菌で済ませる猛者もいますが、アルコールは薬品。実は使えないものもあります。それをカバーしてくれる、UVとスチームの入門機を紹介しました。
出かけられないゴールデンウィークは、掃除を「衛生的」に見直してみませんか? おうち時間がより、快適になると思います。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーを繋ぐ商品企画コンサルティング「ポップアップ・プランニング・オフィス」代表。米・食味鑑定士の資格を所有。大手メーカーでオーディオ・ビデオ関連の開発に携わる。趣味は東京散歩とラーメンの食べ歩き。
