【塾選びのポイント】高校受験の対策はいつから?塾の種類や費用、失敗しない選び方を現役講師が解説

子供

子供の成長とともに浮上してくる「教育問題」。特に、高校受験への対策として、塾通いを検討する家庭は多いでしょう。ひとくちに塾といっても、種類はいろいろ。どうやって選べばいいのでしょうか。塾の種類や特徴、費用、子供に合う塾の選び方など、塾について知りたいあれこれを、現役の塾の先生に教えてもらいました。

解説者のプロフィール

佐々木高雅(ささき・たかまさ)

進学塾フォルテ講師。指導歴15年以上。大手学習塾在籍時は、難関高校等に1000名以上の生徒を合格させた実績を持つ。現在は横浜市に進学塾フォルテを開校し、1年間で模試の偏差値20アップの指導力を発揮している。
▼進学塾フォルテ(公式サイト)

塾はいつから行くべきか

5教科の基礎学力がしっかり備わっている子なら、中3からの入塾でも大丈夫です。具体的には、模擬試験で平均点+ 10点が取れる生徒さんと考えてください。そうでない場合は、中2の初め頃から入ってないと厳しいでしょう。

なぜなら、中3生は中3の内容を勉強しつつ、中1〜中3までの全範囲の入試対策をしなければならないからです。部活動の関係などで中2で塾に入るのが難しいのであれば、問題集など使って自分で基礎固めをしっかり行い、中3になってから入るという手もあります。
なお、高校受験に対してアドバンテージが欲しかったり、小学校の内容が怪しかったりする場合は、小学校高学年〜中1での入塾がおすすめです。

▼関連記事→【高校受験対策】入塾のタイミングと勉強の内容

塾にはどんな種類がある?

大きく分けて、30人前後をひとクラスで教える大手集団塾、10人前後をひとクラスで教える少人数制の個人塾、先生ひとりが生徒1〜3人を教える個人指導や家庭教師があります。それぞれの特徴は、以下のようになります。どのタイプの塾がお子さんに向いているか、体験入学などを通して決めていくとよいでしょう。

大手集団塾

全国展開をしているような大手集団塾は、進路に関する情報量が多く、個別指導や家庭教師に比べて安価で、生徒数が多いため合格実績が豊富なことがメリットです。

デメリットは、教える講師に差があるため、経験の乏しい大学生の講師や、熱意に乏しいベテラン講師などが教えるケースもあること。ときには、年度の途中で講師がコロコロと代わることもあります。また、1クラス20人以上のところが多く、上位生に合わせた授業についていけなかったり、人数が多くて質問しづらい面があったりします。

少人数制の個人塾

少人数制の個人塾のメリットは、大手塾に比べて1クラスの人数が少なくて一人一人に目が行き届きやすく、同じ講師が卒業まで見ることで、一貫した指導が行えることです。また、ほとんどの個人塾は、受験のプロフェッショナルが全教科の指導をするため、成果が出やすいです。

デメリットは、基本的には卒業するまで教える講師が変わらないため、その講師と合わないと続けていくのが厳しいこと。また、大手に比べて卒業生が少ない分、合格実績は豊富とはいえません。「◯◯高校に△△名合格」という安心感が欲しい場合は、大手の方がよいでしょう。

個別指導塾・家庭教師

個別指導塾や家庭教師のメリットは、時間的な都合をつけやすいことと、講師1人に対して生徒が1人または2人と少ないため、その生徒に合わせた授業をしてもらえることです。

デメリットは、集団授業に比べて、共に競い合う仲間が少ないことです。周りの仲間と切磋琢磨しながら勉強するのと1人でやっていくのでは、前者の方が成績の伸びるペースが早いことが多いと感じます。また、5教科全てを教えてもらうと、大学生の講師がメインでも料金が高くなります。プロ講師がマンツーマンで全教科教えた場合、年間で100万円を超えることも珍しくありません。

▼関連記事→【高校受験の塾選び】いい塾とダメな塾の見分け方

年間にかかる塾の費用

中3の場合、集団クラスだと大体50万円~80万円がひとつの目安です。1対1の個別指導型の塾では、オプションでいろんな授業をプラスした場合、月に10万円以上になることも。そのぶん成績は伸びるかもしれませんが、それなりの費用がかかることも覚えておいてください。

また、塾によっては、最初は安い金額を提示して、入塾後に講習費や模擬試験代、維持費などを上乗せしていくケースがよくあります。最終的には、最初に提示された金額の1.5倍から2倍ぐらいになると思っておくとよいでしょう。はっきりさせたい場合は「1年でいくらかかるかトータルの金額を教えてください」と言えば提示してくれるので、ぜひ聞いてみてください。

▼関連記事→【高校受験】年間の塾代がわかりづらい

よくある塾でのトラブル

トラブルで多いのは、生徒同士の人間関係です。「あの子がイヤ」「近くの席だと勉強ができない」などの揉め事が、中学生くらいになると急増します。そういったときは、クラス替えや席替えで対応するケースが多いです。私の場合、生徒同士の対立が見られたときは双方から話を聞いたり、いじめの報告を受けたときは、休み時間も教室の様子を見るようにしていました。

成績を上げる阻害要因になるものを排除することは、講師の仕事のひとつだと私は考えています。成績が伸びる伸びないはもとより、通うのすら嫌になってしまうというのは、どこの塾も不本意なはず。なにか気がかりなことがある場合は、通っている塾に遠慮なく相談してみてください。

教え上手な先生を探すには

教えるのが上手な先生は、もともと「教えるテクニック」を持っていることがひとつ。加えて、そういう先生は情熱があり、普段からいろいろと研究している人が多いです。教材で勉強したり、生徒ひとりひとりへの対策を練ったりと、生徒の成績を上げるために、やることはたくさんあります。中には「休みの日まで仕事をしたくない」という人もいますが、休みを削って研究した成果が授業に反映され、生徒の理解度が目に見えて上がることがあるので、そこはやはり大事にするべきだと感じます。講師が頑張れば、生徒たちも熱意に引っ張られてついてきてくれるというのも、大きなポイントです。

経験的には、全国展開している大手塾ではなく、個人が経営しているような塾に情熱を持っている先生が多いと思います。そういった塾は、大手の塾で講師を経験した人が、もっと理想のものを作ろうとして開くケースが非常に多いからです。ただ、個人塾は大々的に広告を出していないことが多く、たどり着くことが難しいのが難点です。個人塾の評判は口コミで広がっていくので、地元で情報収集をするのが一番の方法になります。

▼関連記事→【塾講師についての疑問】高校受験の塾にもカリスマ講師はいる?

成績アップ以外のメリットも

勉強ができるようになることと同じくらい、人間的に成長できるのが塾だと考えます。例えば、定期テストや入試に向けたスケジュールを自分で立てることで、成績を上げるために何が必要かを生徒自身が判断できるようになり、主体的に行動できるようになります。

また、できなかった問題が解けるようになると、本人の自信につながります。小さな成功体験の積み重ねは、スポーツや生活面にも良い効果をもたらします。性格が明るくなったり積極的になった生徒さんを、これまでたくさん見てきました。

過去には、苦手だった数学のおもしろさに目覚めて、数学の先生を目指すようになった子もいました。いろんなことができるようになって選択肢が広がると、未来が明るくなります。新しい可能性の扉を開くお手伝いが、塾にはできると思っています。

▼関連記事→【子供のやる気】集中力をつける「ポモドーロ・テクニック」とは?

まとめ

「塾なんてどこも同じ」と思われがちですが、実際はスタイルも費用もまちまちです。お子さんの努力を無駄にしないためにも、どの塾が合っているかよく調べて、納得のいく選択をしたいもの。親も子供も信頼のできる塾で、成績アップを目指したいですね。

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子供教育知識
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戸張真央(フリーライター)

編集プロダクション勤務を経てフリーライターへ。インタビューやレビュー、レポートなどを中心に執筆活動を行う。2人の息子を子育て中。猫ちゃん大好き!

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