キャンピングカーを仕事部屋として使用し、その中でコーヒーを沸かしたり、昼ご飯を作ったりという生活を送っている筆者は、普通の方よりもカセットガスの使用頻度は非常に高いのです。そして実はずっと気になっていたのが「カセットガスってメーカーごとに性能が異なるの?」という点。今回は5種類のカセットガスを用意して、カセットガスストーブでどのくらいの時間燃焼するのか、単純にそれだけを測ってみました。
執筆者のプロフィール
齋藤千歳(さいとう・ちとせ)
元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在はキャンピングカーを「方丈号」と名付け、約9平方メートルの仕事部屋として、車内で撮影や執筆・レビューなどを行っている。
基本的にはメーカー純正のカセットガスを推奨
メーカー不明のガスストーブでいろいろ試してみた
普段から多くの方が、焼肉や鍋料理など、カセットガスコンロを使って食事を楽しんでいるのではないでしょうか。しかし皆さん、ご存じでしょうか。カセットガスコンロに使うカセットガス(ガスボンベともいいますね)、実はメーカー純正品を使うのが基本です。
現在は、JIS規格で詳細に規格が決まっているため、異なるメーカーのカセットガスコンロとカセットガスの組み合わせでも、問題が発生することはほとんどないといいます。ただし、カセットガスにはほぼ必ず、「この容器(ボンベ)は〇〇専用容器です。この容器(ボンベ)の使用を指定しているもの(コンロ等)以外には使用しないでください。ガスが漏れたり、着火しない恐れがあります」などと明記されているはずです。これは、カセットガスコンロとカセットガスは、セットで製品テストが行われるためです。それ以外での組み合わせのテストが行われていないことなどから、こうした注意書きがあるといいます。
メーカー保証などを考えると、可能な限り、指定された純正カセットボンベを使うのがおすすめです。
この点を理解したうえで、筆者は下の写真のカセットガスストーブを使って、5種類のカセットガスの燃焼時間を測ってみました。
実際に各種カセットガスで燃焼させてみた
実際に、カセットガスストーブにカセットガスをセットして、最大火力で燃焼させ、ガスがなくなるまでの時間を計測しました。気温・湿度・気圧、時間帯や天気などを統一した厳密なテストではないことを、予めご了承ください。あくまでも、燃焼時間を測っただけの結果です。
カセットガス・サン a
株式会社 サン・シリンダー・サービスが発売元の「カセットガス・サン a」。「カセット・サン専用」と明記されています。筆者は1本税込110円程度で購入。
実際に燃焼した時間は、約3時間45分でした。
おもしろいことに株式会社 サン・シリンダー・サービスは、株式会社旭製作所の関連会社。旭製作所は、カセットコンロの国内販売最大手である岩谷産業株式会社の生産工場として、1969年の製造開始以来、業界No.1の国内生産数を誇るといいます。
マイ・ボンベ【Lサイズ】
株式会社ニチネンが充填・発売元の「マイ・ボンベ【Lサイズ】」。筆者は1本税込110円程度で購入しました。
燃焼時間は約3時間45分。
「ニチネン製こんろシリーズ等」専用と明記されています。
株式会社ニチネンは、カセットコンロのラインアップも充実しています。コンパクトなタイプなども選択できますし、カセットグリルやカセットガスで使用できる携帯用発電機なども扱っています。カセットガスに合わせて、こちらの製品を選択するのもアリかもしれません。
カセットボンベ コン郎
株式会社東海が発売元となっている「カセットボンベ コン郎」。こちらも、筆者は税込110円程度で購入しました。
燃焼時間は3時間35分。
対応するコンロなどは「コン郎」になっています。販売元の株式会社東海は、あの「チャッカマン」の会社です。さすがのネーミングセンスですね。「コン郎」シリーズのコンロは「ガスこんろ コン郎」とミニサイズの「ガスこんろ コン郎ミニ」の2種類がラインアップされています。カセットガスにカセットコンロを合わせるなら、これらを使うのもありでしょう。
トーホーハンディガス シャトル
輸入・発売元が東邦金属工業株式会社になっている「トーホーハンディガス シャトル」。こちらも筆者は税込110円程度で購入しました。
燃焼時間は約3時間35分。
対応するコンロなどは「東邦金属工業(株)と表示のある製品及Hondaガスパワー製品」と明記されています。そう、東邦金属工業のカセットガスコンロなどだけでなく、本田技研工業株式会社の「発電機 エネポ」や「耕運機 ビアンタ」の指定ボンベなのです。また、イオンで販売されている「ファミリーカセットボンベ」も東邦金属工業株式会社の製品だといいます。
イワタニカセットガス(オレンジ)
カセットガスコンロのシェアの60%以上をもつといわれる岩谷産業株式会社が発売元となっている「イワタニカセットガス(オレンジ)」。筆者はコンビニで税込約250円で購入しています。ほかのカセットガスの約2倍強のお値段です。
燃焼時間は約3時間25分。今回比較したなかでは燃焼継続時間がもっとも短い結果でしたが、もっとも熱量が高いようにも感じました。
カセットガスコンロとカセットガスの代名詞ともいえるイワタニ。筆者が所有しているカセットガスコンロも岩谷産業株式会社の製品で、できることなら純正のカセットガスを使用したいところ。「イワタニカセットガス(オレンジ)」は、実勢価格が高く、ほかのカセットガスよりも長持ちするという話を耳にしたこともあったのですが、今回の実験の条件では燃焼時間はほとんど変わりませんでした。
まとめ
購入しやすいカセットに合わせてコンロを選ぶのもアリ
カセットガスごとにもっと差が出るのではないかと期待したのですが、実際に燃焼させてみると、もっとも長く燃えた「カセットガス・サン a」や 「マイ・ボンベ【Lサイズ】」で約3時間45分、もっとも短かった「イワタニカセットガス(オレンジ)」で約3時間25分と、異なる日時、天候、気温などでテストしていることを考えると完全に誤差の範囲でしょう。
カセットガス自体は、JIS規格でしっかりと規定されているので、カセットガスコンロとガスカセットが異なるメーカーでも大きな問題が発生することは少ないようです。しかし、メーカーの保証なども考えると専用の純正カセットガスを使用するメリットは大きいでしょう。
また一般には、カセットガスコンロに合わせて専用のガスカセットを用意するものですが、価格や販売場所など、入手しやすいガスカセットに合わせてカセットガスコンロを選択するのもアリだと、筆者は感じました。