一台のクルマを長年所有されている方であれば、一度は経験したことがあると思われるのが、夜間運転時に、ライトを点灯しているにもかかわらず暗いと感じたこと。これ、実は、ヘッドライトの光量が低下したのではなく、ヘッドライトがくすんでいたり、黄ばんでいたりすることが原因だったりする。ヘッドライトのくすみや黄ばみ、あまりにも酷くなると車検に通らなくなるケースがあるので、メンテナンスをしっかりしておきたい部分の一つでもある。今回は、新車購入から10年経過したクルマのヘッドライトを研磨してコーティングしたら、どれくらいキレイになるのか素人がDIYで試してみた。
ヘッドライトをDIYでキレイにするには?
さて、くすんでしまったヘッドライトや黄ばんでしまったヘッドライトをキレイにするには、一体どのようにすればいいのだろうか。今回、初挑戦ということもあり施工方法をいろいろと調べてみたところ、特別な道具を使わなくてもキレイに出来ることがわかった。また、更に調べてみると、キレイな状態にできるだけでなく、キレイな状態を長持ちさせることのできるアイテムを見つけられたので、早速、ネットショッピングで購入してみた。
サンプルとなるのは10年前に購入したクルマ
今回、サンプルとなるのは、2011年に新車で購入した実家のクルマで、トヨタマークXジオ。実家のガレージは屋根付きではあるものの、ボンネット部分はほぼ雨ざらし状態であることから、ヘッドライト部分は黄ばみが発生するなど劣化が進んでいた。車検に通らないほどのくすみや黄ばみではないが、10年前のクルマというヤレ感が出てしまっている。まだまだ乗り替える予定はないという事なので、今回の実験材料にさせてもらった。
そもそも、なんでヘッドライトは黄ばむのだろうか?
ヘッドライトのくすみや黄ばみは、どうして起こるのだろうか。実は、ヘッドライトに使用されている素材に起因しているケースが殆どである。どういうことかというと、ヘッドライトの素材はその昔(25年以上前)、ほとんどがガラスを使用して作られていたのだが、ヘッドライトのデザインが急速に複雑なデザインに変わる中、ガラスでの加工が難しくなったりコストがかかったりすることから、成型がより簡単な樹脂素材へと切り替わってきた。その結果、年数がある程度経過してくると、どうしてもくすんでしまったり、黄ばんでしまうケースが目につくようになった。樹脂素材が劣化する主な原因は紫外線。青空駐車をしているクルマであれば、年中紫外線にさらされており、手入れを怠れば、いつのまにか醜い姿に変貌してしまう。ボディはキレイなのに、ヘッドライトのくすみや黄ばみに悩んでいる方も多くいることから、各社から対応品として手軽にキレイにできる製品が発売されている。しかし効果が持続しない製品も多くあり、施工してみたもののわずか数ヶ月で再び黄ばんでしまうことも間々あるようだ。今回の使用アイテムは、手間こそ少しかかるが効果の持続時間が比較的長めという実例もあるようなので、気になる方はチェックしてほしい。
今回試したのは、スリーエム「3Mヘッドライト用クリアコーティング剤」
早速だが、今回試した製品はスリーエムの「3Ⅿヘッドライト用クリアコーディング剤」(税込2680円程)。キット内容は、研磨材(3M独自の研磨材)とコーティング剤ととてもシンプルだ。ただ、これだけではちょっと不安だったので(初めてということもあり)耐水ペーパー(800円程度)を予備で購入した。そのほか、研磨作業時ボディに傷を付けないための養生マスキングテープ、ヘッドライトを水で濡らすための蓄圧式スプレー、その水をふき取るためのマイクロファイバークロスを用意した(かかった費用は全部で5000円程度)。
準備が整ったので、早速作業スタート
表面のくすみや黄ばみの度合いで、初めに使う耐水ペーパーの番手を決めるのだが、今回はくすみや黄ばみがそこそこあるため、800番の耐水ペーパーを使って作業を始めてみた。研磨前に、ボディへの傷防止のためにマスキングテープで養生し、その後ヘッドライトを洗浄。準備が整ったら蓄圧式スプレーでヘッドライトに水をかけながら、水になじませた耐水ペーパーで研磨を始めた。開始早々、黄色いカスが出始めるが、この黄色いカスが出なくなるまでひたすら研磨し続ける。ちなみに、黄色いカスは紫外線などによる汚れ。研磨のコツは、一か所に集中するのではなく、まんべんなく全体を磨くように意識すること。一通り研磨ができたら水で削りカスを洗い流し、タオルで余分な水滴をふき取る。磨き残しが無いかを確認したら次は1000番の耐水ペーパーを使用して、同じように研磨する。これを2000番、3000番までおこなったら、いよいよコーティングの1回目を塗り込んでいくという流れで進める。今回、耐水ペーパーを別途用意したが、「3Mヘッドライト用クリアコーティング剤」にも、3000番の耐水ペーパーが入っていたので、最後にもう一度研磨を行った。
いよいよコーティング開始
磨きの行程が終了したので、いよいよコーティングの行程に移行する。袋を開封すると、コーティング液に浸されたシートが出てくるので、まずは1回目のコーティングを行う。1回目のコーティング終了後は15分程度乾燥させ、次に2回目の仕上げ用コーティングを行う。2回目のコーティングが完了したら、1時間程度自然乾燥させれば全ての工程が終了となる。乾かしている間は、触れたり、水に濡れないように注意が必要だ。
乾燥までの1時間
コーティングが乾燥するまでの1時間、クルマのあちらこちらに目を向けると、10年の月日を感じさせる部分が目につく。例えば、未塗装樹脂部品が白く劣化していたりなど。そこで、ヘッドライトコーティングの乾燥までの1時間で未塗装樹脂部分をキレイにしてみることにした。施工する場所は、フロントガラス、ワイパーの根本付近のプラスチックカバー。使用したのは、ワコーズの「スーパーハード」(未塗装樹脂用耐久コート剤)。この製品は、付属する専用のスポンジにコート剤を染み込ませ、劣化した樹脂部分にそのスポンジで塗り込み、その後乾いたタオルで拭きあげれば完成という、いたって簡単なアイテムだ。とても簡単な作業だがその効果は絶大で、白く劣化していた樹脂部品が、まるで新品部品であるかのように黒々とした状態に蘇る。それも、一度塗り込んだら、長い期間効果が持続するので、とても重宝するアイテムだ。
まとめ
これで、コーティングの作業自体は終わりだ。とても簡単だし、特別な工具を使用しなくても施工が出来るのがうれしい。ここまでにかかった時間は、養生などの準備を入れても1時間程度だから、気になっているのであれば、施工する事をお薦めする。
施工後のお手入れは
施工後のお手入れとしては、ヘッドライトを意識しながら洗車することだろう。例えば、クルマのボディにはワックスがけをするのに、なぜかヘッドライトにはワックスをかけるという意識がなかった。この意識を変えることで、年数の経過した車でもキレイに保つことが出来るようになるかもしれない。
最後に、そして次は!
最後に、今回、初めての試みとしてヘッドライト磨いてみたが、意外にも簡単にキレイになった。これを機に、ヘッドライトだけではなく、ボディに至るまでキレイにしてみたくなってきた。果てして、ボディ全体がくすんでしまったクルマを蘇らせることはできるのか、機会があったら挑戦してみたいと思う。