【ラッセルホブス ケトル藤】日本で進化した英国生まれの電気ケトル 伝統と新しさを兼ね備えた傑作家電

調理家電

お湯を沸かすのに便利な「電気ケトル」は皆さんの家にも一つはあるのではないでしょうか。日本でフランスのブランド「ティファール」がおなじみですが、ヨーロッパでメジャーなのはイギリスの「ラッセルホブス」なのです。そんな英国生まれの電気ケトルが日本で進化し、知る人ぞ知る傑作家電として根強い人気があるのです。ご紹介しましょう。

ヨーロッパでは「電気ケトルといえばラッセルホブス」

電気ケトルの基本を作ったラッセルホブス

日本でも当たり前になりつつある「電気ケトル」。皆さんの家にも一つはあるのではないでしょうか。日本で頑張っている代表格といえば、フランスのブランド「ティファール」。しかし、そのお膝元ヨーロッパでメジャーなのは、英国生まれの「ラッセルホブス」なんです。

日本では、デパートなどで展示販売されているような、どちらかというと高級家電です。日本で見かけるラッセルホブスの電気ケトルは英国のものと違いがあります。日本と英国の家電の違いといえば、電力事情をあげる人が多いでしょう。欧米の200Vに対して、日本は100V。
しかし、この電気ケトルに関しては「デザイン」に大きな違いがあります。今回は、ラッセルホブスの電気ケトルをレポートします。

日本人がヨーロッパでアパートを借りた時に、まず「あれっ」と思うのが、ガス台周り。必ずと言っていいほど電気コンロなのです。一番大きな理由は「換気」でしょうね。ドイツなどは南ドイツのミュンヘンが札幌と同じ緯度。首都のベルリンだと樺太、みんな今時分、9月も終わりですと薄手の革モノを着ているのではないでしょうか。それくらい寒いです。

このため、ヨーロッパの建物は暖房の熱が逃げないように密閉度が高い設計になっています。つまり換気が悪い。暖炉や煙突があるから大丈夫ではと?いう人もいますが、煙突が付いていても換気がスムーズにされるわけではありません。余り良くない。北欧は寝るときは冬でも窓を開けて寝るほど。そうでないと頭が重いそうです。火を避けてオール電化にしたくなる理由よくわかります。

電気ケトルが普及したのは、「沸騰すると自動的に電源が切れる」機能をつけたためです。湯を沸かすだけの単機能ではありますが、これがえらくウケました。理由は、ほったらかしにできるから。白物家電は、細々した家事を上手く、楽に片付けることにあります。火を止めるためにやりかけの家事を中断しければならないのと、キリがいいところまでやってしまえるのは大きな差。このような理由で、ラッセルホブスの電気ケトルがヨーロッパでの標準となりました。
1960年代のことです。

初の電気カフェケトルは日本発?

ラッセルホブスに欠けていたもの

手早く、常に新しいお湯を沸かすことが可能な電気ケトルの対抗馬は、言うまでもなく、電気ポット。日本には、動物の名前を冠した2社がこの電気ポッドで有名ですが、「常に新しいお湯」に魅力を感じた大石アンドアソシエイツは、ラッセルホブスの日本における販売総代理店なります。新しい文化として、日本に電気ケトルを入れようと言うのです。それはまた、大石アンドアソシエイツのもう一つのビジネス「コーヒー」に関してもプラスになることでした。それが2000年です。

2000年モデル。今でも古くないデザイン。魅力的なデザイン。

しかし、実はラッセルホブスの電気ケトルには欠けている概念があります。それは、電気ケトルが、コーヒーをドリップ抽出できる形状をしてないと言うことです。コーヒーのドリップ抽出は、湯量、かける位置などを細かくコントロールする必要があるので、湯の注ぎ口は、細くコントロールしやすい形状をしているのですが、そのような注ぎ口を持ったモデルがラッセルホブスのラインナップに見当たらないのです。

理由は簡単。ヨーロッパのコーヒーの中心はエスプレッソ。ドリップはエスプレッソが出た以降、ヨーロッパではマイナーなのです。このため、日本のユーザから望まれる形状の注ぎ口を持つ電気ケトル、カフェケトルは存在しなかったのです。

ライセンスビジネスは「和魂英才」

実は、この時大石アンドアソシエイツは、販売総代理店契約をしていたのですが、それに加えて「ライセンス契約」もしていました。ライセンス契約というのは、その会社のメインエリアで、自社が企画した製品を、ライセンス先のブランドで販売することができるという契約です。しかし、商品一つ一つ、ライセンス元の認定を取らなければなりません。手続きも面倒ですが、先方のブランドコンセプトに添うように商品化する必要があります。

こうしてできたのが、世界初の電気カフェケトル。2005年のこと。折しも2000年前後から始まったコーヒーのサードウェイブは日本の丁寧に入れるドリップ抽出が核になっていますが、それに使える電気カフェケトルも日本発なのです。「和魂英才」ともいうべき、ラッセルホブスの電気ケトルなのです。

ラッセルホブスの電気カフェケトル。ドリップしやすい様に、サイズ、バランス、注ぎ口など、細部まで工夫がなされている。「定番」と言える出来。

russellhobbs.jp

今のカフェを代表するスターバックスコーヒーも、2007年スターバックスとラッセルホブスのWブランドで取り扱いました。スターバックスは、焙煎度が深いことからもわかる通り、元々はエスプレッソ系。しかしトレンドをよくつかんでおり、ドリップにも理解があります。今の人気のスターバックス リザーブにつながる動きです。

最新の電気ケトルも魅力的

まさに電気やかんというにふさわしい「Tケトル」

最近ラインナップされたモデルに、Tケトルというモデルがあります。「The YAKAN(やかん)電気ケトル」と称されるモデルです。これが実に魅力的。

T Kettle

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デザインは、日本人には馴染みのやかんを上品にした感じ。茶の湯ほど凝ってはいませんが、茶道を嗜む人が普段使いするのにピッタリなデザインです。それでいて、細く、まろやかに、お湯を注げるよう注ぎ口が工夫されています。そしてフタを開けるとφ11cmの給水口。まるで鍋のよう。

見た瞬間に、「これ日本酒を御燗するのに使える!」と思いました。家で御燗をつける場合、昔はこのようなやかんに徳利を入れて御燗をしたモノです。和の日常道具という感じの使われ方です。しかし生活習慣が変わると、そんなこともなくなります。今は、電子レンジ温めですかね。色気が全くありません。また専用の電気御燗器もありますが、こちらも色気がありません。デザインがよくない。ところがT-ケトルは、中に徳利入れられますよと誘っている感じです。江戸は「黒」を粋に着こなすのがいい女と言われましたが、まさにそんな感じ。しかも温度調整機能まで付いています。昼は日本茶、夜は日本酒。問題は、電気ケトルはお湯を沸かすという機能に特化しているため、メーカーの保証外ということですが、自己責任でもしたいですね。とても気に入り、今、我が家のテーブルの上で大活躍中です。

また、「ケトル藤」も、お茶系のデザイン。こちらは紅茶、中国茶にも合う感じのモダンデザインです。

ケトル藤
カフェケトルの長い注ぎ口とはことなり、本体上部に設置された注ぎ口が特徴。

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ブレないコンセプトが未来を開く

ラッセルホブスのケトルは、新しいデザインでも「伝統的な」という表現が当てはまる感じです。理由は二つあると思います。

一つはステンレス製であることです。家電では、その扱いやすさから樹脂が多く用いられます。しかし嗜好品は、どちらかというと樹脂を嫌います。それは樹脂の匂いが移るからです。調理器具を考えていただくとすぐわかるのですが、プロが使うものは、金属、ガラス、セラミックでできています。本体に樹脂を使わない、昔からの作りです。安全性をとやかくいう人もいますが、やかんが熱いのは当たり前。ヨーロッパは大人世界なのです。

もう一つは、単機能ということです。昔の笑い話に、日本の家電は何にでも電卓が付いているというものがありました。エレクトロニクスで日本が一躍有名になったのを揶揄した小話ですが、ともすれば、複合的な機能を持つ家電も多いのは事実です。典型的なのはオーブンレンジでしょうね。電子レンジに、オーブン、グリル機能を持たせた総合調理家電ですが、それぞれの機能の特徴を理解、料理ごとに切り替える必要があり、中々使い勝手の良いモデルに巡り合いません。途中挫折家電番付の常連です。しかし単機能だと、それがないわけです。使い勝手がとてもいいです。

しかし欠点もあります。道具が増え続けるのです。場合によっては、置き場所に困ります。しかし、それをデザインでカバー。置いておいても問題ないレベル、インテリアレベルにまで昇華させれば問題がありません。

まとめ

2台目3台目の電気ケトルとして人気

ラッセルホブスは、初めての電気ケトルではなく、二台目、三台目の電気ケトルとして人気があります。モノがよく分かった人が買われるのです。ラッセルホブスの電気ケトルは、日本とイギリスの良いところが融合した傑作家電だといえます。

Russell Hobbs(ラッセルホブス) ケトル 藤 7210JP | オートオフ機能 空焚き防止 電気ケトル 自然保温力
ラッセルホブスはその品質の高さやデザインのみならず、技術力の高さから世界各国で高い評価を得ている、1952年創業のイギリスの代表的な家電ブランドです。
モダンな佇まいが空間までも静かにデザイン。
安心設計、湯沸かしの速さ、自然保温力の高さが特徴です。
和食の食卓に合い、木目調ディテールのパーツを配したジャパニーズモダンを感じさせるケトル。
内容量:1個(W21.0×D15.0×H27.0cm)
¥11,000
2021-09-22 14:38

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。

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