コロナ禍の外出自粛によりまとめ買いが増えたため、冷凍食品の需要が上がりました。その食材を温めるため、さらに必要不可欠となった電子レンジ。ただ温めるだけではなく、高額ではあるものの多機能なオーブンレンジに注目が集まりました。今時のオーブンレンジは単機能レンジと比べて何ができるようになったのでしょうか?

単機能レンジとオーブンレンジの違いは?

自炊が得意な方は、電子レンジなんて要らないという人もいると思います。間違っていません。1日が48時間あり、コロナ禍でなく自由に出歩くことができるなら電子レンジなし生活も可能かもしれません。しかし、1日は24時間ですし、コロナ禍で「不必要な」外出はなるべく避けるとなっています。そうなると、冷凍機能を活かして食料を保存したり、冷凍食品の購入も増えるでしょう。作った料理をより美味しく温めなおすためにもレンジ機能は必要と言えます。

単機能レンジとは

レンジには、「単機能レンジ」と「オーブンレンジ」の2種類があります。
「単機能レンジ」というのは「レンジ機能」だけの単機能モデルのことです。これは庫内に「受け皿があるタイプ」と庫内がフラット「何もない」タイプに分けられます。皿があるタイプは、マイクロ波を固定、食品をのせた皿を回すことにより、全体にマイクロ波を注ぎます。一方、何もないタイプは、どこに食品があるのかを感知し、そこ目がけてマイクロ波が出てきます。皿ありは、センサーが不要な分、安価です。一方食品の形によってはつかえてしまい、皿が回らなくなったりします。何もないタイプは、基本入れたらOKで、その分、自由度が高いですし。楽と言えます。

この単機能レンジの相棒と言えるのが、「オーブントースター」。「オーブン」と「グリル(トースター)」を組み合わせた調理家電です。

オーブンレンジとは

一方、レンジに「オーブン」機能を持たせた「オーブンレンジ」があります。オーブンと書かれでいますが、当然「グリル」機能も持っています。つまり「焼き、蒸し」全入りの調理家電。最強調理家電の一つです。

そして熱を伝えるのが「過熱水蒸気」か、「空気」かで二分されます。水蒸気は空気より冷めにくい分、しっかり熱を伝えます。

電子レンジには、このように「過熱水蒸気オーブンレンジ」「オーブンレンジ」「単機能レンジ(皿なし)」「単機能レンジ(皿あり)」の4種類があります。

オーブンレンジ vs 電子レンジ+オーブントースター

揚げ物の「温め」で違い

「温め」と「解凍」は電子レンジの基本機能。中食、冷凍食品が増え続ける今、電子レンジがないキッチンは、考えられません。オーブントースターをすでに持っている人も多く、単機能レンジを狙っている人もいると思います。双方ともに基本は「レンジ機能」での対応ですが、上位機種は「揚げ物系」、人気のから揚げ、フライ、天ぷらは違う設定指定を推薦しているモデルがほとんどです。なぜなら、揚げ物を温める時、レンジを使うと余り美味しく温まらないからです。

このため、多機能を誇るオーブンレンジには、料理に合った「温めメニュー」が用意されています。揚げ物系は「電子レンジ」ではなく、「グリル」を使って温めます。オーブンレンジのいいところは、センサーを搭載しているので、この様な基本機能が自動で設定できます。ただ、設定は自動ですがレンジでの温めは位置(高さ)などをきちんと調整しなければならないのと、使用後のパーツを洗浄することも必要ですから、ちょっと手もかかります。

では、単機能レンジとオーブントースターを持っている人はどうしているのか。オーブントースターで温めが基本メニューになくても、マニュアル対応が可能です。目安は200℃で約10分。ただし問題もあります。「焦げ」です。温め時の焦げは美味しくないですから、目を光らせる必要があります。必殺のアルミホイルで、直接熱線を受けないようにするという技もあるのですが、今の時代、無闇にゴミを出すのはちょっと憚られます。
時間もかかるし、一度冷えたものは、レンジで十分という人もいるのでしょうが、揚げ物はかなり味、というより食感が変わります。私個人は、待ってでも美味しい方をとりますね。

オーブンレンジが苦手な「トースト」

揚げ物の温めも悩ましい問題ですが、もっと悩ましいのがトースト。今、トーストするのには、オーブントースターが使われています。「数分(5分以内)」で、「両面同時」に、食パンを「入れる」だけでトーストできます。

一方、オーブンレンジはどうかというとそうはいきません。焼くのに「5〜10分」、モデルによっては「途中でひっくり返すことが必要」、そして「グリルパン(角皿)の上に脚付き網を設置」して焼くことになります。モードは「グリル」です。グリルは熱線で焼きます。このためオーブントースターのように、ヒーターが剥き出しがベストなのですが、レンジ機能があると庫内に金属は使えません。このためオーブンレンジは基本、庫内にヒーターを剥き出しにしていません。そしてもう一つ、オーブンレンジは庫内が広いのです。つまり庫内が温まりにくい。

このように不利なことが多いオーブンレンジは、どのようにトーストさせるのでしょうか?まず指定設定で、パンと庫内上面との距離:8〜10cmとグンと近づけます。これは、ほぼオーブントースターと変わりません。それの状態で焼きながら、庫内を温めます。そして片面焼けたらひっくり返します。裏面も焼けると終了。

これが前述の「グリルパン(角皿)の上に脚付き網を設置」、「途中でひっくり返すことが必要」、焼き時間は「5〜10分」というわけです。

トーストに関しては、色々な料理ができるのが裏目に出た感じです。

「ノンフライから揚げ」はオーブンレンジで定番化

昔、一世を風靡した「ノンフライから揚げ」。今では「鶏のから揚げ(ノンフライ)」と書かれる定番メニューです。一方、このブームでバカ売れした、フィリップスの「ノンフライヤー」が商品ラインナップから外れています。特化型の調理家電というのは、ブームが過ぎると消え去る運命なのかもしれません。

ノンフライから揚げの作り方は、とても簡単。市販の水で溶かない「から揚げ粉」を買ってきて、鶏肉によく馴染ませ、焼くだけです。当然、グリルモードです。しかし、市販のから揚げとの相性があるのか、あまり美味しくない場合もあります。当然、それを美味しく食べさせてくれるモデルもあります。美味しく焼けるメーカーに確認したところ、オーブン加熱とグリル加熱の併用で調理していますとのこと。もともとノンフライヤーはオーブン系です。オーブンレンジは、双方ともに持っているので、プログラムを上手く設定対応すればできるのです。

基本的、割とよく使われる超絶簡単レシピだけに、押さえておいて欲しいですし、ユーザーからみると、より美味しくとなります。悪戯にメニュー数を増やすより、基本的なベーシックメニューは念には念を入れて味を追求してほしいと思います。

オーブントースターが真似できないワンプレート料理

今流行りのワンプレート。確かに楽。野菜、肉、魚などをワンプレート焼くので楽です。多用している人も多いと思います。しかし、これ焼肉屋で焼肉を焼きながら周りで野菜を焼くのと同じです。プレートが巨大だからこそできる技です。

しかしながら、どの食材も完全にいい感じとはいかないですね。当然、ベストの焼き時間は違いますので。このため、野菜(ナスなど)は味噌焼き、肉は塩胡椒など、辻褄合わせるレシピにするとより、美味しく作ることができます。

うたい文句を鵜呑みにし、諦めるのでなく、工夫することがポイントです。

無限に増やせるメニュー

今はIoT家電が当たり前。実際、家電はガンガンネットに接続されています。一番人気は、スマートロック。玄関の鍵です。調理家電で一番進んでいるのは、オーブンレンジです。高価格にも関わらず、オーブンレンジに憧れるのは、色々な料理ができるからですが、IoT化される前で、大体150メニュー。ところがIoT化すると、オーブンレンジのプログラムを組む必要がありますが、レシピは無限だからです。

自社内で作るメーカーもありますが、料理研究家と組むメーカー、有名シェフと組むメーカー、レシピ投稿ホームページと組むメーカーなど色々あります。色々なメニューをダウンロードするのは今からもどんどん行われると思います。まぁ、どれが美味しいかは、貴方の好みによります。

さて、私はこのレポートを書く上で、色々なメーカーのオーブンレンジをテストしました。寸評します。

3メーカーのオーブンレンジをテスト!

シャープ
ヘルシオ AX-XA20

画像: jp.sharp
jp.sharp

過熱水蒸気を熱源にしたのはシャープが初めて。ヘルシオは、オーブンレンジの革命児で、そのDNAは今も脈々と生きている。ただし、他社も過熱水蒸気を採用しているので、完全な優位性はありません。それを補うように、最近は社を上げて、AIoT推進を掲げています。

○よかった点○
要所要所で音声によるサポートがされるが的確で、わかりやすいです。シャープは音声でのコミュニケーションに大きな可能性を感じでおり、色々な家電に使っているが、技術、ノウハウともに実力があり感心させられます。先日、家電に使われる声を、自分の好きな声優の声に代えることができるようすることが発表されていました。

×いまいちな点×
アプリの中に、Web広告が出ています。これは今ドキとも言えますが、シャープの場合、広告制限を設けていないのか、ひどいものが出てくる時があります。美しい料理写真でメニューセレクトしている時だったので、私はゾーッとしてしまい、やる気を失ったのも事実です。メーカーのアプリとしての品位は、保って欲しいと思います。

画像: メーカーのアプリに広告は入れないで欲しい

メーカーのアプリに広告は入れないで欲しい

東芝
石窯ドーム ER-WD7000

画像: www.toshiba-lifestyle.com
www.toshiba-lifestyle.com

ペットネームにある通り、庫内上面が石窯のように湾曲しています。これにより電子線などをうまくコントロールできるようにしているのです。しかし、注目は何と言っても「350℃」という高温。格闘技では「技は力の中にあり」という格言がありますが、350℃というパワーはとても魅力。時短にもなります。

○よかった点○
料理が美味いです。特に美味しいのが、「鶏のから揚げ(ノンフライ)」。どのスーパーでも手に入る「日清 から揚げ粉」と「鶏ももブツ(輸入肉)」でも、実にジューシー。美味しいです。から揚げ好きにお勧めしたいモデルです。また清掃時の時短も。高温で脂を焼き切ったり、浮かしたりするのだがハイパワーだけに半端ないです。実に、きれいになります。また、深皿タイプのグリルパンも同梱されており、多彩なメニューを作ることができます。

×いまいちな点×
これだけの火力がありながら、トースト時ひっくり返さなければなりません。あと、調理時の音に比べ、冷却時の音がものすご過ぎること。差が激しすぎるのではと思います。また、細かいですが、もう少しコンソールパネルにも識別性を入れて欲しいろ思います。

パナソニック
3つ星 ビストロ NE-BS2700

画像: panasonic.jp
panasonic.jp

最近、今後の方向性を打ち出せていないと言われることが多いパナソニック。しかし、ことオーブンレンジに関しては、今までのニーズなどに対し、きちんとした仕様で答えられています。特にグリル皿は、ひっくり返さずとも両面が焼ける傑作技術アタッチメント。

○よかった点○
ともすれば面倒であり、使われない可能性も高い「トースト」にも全力、誠心誠意対応していること。5分、ひっくり返さすに焼けるのは、パナソニックの誠意と言えます。
また前述のグリル皿のできはものすごく、抜群の使い勝手。操作系もほぼ欠点がなく、優等生中の優等生モデルと言えます。攻守とも隙がないと言えます。

×いまいちな点×
その分、値が張ります。ただし、払う価値は十分あるモデルです。

三菱電機、アイリスオーヤマは?

価格が著しく異なるので、上記3モデルと直接比較できませんが、寸評しておきます。

三菱
ZITANG RG-HS1

画像: www.mitsubishielectric.co.jp
www.mitsubishielectric.co.jp

三菱のZITANG RG-HS1は、グリル機能を強く意識したモデルで、わざと庫内を狭く設計してあります。同時に「レンジ(解凍)」→「グリル(調理)」を強く意識しています。ただし発売が、2017年と古く、最新機種と比べるとスペック的には落ちます。その分、安くもあり、それを加味すると購入候補に入れることができるレベルです。

アイリスオーヤマ
スチームオーブンレンジ

画像: www.irisplaza.co.jp
www.irisplaza.co.jp

今年より、オーブンレンジに本格参入のアイリスオーヤマは、わざと庫内にヒーターを出したモデル。こちらもグリルを意識しています。ただしまだメニューも含め熟成されていません。今からの頑張りに期待したい。

日立は製品テストが間に合わせなかったのでノーコメントとさせていただきます。

2021年のオーブンレンジ総評

機能的には、日本人が多用する「温め・解凍」の「レンジ」機能、そして調理は「グリル」機能に力点を置き、これにスマートフォンに似た操作感を合体させています。ここがプアだと、メニューを増やしてもお話にならないのですが、各メーカーともかなり心得ており、頑張っているのが見て取れる。ただし、トースト、ノンフライ唐揚げなどは、あって当たり前だが、トレンドではないメニューには、ちょっと手抜き加減なところを感じるモデルもありました。

新しくメニューを増やすだけでなく、家庭料理はこうあるべきで、基本的な焼き方はこうで、それが自動でできるときちんとアピールすべきではないかと感じました。その結果、例えば、トーストはできませんと宣言するのも一つのある姿だと思います。

あと、シャープのところでも書かせていただきましたが、IoTを駆使した場合、製品だけでなく、アプリなども向上させる必要があると思います。機能もそうですが品格も重要。メーカーはアプリ、ホームページでも品格を問われる時代になったのですから。

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。

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