政府の料金値下げ要請に応じる形で、各社は料金プランを改定。ドコモ、KDDI、ソフトバンクはもちろん、楽天モバイルや格安スマホ事業者も、料金体系を一新。料金プランを見直すには、各プランの詳細を知るだけでなく、自分の使い方を把握しておく必要がある。その方法をチェックしておこう。
3大キャリアの新料金プランは万人向けではない
大手キャリア3社は、料金値下げの”目玉”として、オンライン専用の料金プラン、ブランドを導入した。ドコモのahamo(アハモ)、auのpovo(ポヴォ)、ソフトバンクのLINEMO(ラインモ)がそれだ。
各社、データ容量は20Gバイトで月額3000円弱ということでスタートしたが、povoは1G~150Gバイトの容量を自由に購入する方式に変更、LINEMOは3Gバイトのミニプランを追加するなど、価格競争に拍車がかかっている。
一方、このオンライン専用の料金プランというのは、必ずしも万人向けではない。例えば、店舗でのサポートを利用できないのが弱点だ。初期設定などはすべて自分でやらなければならず、不明点があった場合も店舗に出向いて聞くということはできない。ネット上で、チャットなどで対応してもらうというのが基本だ。
最も厄介なのが端末が紛失・故障で使えなくなった場合。ahamoなど、一部、修理に店舗を使えるケースもあるが、代替機を用意するといった手厚いサービスはない。修理の間に使う端末を自分で用意しなければならないため、ハードルが高い。要は、こうした点がセルフサービスになったぶん、料金が安いということだ。自信がなければ、店舗が使えるワイモバイルやUQモバイルを選ぶべきだ。
▶電話でのサポートは受けられず、基本はチャットでのやり取りとなる
オンライン専用プランは、店舗でのサポートを受けられない。チャットなどでの対応になるため、解決に時間がかかることもある。
▶LINEMOはLINEで問い合わせ可能
LINEMOはLINEブランドを冠しているだけに、料金プラン変更や問い合わせをLINEで行える。ただし、こちらもショップは利用不可。
LINEMOのミニプラン、ワイモバイル、UQ……。どれがいい?
大手3キャリアの月額制プランとして、最も安価な低容量プランを打ち出したのが、LINEMOの「ミニプラン」。3Gバイトで990円と、格安SIM並みの安さだ。
ただ、店舗でのサポートが必要なら、同じソフトバンクのワイモバイルや、KDDIのUQモバイルを検討したい。ワイモバイルは3Gバイトで2178円、UQが1628円。ベースの料金が安いうえに、割引サービスもある。ワイモバイルは家族割引があり、2回線め以降が1188円割り引かれる。
対するUQモバイルは、電気サービスか固定回線をセットにすれば、料金は990円に下がる。特に電気は、ほぼ全世帯が契約しているもの。切り替えも簡単で、適用条件として非常に緩い。割引は1回線めから適用される。店舗でサポートを受けつつ、節約をしたいという人にはUQモバイルがおすすめだ。
▶LINEMOの「ミニプラン」は注目だが……
LINEMOのミニプランは、3Gバイトで990円と破格の料金。割引はなく、契約するだけでいい。
▶電気サービスなどとのセットで割引!
UQモバイルの5Gプランなら、電気サービスか固定回線をセットにすれば3Gバイト、990円に。
「楽天モバイル」って、そろそろメイン回線に使える?
1Gバイト以下は0円という破格の料金プランを打ち出した楽天モバイル。料金プランは段階制で、3278円で使い放題になるのも魅力。契約者数が300万を超え、そろそろメインの回線にしたいという向きもあるだろう。とはいえ、大手3社に比べるとやはりエリアは狭い。人口カバー率が96%に達するのは年内いっぱいに延期され、地方展開には不安が残る。
本サービス開始から1年強と日が浅いため、都市部ですら地下やビル内は圏外になることもある。一方、短期間でエリアが拡大したというのも事実。生活圏にもよるが、十分使える人もいる。1Gバイト以下は料金がかからない特徴を生かし、まずはお試しで契約して見るのも手だ。デュアルSIM端末を用意して、2回線めとして使うと電波状況を把握しやすい。
▶「1Gバイトまでは無料」はインパクト大
楽天モバイルの料金。1Gバイト以下は0円と型破りの料金で、とりあえず契約しておいてもいい。
▶受信可能エリアの拡大は遅れている
エリアの拡大にはやや遅れがある。マップに表れないビル内なども、同サービスの弱点だ。
うっかり解約し忘れているサービスがないか、チェックしよう!
料金プランの見直しと同時にやっておきたいのが、不要なサービスの見極めだ。特にスマホ関連のサービスは、月額課金制で提供されているものが多く、気づかないうちに料金がかかってしまっていることがある。1ヵ月あたりの金額は微々たるものとはいえ、チリも積もれば山となる。
真っ先にチェックしておきたいのが、キャリア系のサービス。動画や音楽など、きっちり使って元を取れるならいいが、アプリすら開かないというようなケースでは、解約しておきたい。機種変更時に値引きの条件になっていることもあるため、改めて見直そう。
こうしたサービスの解約は、基本的に「My docomo(マイ ドコモ)」のような契約者用サイトで手続きできる。忘れがちなのが、アップルやGoogleが提供しているサービス。こちらは、App StoreやGoogle Playから、サブスクリプションの解除を行う必要がある。また、自分でインストールしたアプリの中にも継続課金をするものがあるため、合わせて見直したい。
▶契約を確認し、不要なものは解約しよう
キャリア運営のサービスは、「My docomo」などの契約者用サイトで解約可能。まずはここをチェック。
忘れがちなのが、App StoreやGoogle Play。未使用の定期契約サービスは、きちんと止めておきたい。
各社の会員サービスを利用して、自分の「通信量」を確認しよう
料金プランを見直す際に参考になるのが、自分の使ったデータ量。各社とも、データ容量ごとの料金プランを用意しているため、最適なものを選ぼうと思ったら、まず自分の使い方を把握しておく必要があるというわけだ。といっても、確認方法は簡単。ドコモは「My docomo」、auは「My au」、ソフトバンクは「My SoftBank」を開くだけだ。契約している料金プランと、データ容量の残量がすぐに確認できる。
特に、小容量や中容量の料金プランを契約している場合、使い方によってはデータ容量が足りなくなってしまうケースもある。速度制限を受けると使い勝手が大幅に悪化してしまうので、こまめに確認し、足りなくなりそうな場合は節約しながら使うようにしたい。各社とも専用アプリ(ドコモは「My docomoアプリ」、auは「デジラアプリ」、ソフトバンクは「My SoftBankアプリ」)があるので、それをインストールしてもいいだろう。
▶各キャリアの通信量確認方法
ドコモは「My docomo」で、実際に使ったデータ使用量を確認できる。
auは「My au」というサイトやアプリを用意。データ使用量を簡単に確認可能。
ソフトバンクは、サブブランドのワイモバイルにも同様のサイトがある。
各社のサイトでなく、スマホ本体でもデータ通信量を確認できる
使ったデータ量は、各社のサイトだけでなく、端末側でチェックすることも可能だ。Androidは月単位、iPhoneはこれまで使ったデータ量の総量が記録されている。Androidの場合、一定のデータ量を超えた際に通知として警告を出したり、データ通信自体をストップしたりすることもできて便利だ。iPhoneは、データ使用量を月ごとに集計していないため、月初にリセットをかけておく必要がある。少々めんどうだが、総量を知っても節約の意味はないため、忘れずにやっておくようにしたい。
ただし、端末側でのデータ使用量の集計は、Android、iPhoneにかかわらず、あくまで概算となる。キャリア側で集計している実際のデータ量とは、必ずしも一致するわけではない。
そのわずかな差で、契約しているプランのデータ容量を超えてしまうおそれもあるので、段階的に料金が上がっていくプランの場合は、特に注意したい。
▶スマホ本体で通信量を確認する
iPhoneは「設定」→「モバイルデータ通信」でデータ使用量の総量がわかる。月末が過ぎたら、忘れずにリセットをかけよう。
Androidは月ごとのデータ使用量を表示できる。起点となる日付を変更することも可能。警告やデータ通信の停止など、機能も充実。
SIMロック解除やeSIMなど、新しい作法を覚えよう
2021年10月から原則としてSIMロックの即時解除が義務付けられる。SIMロックとは、特定のキャリアのSIMカードしか使えないようにする制限のこと。この制限があったため、キャリアを変えたら端末ごと買い直さなければならなかった。その意味で、10月からはキャリアを変更しやすくなる。 一方、条件さえ満たせば、今利用しているどの端末でもSIMロックを解除することは可能。端末を一括で支払っていたり、割賦の支払いにクレジットカードを使っていたりすると、会社によっては購入時にSIMロックを解除してくれるケースもある。
SIMロックを解除すると、一部の端末でeSIMの利用が可能になるのもメリットだ。eSIMとは、端末内のICチップにオンラインで契約者情報を書き込める仕組みのこと。代表的な対応端末はiPhoneやPixelだが、そのほかの端末にも徐々に対応が広がっている。eSIMならオンラインですぐに契約できるため、乗り替えがしやすくなる。
▶SIMロック解除によるメリットを活用したい
2021年10月1日以前の端末も、SIMロックの解除は可能。契約者用のサイトで手続きすれば、事務手数料も無料になる。
SIMロック解除していれば、他キャリアのeSIMをインストールすることも可能。通常のSIMとeSIMで同時待ち受けもできる。
◆解説/石野純也(ジャーナリスト)