インクとともに最近人気急上昇中なのがガラスペンです。ペン先や本体がガラスでできており、インク瓶にペン先を浸してインクを補充します。別のインクを使うときも、ペン先を洗うだけという手軽さが受けて、インクをたくさん購入している人を中心に購入者が増えています。
単純な構造ながらとても繊細な作りを持つ
ガラスペンは、構造上、洗浄しやすく、汚れがたまりにくいといえます。そのため、どんなインクでも使えます。また、デザインを凝らした軸や天冠を持つガラスペンもあり、とにかく美しいのが長所です。
構造が万年筆より単純なためか、海外製の安価な製品がネット通販で大量に販売されています。最初は安いものから試してみたいと思うかもしれませんが、インクがペン先に流れてきにくいものや、そもそも書けないものもあります。
一方、国内の工房では工夫を凝らした製品も多数作られています。できれば実際に手に取って試してから購入することをおすすめします。
ガラスペンの構造は単純
天冠
先端部分は、いろいろな形状のものがある。この写真のように単純なものもあれば、複雑な形のもの、細くなっているものなどさまざまだ。
軸
軸の形状は様々で、工夫されているものが多い。太さは万年筆より細いものもあれば、2倍の直径のものもあるので、好みに合わせて選びたい。
ペン先
ガラスペンでもっとも重要、かつ製作者の思いが込められた部分がペン先だ。溝の数やうねり方、形状もさまざまで、書き味やインクフローには違いがある。
ガラスペンは即売会などで実際に触れてから購入したい
ガラスペンの手に持った感覚や書き味は製作者ごと、製品ごとに大きく異なる。常時展示しているショップや、蔦屋書店などが開催する即売会に足を運ぶのが確実だ。
ガラスペンの使い方は簡単。ペン先の破損に注意
ガラスペンを入手したら、インクも用意しましょう。あとは、インクにペン先を浸せば書けます。
次に、ペン先の破損を避けて上手に使うための手順を紹介します。まずはインク瓶の蓋を開けて、残量を確認します。ペン先をインク瓶の底にぶつけて壊すことが多いためです。
ゆっくりペン先をインクに下ろしていき、半分から3分の2程度浸すと、勝手にインクが染み込んできます。染み込んだ量が多すぎたら、インク瓶の口に軽く当てて、余分なインクを落とします。製品によってはこの方法を推奨しない場合があるので、製作者の注意書きを参照しましょう。
あとは少しずつ回転させながら、まんべんなくインクを紙に染み込ませるように書いていきます。回しながら書くのは、溝ごとにインクが溜まっているためです。製品によっては、インクの流れが悪い溝があったり、流れの速さが異なる溝があったりするので、注意してください。
使い終わったらティッシュでインクを拭き取り、水洗いしてから再度ティッシュで水を吸い取って保管します。使用後すぐに洗浄しないと、溝にインクが固まってしまうことがあるので注意しましょう。
ガラスペン以外にもつけペンがある
文字を美しく書くため、縦と横で太さが異なるのがカリグラフィーペン。文字を素早く筆記するものではなく、デザインするように文字を書けるのがメリット。写真は三菱鉛筆の「Lakit」で提供されるカリグラフィー講座のキット。
つけペンといえば、漫画制作用のGペンが頭に浮かぶ人もいるだろう。漫画用なので、文字ではなく絵を描くのに用いる。イラストを描きたいなら、検討してもいい。
複雑な機構を持ったつけペン用のペン先も提供されている。写真はカキモリのペン先を使ってみたところ。ペンを寝かせる角度によって、線の幅が変わる。
◆監修者:高畑正幸
※この記事は『「手書き」をとことん楽しむ万年筆・ガラスペン入門 』(マキノ出版)に掲載されています。