赤ちゃんのお世話って本当に大変です。離乳食が始まると、さらに大変。だから、フリージングで賢く時短しながら「離乳食」を楽しみましょう!離乳初期から離乳完了期の、赤ちゃんの成長発達に合わせた離乳食の進め方や、始める前に知っておきたい離乳食の考え方について、書籍『まねしてラクラク迷わない! 365日のフリージング離乳食』著者で管理栄養士の川口由美子さんに解説していただきました。
解説者のプロフィール
川口由美子(かわぐち・ゆみこ)
管理栄養士。一般社団法人 母子栄養協会 代表理事。母子栄養指導士。女子栄養大学生涯学習講師。小児栄養学研究室にて離乳食の研究をし、育児用品メーカーで離乳食やベビーフード開発に携わる。管理栄養士として独立後は、テレビ、雑誌、WEBなどで離乳食や幼児食のレシピ提案、コラム執筆などを行う。主な著書に『1週間分作りおき! フリージング離乳食 5カ月~1歳半』(大泉書店)、『赤ちゃんのための補完食入門』(彩図社)など多数。
本稿は『まねしてラクラク迷わない! 365日のフリージング離乳食』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
イラスト/ふじいふみか
フリージングで賢く時短しながら「離乳食」を楽しみましょう!
赤ちゃんのお世話って本当に大変です。時間も人手も睡眠もなにもかもたりない…! と感じる日々ではないでしょうか。
離乳食が始まると、さらに大変。日々のタスクに、離乳食作りと赤ちゃんのごはんの時間が加わります。
1週間分をまとめて作って冷凍しておくことで毎日の負担がぐんと減ります。
また、g単位で厳密に考えるのではない肩の力を抜いた離乳食作りも提案します。
食物アレルギーや誤えん予防などで、慎重でありたい場面はあります。
気をつけるところと気を抜いていいところを知り、賢く時短しながら、ぜひ離乳食を楽しんでください。
離乳食の進め方
離乳食は、赤ちゃんの成長発達に合わせて食材のかたさを変え、回数や量を調節しながら進めます。
以下は、「授乳・離乳の支援ガイド」(厚生労働省策定)をもとにした、一般的な進め方の例をまとめたものです。
離乳食開始から完了までを赤ちゃんの咀しゃく力や消化吸収能力に合わせて4つの期に分け、それぞれ月齢や1回分の量などを具体的にあげています。
ただし、いずれの数値も「決まり」ではなく、「参考」。だいたいの目安として考え、厳密にならなくてOKです。
離乳初期(5~6カ月ごろ)
▼食べ方の目安
ごっくんと飲み込める
大人が食べている様子に興味を示したり、よだれの量が増えるなど離乳食開始のサインが見られるようになったら離乳食を始めます。
この時期は、口を閉じてゴックンと飲み込んで食べられるのが目標です。
▼離乳食の回数の目安
1~2回
▼食材のかたさの目安
ヨーグルトぐらい
なめらかにすりつぶしたペースト状~ヨーグルト状が目安です。
▼1回分の目安量
つぶしがゆ
少量~50g
野菜・果物
少量~20g
たんぱく質食材
魚 少量~10g
豆腐 少量~30g
卵 少量〜かたゆで卵黄1/2個
▼この時期の離乳食例
しらすと白菜のおかゆ
離乳中期(7~8カ月ごろ)
▼食べ方の目安
舌でつぶして食べられる
離乳食に慣れ、ヨーグルト状の食べ物を飲み込めるようになったら、絹ごし豆腐くらいのかたさにします。
この時期は、舌と上あごで食べ物をつぶして食べるのが目標。栄養バランスも考え始めます。
▼離乳食の回数の目安
2回
▼食材のかたさの目安
絹ごし豆腐ぐらい
指で軽く押しただけでラクにつぶせるやわらかさが目安です。
▼1回分の目安量
全がゆ
50~80g
野菜・果物
20~30g
たんぱく質食材
魚や肉 10~15g
豆腐 30~40g
卵 卵黄1個~全卵1/3個
乳製品 50〜70g
▼この時期の離乳食例
彩り野菜と卵のおかゆ
本稿は『まねしてラクラク迷わない! 365日のフリージング離乳食』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
離乳後期(9~11カ月ごろ)
▼食べ方の目安
歯ぐきでつぶして食べられる
1日2回の離乳食に慣れ、絹ごし豆腐ぐらいの食材を食べられるようになったら、バナナぐらいのかたさにします。
この時期は、歯ぐきでつぶして食べられるのが目標。自分で手づかみで食べさせる機会も作りましょう。
▼離乳食の回数の目安
3回
▼食材のかたさの目安
バナナくらい
指でつまむと簡単につぶれるぐらいのやわらかさが目安です。
▼1回分の目安量
軟飯
約80g(全がゆなら約90g)
野菜・果物
30~40g
たんぱく質食材
魚や肉 約15g
豆腐 約45g
卵 全卵約1/2個
乳製品 約80g
▼この時期の離乳食例
野菜あんかけごはん
離乳完了期(1才~1才6カ月ごろ)
▼食べ方の目安
かじり取ってかんで食べられる
バナナくらいのかたさの食材を食べられるようになったら、やわらかい肉だんごくらいのかたさにします。
前歯でかじり取り、奥の歯ぐきでかんで食べるのが目標。手づかみ食べに加え、スプーンの練習もさせてみましょう。
▼離乳食の回数の目安
3回+補食(おやつ)
▼食材のかたさの目安
やわらかい肉だんごくらい
スプーンで少し力を入れてつぶれる程度が目安です。
▼1回分の目安量
ごはん
約80g(軟飯なら約90g)
野菜・果物
40~50g
たんぱく質食材
魚や肉 15~20g
豆腐 50~55g
卵 全卵1/2個~2/3個
乳製品 約100g
▼この時期の離乳食例
れんこんミートカレー
※記載のたんぱく質の量は、1種類を与えるときの量です。2種類を与えるときは1種類を半量に、3種類のときは1種類を1/3量にします。 ※1回分の目安量は、食欲にあわせて加減してください。
始める前に知っておきたい離乳食の考え方
「離乳食っていろいろな決まりがあって大変そう」と思っていませんか? 心配しなくて大丈夫!
「ざっくりとおおらかに楽しく」離乳食を進めるための考え方の基本を紹介します。
離乳食の役割
▼離乳食とは?
母乳・ミルクではたりない栄養を補うための食事
生後5~6カ月ごろになると、母乳やミルクだけではエネルギーや栄養素が不足しやすくなってきます。
離乳食とは、基本、このたりない分を補う食事。WHO(世界保健機関)では、母乳・ミルクに加えて与える食事のことを「補完食」と呼んでいますが、世の中に「離乳食」と「補完食」があるわけではなく、基本は同じものです。
▼離乳食は練習?
食べることや食べ物に慣れる練習の期間
食べ物をかみつぶし、自分で食べられるようになるには、練習が必要。離乳食には、そんな食べることや食べ物に慣れる練習という側面も。
最初のうちは基本的なエネルギーや栄養は、母乳やミルクで補っているので、栄養不足の心配は大きくはありません。
ママ・パパは頑張りすぎず、食べる練習の期間と考えましょう。
▼始める時期は?
5~6カ月ごろ、体の準備が整ったら
赤ちゃんが母乳やミルク以外の食べ物を飲み込め、消化吸収できるようになるのが、5~6カ月ごろ。
でも成長発達には個人差があるので、5カ月すぐから始めなくても大丈夫。
食べ物に興味を示し、よだれを出すなどのサインを確認しましょう。
また、離乳食は発達に合わせて4つの時期に分けられます。
それぞれ目安の月齢がありますが、月齢にとらわれず赤ちゃんの様子に合わせて進めます。
離乳食の量が増えても授乳は減らさなくてOK
食べる量が増えても、母乳・ミルクを飲ませたい・飲みたい場合は、続けてかまいません。
ただし、食事がほとんど食べられない場合は、授乳の間隔を少しずつあけて、おなかがすくようにしてみましょう。
離乳食を卒業する「離乳の完了」は食べ物から必要な栄養がとれるようになる時期。
目安は1才6カ月ごろですが、明確な基準ではなく、母乳やミルクをやめるという意味でもありません。
本稿は『まねしてラクラク迷わない! 365日のフリージング離乳食』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
離乳食で大切なこと
▼ここだけ気をつけて
食中毒や誤えんに注意しよう
気をつけたいのは、食中毒と誤えん(食べ物が気管に入ること)。
赤ちゃんは菌やウイルスに対する抵抗力が弱く、かみ飲み込む力、吐き出す力も弱いです。
そのため食中毒や誤えんを起こしやすく、重症化や窒息の心配があります。
発達に合った食材選びやかたさ、切り方の調整は、窒息予防に大切。食べさせる環境や姿勢も気をつけましょう。
▼離乳食の決まりごとは?
量や使う食材に絶対的な基準はない
赤ちゃんの消化吸収能力を考え、また窒息などの事故を防ぐ観点から、1日の量や特定の食材を与える時期、切り方のサイズなどをこまかく指定する本もあります。
でもその数値などは「だいたいこのくらい」という目安。
赤ちゃんの様子に合わせて調整してOKですし、多少の違いが赤ちゃんに悪影響を及ぼすことはありません。
▼一番大切なこと
こまかいことよりも食事を楽しむ気持ちを!
離乳食では「食べる・食べない」で一喜一憂しがちですが、家族みんなで食事を楽しむことが一番。
食事が1日3回になる離乳後期ごろからは、ぜひ、家族一緒の食事時間にしましょう。
家族で薄味を心がけて、赤ちゃんも大人も同じメニューを食べるときがあってもいいですね。
栄養不足が心配になったら「成長の様子」に注目!
成長曲線に沿って大きくなっているかどうかは、赤ちゃんの成長を知るうえでとても大切です。
赤ちゃんの栄養不足は、体格に現れます。
母子健康手帳にある「乳幼児身体発育曲線」(パーセンタイル値)に印をつけて確認しましょう。
体重が横ばいのときは、離乳食や母乳・ミルクをもう少し増やせるか考えて。
心配な場合はかかりつけ医に相談しましょう。
◇◇◇◇◇
なお、本稿は書籍『まねしてラクラク迷わない! 365日のフリージング離乳食』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。赤ちゃんのお世話って本当に大変です。時間も人手も睡眠もたりない! 離乳食が始まると、さらに大変。だから、無理はしないで少しでも負担を減らしてほしい…。本書は離乳食開始から完了までの毎日のレシピ案を紹介しています。1週間分をまとめて作って冷凍しておくことで、毎日の負担がぐんと減ります。最新「授乳・離乳の支援ガイド」に対応。離乳時期別「この食材いつからOK?」チェック表付き。かんたん&時短な離乳食作りを豊富な写真とともに、やさしく丁寧に解説しています。