リンサークリーナーをご存じでしょうか? ソファやカーペット、クルマのシートなどの布製品に水を吹き付け、汚れを浮かせ、汚れを水ごと吸引する掃除機のようなクリーナーです。ホテルでカーペットなどを清掃している業務用のものを、見たことのある方も多いのではないでしょうか。このリンサークリーナーの家庭向け商品がアイリスオーヤマから発売されており、非常に人気だと知り、実際にその実力を試してみました。
執筆者のプロフィール
齋藤千歳(さいとう・ちとせ)
元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在は昨年8月に生まれた息子と妻の3人、キャンピングカー生活にハマっており、約1カ月かけて北海道を一周するなどしている。
布製品の洗浄ができる「リンサークリーナー」
電動噴霧と2つのヘッドで快適な使用感
リンサークリーナーとは、汚れに水を吹き付けて浮かせ、汚れと水をいっしょに吸引して清掃するクリーナーです。カーペットやソファ、クルマのシートなど、水洗いしづらい布製品の汚れを取り除くことができるのです。
今回テストしたのは、「リンサークリーナー RNS-P10-W ホワイト(以下、「RNS-P10-W」)」。2021年2月に発売された、アイリスオーヤマの家庭用リンサークリーナーの最新モデルです。2019年にアイリスオーヤマから発売されて大ヒットとなった「リンサークリーナー RNS-300 グレー/ホワイト(以下、「RNS-300」)」の上位機となります。
「汚れは気になるけど、思うように掃除ができない」というストレスを解消してくれるからでしょうか。アイリスオーヤマのリンサークリーナーは、Amazonなどのネットストアでは、高圧洗浄機本体やスチームクリーナーのAmazon 売れ筋ランキング1位になるほどの人気商品です。
さて、2年前に発売されて人気を博した「RNS-300」と比べ、最新機種の「RNS-P10-W」は何がどう変わったのでしょうか。筆者は「RNS-300」を実際に使用した経験がないので、取扱い説明書や仕様書でしか比べられませんが、大きな違いは2つ。
(1)水の噴霧が電動化された
(2)掃除用のヘッドが2種類に増えた
という2点です。
従来モデルの「RNS-300」では、汚れに水を吹き付ける際、霧吹きのようなレバーによる「手動」だったようです。新型の「RNS-P10-W」では、水の吹きつけは電動化されています。実際に「RNS-P10-W」を使用した筆者の感想としては、広い範囲を清掃するなら、水の吹き付けを手動で行うのはキツそうです。あっという間に手が疲れ、握力がなくなってしまうでしょう。
さらに新型の「RNS-P10-W」では、ブラシで汚れを掻き出して吸引する「ブラシ付きヘッド」のほかに、隙間や狭い部分にも使いやすい「T型ヘッド」が付いてきます。詳細はのちほど紹介しますが、この2つのヘッドを使い分けることで、筆者は非常に気持ちよくリンサークリーナーを使用することができました。
ほかにも、掃除用の清水タンクも、「RNS-300」が約0.3lなのに対して、「RNS-P10-W」は1.1lの大幅増量。吸引仕事効率は30Wとどちらも同じですが、「RNS-P10-W」のほうが10dbほど静かになっているなど、「RNS-300」での不満点を補った新製品となっているようです。
筆者個人としては、特別な理由がないかぎり「RNS-P10-W」をおすすめします。
実際に掃除してみた
ソファのシミがおもしろいほど落ちていく
我が家のリビングにあるソファのオットマン。我が家にはちょうど1歳になった息子がおり、この上でさまざまな液体をこぼしたり、かみついてヨダレをつけたり、食べ物を落として踏みつけたりと、さまざまなシミができているのですが、なかなか掃除ができていませんでした。実はカバーを剥がして丸洗いもできるのですが、再度カバーを付けるのも面倒でそのままなっていたわけです。これを「RNS-P10-W」で掃除しました。
噴射レバーを引き、水を散布しながらハンドツールを手前に引いて、水と汚れを吸引していきます。
ソファの素材などによっては使用できないこともあるので、説明書をしっかり確認しましょう。筆者は、目立たない部分、裏面などで一度試してから、ほかの部分を清掃しています。
最初は、水の散布機能が付いた「ブラシ付きヘッド」で、水をかけながらブラシでこすって吸引しつつ、汚れを浮き上がらせます。
その後、水を吹き付ける機能のない「T型ヘッド」に付け替え、汚れと水を吸引します。「T型ヘッド」は透明で、水を吸引している様子がしっかり目に見えるためか、使いやすく感じたのです。
また、清掃後の仕上がりは、「こんなに簡単にソファのシミが落ちるなら、なんでもっと早くリンサークリーナーを導入しなかったのか?」と思うほどでした。
やや気になったのは、ヘッドの交換のスイッチが押しづらく、水が垂れる点などです。
また、「RNS-P10-W」でクリーニングした後は、汚水は吸引されているとはいえ、湿った状態です。乾燥させずにそのまま座ると、ズボンなどが濡れてしまうので注意してください。
クルマのシートに点在する謎のシミもスッキリ
購入してから約10年の我が家のミニバンは、車中泊にも使っていたため、すでに何をこぼしたかすら覚えていない謎のシミがあります。
何かをこぼしたら、そのたびに濡れぞうきんで叩くようにシミ抜きをすればよいのでしょうが、当然そんなことはしておりません。
黒を基調にしたシートに白っぽい汚れがあるのは、気になっていたのです。しかしこれも、「RNS-P10-W」で水をかけた後、強めにこすって、浮かせた汚れと水を吸引したら、かなりスッキリなくなりました。
乾いてこびりついた古い汚れまでスッキリ落ちるのが、とても気持ちよいです。
クリーナーの音はどれくらい?
「RNS-P10-W」は、前機種の「RNS-300」よりも10dbほど動作時の音が小さくなっているとのことだったので、スマホのアプリで簡易的ですが、音を測ってみました。
結果は約80db。
どのくらいの音かというと、「窓を開けた地下鉄の車内レベル」「我慢できないレベルの騒音」だそうです。
確かに、クルマの中で使っている最中も、「ラジオを聴きながら楽しくお掃除」などできないレベルの音が響いていました
実を言うと筆者は、リンサークリーナーで掃除をするのが楽しくて、音はあまり気になりませんでしたが、実際はかなり大きな音がすると思って間違いありません。
キャンピングカーユーザーは必携
最後になりましたが、筆者はリンサークリーナー「RNS-P10-W」を最も使ってみたいと思ったのが、キャンピングカーの内装です。ちなみに筆者は個人売買で中古のキャンピングカーを購入しているため、ところどころ正体不明のシミや汚れがあります。
また、ベースとなっているトラックの運転席以外のファブリックは、おそらくスエード調人工皮革のウルトラスエードやエクセーヌと思われる素材を使っています。リンサークリーナーでどこまで清掃していいのか判断が付かなかったので、目立たない部分で試してみてから「RNS-P10-W」で清掃しました。
ちなみにTORAYによると、ウルトラスエードは手洗い、もしくは手洗いモードでの洗濯が可能。衣料品やソファカバー、クッションカバーなどは、裏地や芯地などの問題がなければ、洗濯できるといいます。ただし、「RNS-P10-W」の説明書にウルトラスエードなどへの対応は明記されていないので、自己責任となります。ご注意ください。
筆者は実際に、キャンピングカーの内部を「RNS-P10-W」でかなり清掃しましたが、吸引した回収水の色に驚くほど、汚れが取れました。筆者は「RNS-P10-W」がすっかりお気に入りです。
内装に使われている素材にもよりますが、キャンピングカーユーザーには、ぜひおすすめしたい素晴らしい結果でした。
まとめ
ソファやベッドが水洗いできるのは「すごくいい!」
「RNS-P10-W」を実際に使ってみての感想は素直に「すごくいい!」です。ソファにクルマのシート、キャンピングカーの内装、さらにはベッドなど、シミや汚れが気になるファブリック製品を水洗いできるリンサークリーナーは、非常に気持ちのよい清掃製品です。今回ご紹介した「RNS-P10-W」は非常におすすめです。ぜひ、一度使ってみてください。
インターネットで「リンサークリーナー」を検索すると、アイリスオーヤマの「RNS-300」か「RNS-P10-W」がヒット。それら以外はかなり大がかりな業務用といった感じなので、現在のところ家庭用としてはアイリスオーヤマ1択といった状況のようです。各社が参入することで、一気に進化しそうなクリーナーのカテゴリーでもあるので、もっと多くのメーカーからリンサークリーナーが登場することにも期待したいと感じました。