主役は最先端のホーンシステムを搭載するHDIシリーズの中堅機、HDI-3600だ。これはモニターシリーズやL100クラシック系とは異なる路線を開拓するJBLの新たな挑戦。アンプとプレーヤーは、迷わずアーカムに決めた。5年前にJBLと同じグループとなり、再び日本市場に戻ってきたのだ。このシステムでは、確かに新しいJBLサウンドが堪能できる。
本稿は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
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スピーカー JBL「HDI-3600」
アメリカ
実売価格例:39万6000円(ペア)
●幅255mm×高さ1026mm×奥行き342mm
●28kg(1本)
最先端のホーンシステムを取り入れたHDIシリーズの中堅機だ。2.5ウェイのトールボーイ型で、165ミリ・ウーハー3本を搭載。
SACD/CD/ネットワークプレーヤー アーカム「CDS50」
イギリス
実売価格例:14万3000円
●幅433mm×高さ87mm×奥行き283mm
●5.3kg
英国・アーカムのネットワーク対応ディスクプレーヤーだ。ストリーミングやUSBのハイレゾ再生にも対応する現代の多機能機。
プリメインアンプ アーカム「SA20」
イギリス
実売価格例:16万5000円
●幅433mm×高さ87mm×奥行き323mm
●9.2kg
CDS50とペアを組むアーカムのプリメインアンプだ。クラスG動作で、チャンネル当たり90ワットの出力を実現している。
組み合わせ価格:70万4000円
生ジャズの熱気と現代的なサウンドをJBLで味わい尽くす
往年のJBLは、マッキントッシュアンプで鳴らしたいという思いが強い。まさに、アメリカ的で濃厚なジャズ再生の王道だが、今回は現代に一足飛びしよう。主役は、最先端のホーンシステムを搭載するHDIシリーズの中堅機、HDI-3600だ。
これは、モニターシリーズやL100クラシック系とは異なる路線を開拓する、JBLの新たな挑戦。ユニットをぎりぎりに配置したスリムなプロポーションが、居住空間にうまくマッチする。3600番は2.5ウェイのバスレフ構成で、ユニークなホーン形状に、自慢のコンプレッションドライバーを搭載。3連ウーハーが、いかにもスピーディな低音を引き出しそうだ。
アンプとプレーヤーは、迷わずアーカムに決めた。えっ、英国の老舗じゃないか、と思うかもしれないが、5年前にJBLと同じグループとなり、再び日本市場に戻ってきた。当然、技術の交流もあり、あのSA750アンプ(JBL75周年)開発につながったというほどだ。
起用したのは、プリメインアンプがSA20、CDプレーヤーがCDS50だ。どちらも薄型&スタイリッシュなデザインで、その中にトレンディな技術を秘めている。
SA20の売りは、A級とAB級動作を組み合わせたクラスGのアンプ技術だ。ふだんは純度重視のA級だが、いざとなればハイパワーなAB級動作にて、アグレッシブなジャズやロックもこなすから頼もしい。CDS50のほうは、SACDやUSBも聴ける多機能プレーヤーだ。
このシステムでは、確かに新しいJBLサウンドが堪能できる。ジャズのバイタリティや、ホーン型ならではのスカっとした音飛びをベースにしつつも、レスポンスがすなおで、よりナチュラルな方向にシフト。アーカムがそんな素性を引き出してくれた。倍音領域まできれいに伸びて、ステージが3次元的に広がる印象なのだ。
鳴りっぷりがよく、ベースの力強い躍動や爽快なホーンセクションなど、生ジャズの熱気を伝えてくれた。ボーカルもクラシックもOKで、ジャズシンガー、MAYAのラテンアルバムでは、リズムがキレ味よく、実にスピーディ。楽器や声の実在感と生々しいニュアンスが聴きどころだ。
■解説/林正儀(AV評論家)
※情報は記事作成時のものです。
※この記事は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)に掲載されています。