私たちは、太陽系の惑星、地球で生活しています。もしかしたら近い未来、別の惑星に住んでいるかもしれません。地球のおとなりの惑星、火星と金星はどんな天気をしていて、どっちの惑星の方が住みやすいのでしょうか。著者で気象予報士の中島俊夫さんに解説していただきました。
解説者のプロフィール
中島俊夫(なかじま・としお)
気象予報士。1978年生まれ。2002年、気象予報士資格を取得。その後、大手気象会社や気象予報会社で予報業務に携わるかたわら、資格学校で気象予報士受験講座の講師も務める。現在は個人で気象予報士講座「夢☆カフェ」を運営。気象予報士の劇団「お天気しるべ」を主宰。著書に『イラスト図解 よくわかる気象学』シリーズ(ナツメ社)など。2021年NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」で助監督(気象担当)を務める。
本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 天気のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
イラスト/桔川シン、堀口順一朗、北嶋京輔、栗生ゑゐこ
となりの惑星、火星と金星。どっちが住みやすい天気?
私たちは、太陽系の惑星、地球で生活しています。
もしかしたら近い未来、別の惑星に住んでいるかもしれません。
はたして、地球のおとなりの惑星、火星と金星はどんな天気をしていて、どっちの惑星の方が住みやすいのでしょうか。
ハビタブルゾーン
私たちは太陽系の惑星、地球で生活していますが、火星と金星にはヒトに似た生命体はいなさそうです。これはなぜでしょうか。
ヒトが生きるためには、液体の水が不可欠で、液体の水が惑星上に安定して存在できる場所を「ハビタブルゾーン」と呼びます。
地球は、太陽からの距離がちょうどよく、液体の水が存在します。地球より太陽に近い金星では、水はすべて蒸発してしまっており、地球より太陽から離れている火星は、水がすべて凍結しているため、現状どちらの惑星でも液体の水が得られず、ヒトに似た生命体は生きられないのです。
それでもなんとか、火星と金星に住めないでしょうか? 現地の天気を見てみましょう。
▼ハビタブルゾーンのしくみ
火星は
火星は、寒く乾燥した惑星です。
ほとんどの地域の気温は0℃以下で、夏の赤道付近でようやく20℃に。
大気中の水蒸気はわずかですが、たまに雲が観測されます。
砂嵐は頻繁で、局地的には年100回、さらに惑星をおおうほどの大砂嵐が起きることもあります。
金星は
金星は、暑すぎる惑星です。
地上の気温は460℃。厚い硫酸の雲におおわれているため、ずっとくもっています。
硫酸の雨も降りますが、地上に届く前に蒸発します。
空気の密度が高いため、地面近くは風がほとんど吹きませんが、大気の上層では、金星の自転速度を上回る風速100m/秒の強風が吹いています。
最近の調査の結果、火星に氷が存在することは間違いないようです。
水がある分、「火星」の方が住める可能性がありそうです。
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なお、本稿は書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 天気のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。最近は、天気予報で「ゲリラ雷雨」「線状降水帯」「猛暑」など、気象災害に対して警戒を呼びかける言葉をよく聞くようになりました。でも、天気のしくみを知るのに必要な気象学って、数式とかたくさん出てくるんでしょ? …などのように思ってはいませんか? そんなことはありません。「晴れる」「雨が降る」という、とても身近なことなのに、そのしくみについて知らない方はきっと少なくないはず。そんな天気を知るための最初のきっかけに、本書は非常に適しています。興味をもったページから読めるように工夫しているので、順番に読んでいく必要はありません。大人はもちろん、小さなお子さんも楽しめます。簡潔な文章と豊富なイラストや写真を使ってわかりやすく説明しています。