【出火しにくいモバイルバッテリー】コスパと実績で選んだわが子用は「リン酸鉄リチウムイオン」で決まり!

レビュー

リチウムイオンバッテリーの出火事故がなくなりませんね。怖い。ですが、現実問題、リチウムイオンモバイルバッテリーは生活に欠かせません。4歳の息子を含め家族の必須アイテムです。だからこそ、筆者は安全面とコスパから、子ども用はリン酸鉄リチウムバッテリーに決めました。その理由を解説します。

40度以上じゃ使えない!? 動作温度範囲を守ることがなにより重要

一般的にモバイルバッテリーの動作温度は0〜40度!

GREEN HOUSE「モバイルバッテリー 20000mAh リン酸鉄 GH-LFMBPA200シリーズ」

今年の夏もリチウムイオンバッテリーによる爆発や発火の事故が多数報道されましたね。スマートフォンの普及とともに、充電に使うリチウムイオンモバイルバッテリーの利用も年々増えています。

 

容量の大きなものを使っている方も多いのではないでしょうか。だからこそ、リチウムイオンバッテリーの事故を耳にする度に不安に思っている方も多いと思います。粗悪な品を使っていない限り、動作温度範囲のなかで、落下や破損などが起きなければ、基本的に発火や爆発は起きないはずです。とはいえ、老朽化も考えられます。あまり古くなったものは使わないほうが安全でしょう。

動作温度範囲は0〜40度と明記されています。

 

大きな問題点として、多くのモバイルバッテリーの動作温度範囲が0〜40度であることを多くの方が認識していないか、忘れているようです。最近の日本では、真夏の車内や直射日光の当たる場所にモバイルバッテリーを放置すれば、簡単に40度を超えてしまいます。

 

そして、動作温度範囲を超えて、電解液などが揮発・分解しはじめたモバイルバッテリーなどに、落下といった衝撃が加わり、絶縁膜(セパレーター)が破損、ショートが起きて、発火や爆発につながるというわけです。

 

動作温度範囲が40度までなら、なんでも一緒では?

最新の「準固体電池モバイルバッテリー」なら−20〜+80度

付属品はUSBケーブルと取扱説明書のみです。

すでに以下の記事で紹介しているのですが

『「発火が怖い」を解決:準固体モバイルバッテリーの長所・欠点と買い基準(4タイプ比較)』

「発火が怖い」を解決:準固体モバイルバッテリーの長所・欠点と買い基準(4タイプ比較)
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最新の準固体電池HAMAKENWORKS「準固体電池モバイルバッテリー」(2025年6月下旬発売は、動作温度が−20〜+80度と非常に安全性が高いのです。

 

しかし、容量が10,000mAh の「HW-SSPB100」シリーズで税込8,980円と、我が家のモバイルバッテリーをすべて準固体電池にするには、ちょっと高価。アウトドアユースならいざ知らず、普段使いの子ども用まで準固体電池にするのはハードルが高いです。

 

現状の普通に入手できるモバイルバッテリーにはざっくり4種類あり、準固体電池を除くほとんどの製品の動作温度範囲が0〜40度となっています。ですが、その基本構造を調べていくと、現在もっとも普及の進んでいるコバルト酸リチウムイオンバッテリー(特別になにも書かれていないリチウムバッテリーはほぼこれです)がもっとも高温による発火・爆発の危険性が高いのが現実です。

電子残量がしっかりとインジケーターに表示されるのも特徴の1つ。

次に普及率の高いのが、「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」。現在もっとも生産台数の多い電気自動車(EV)のメーカーであるBYDがメインバッテリーとして採用していることで知られています。その分子構造から高温に強く、低温での充電が苦手といわれています。

 

そして、最後が市販品がほとんどない「ナトリウムイオンモバイルバッテリー」。こちらは基礎理論上、低温に強く、高温での性能低下が懸念されるとされています。なお、各バッテリーの動作温度範囲が0〜40度とされている製品は、これほどモバイルバッテリーの動作温度範囲が重要になるとは、多くメーカーが考えておらず、40度を超えるような高温環境を想定した検証まではされていないこともあるようです。

 

なぜ、大事なわが子用を「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」にしたのか?

少なくとも爆発や発火にまで至る可能性が低く、使用実績が多い

搭載されるコネクタは3つ。USB Type-Cはどちらも入力(充電)に対応しています。

動作温度範囲だけを考慮するなら、準固体電池以外はどれでもいっしょという話もあるのでしょう。しかし、筆者が注目したのは正極材料の安定性です。電解液については、家庭用モバイルバッテリークラスだと大きな差を感じにくいという話もあるので、正極を重視しています。

 

一般的なモバイルバッテリーの正極はコバルト酸リチウム、これに対してリン酸鉄リチウムイオンバッテリーはリン酸鉄リチウムです。このリン酸鉄リチウムは、鉄とリン酸がオリビン型結晶構造で強固に結びついているため安定性が高く、しかも高温になっても酸素を放出しません

 

コバルト酸リチウムバッテリーの熱暴走が止まらなくなり、発火、爆発につながる大きな理由は、高温で酸素を放出して電解液と反応するから。この分解のはじまる温度もリン酸鉄リチウムイオンバッテリーのほうが70〜100度近く高いといわれています。

100均で購入した10,000mAhの一般的なモバイルバッテリーと並べたところ。

すなわち、高温で発火・爆発が起きかねない状況でもリン酸鉄リチウムイオンバッテリーのほうが、最悪発火や爆発にまでは至らない可能性が高いわけです。筆者は、この点を評価して、子ども用にリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを選択しました。

 

ナトリウムイオンバッテリーについては、基礎理論的な安全性の高さには引かれます。ただし、実用化がはじまったばかりで家庭用モバイルバッテリーとしての実績がほとんどありません。そこでBYDのEVバッテリーやアウトドア用のポータブル電源といった、すでに多くのものに採用されているリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの実績を重視しました。また、コスト面でも、ナトリウムイオンバッテリーの優位性がまだ発揮されていないのも理由の1つです。

 

「モバイルバッテリー 20000mAh リン酸鉄」を実際に導入してみた

意外と軽くて小さい! コスパは充電サイクルの多さでカバー

ゲーム機と並べてしまうと、大きさはほとんど気になりません。

いろいろと面倒臭いことを調べながら、筆者が子ども用のモバイルバッテリーとしてセレクトしたのが、GREEN HOUSE(グリーンハウス)の「モバイルバッテリー 20000mAh リン酸鉄 GH-LFMBPA200シリーズ」(以下「GH-LFMBPA200」)です。実勢価格は税込7,180円

 

「GH-LFMBPA200」に決めた理由は、20,000mAhの大容量ですが、約69×28.5×140mm、重さ約375gと、一般的なコバルト酸リチウムバッテリーに比べて、大きく重くなる傾向があるリン酸鉄リチウムバッテリーとしては、思った以上に小型軽量であること。

 

我が家の場合、息子はタブレットとつないで自宅で使っていることがほとんどなので、大容量であることは必須です。また保護機能が過充電、過放電、過電流、短絡、過熱保護と充実している点も重要。自宅の出窓や暖房の近くといった暑くなりやすい場所でも、タブレットといっしょに持って行ってしまうのです。

家族で外出する際には3台同時につなげるのが非常に便利です。

USB PD(Power Delivery)の20Wに対応しており、USB Type-C×2、USB Type-A×1の出力コネクタを装備しているので、外出先では家族みんなでも使えるのが便利です。充電時間は通常モードで約9時間ですが、PDモードなら4.5時間と短縮されるのもうれしいところです。

 

バッテリー残量や充電モードが大きくインジケーター表示されるのも、バッテリー残量管理を自分ではしてくれない子ども用として便利。そして「GH-LFMBPA200」に決めた大きなポイントは充放電サイクルが2,000回以上あることです。

 

一般的なコバルト酸リチウムイオンバッテリーが500回程度なので、約4倍充放電できます。いくら安くても、20,000mAhクラスのモバイルバッテリーは2,000円以上はするので1回あたり4円。これに対して「GH-LFMBPA200」を2,000回使えば、1回あたり約3.6円です。毎日使っても5年以上は使える計算なので、コスパも良好です。

 

安心して子どもに使わせることができて◎

現実的なコストで安心して買える「リン酸鉄リチウム」はおすすめ

我が家でもっとも頻繁に使っている組み合わせ。バッテリーの大きさは問題になりません。

おそらく、どんなにがんばっても、4歳の息子に40度以上になる可能性のある場所でモバイルバッテリーを使わないと言っても、守るのはかなり難しいでしょう。本人とタブレットは、離れていても直射日光の当たる出窓や暖房の横にモバイルバッテリーを置いたまま、YouTubeに夢中といったシーンが簡単に想像できます。

 

逆に0度以下の場所に、彼が1人でいることはほぼないので、低温を気にする必要はほぼないでしょう。当然、基本は動作温度範囲を外れるシーンでモバイルバッテリーを使わないことです。それでも、子どもが勝手にモバイルバッテリーを持ったまま、家の中を移動するのはよくありますし、車の中に忘れてきてしまうこともあるでしょう。

息子に自分のがどれかわかりやすいようにブルーを選択しました。

そういったシーンで、少なくとも既存のコバルト酸リチウムイオンバッテリーよりは、爆発・発火のリスクが小さく、イニシャルコストは多少高くても、ランニングコストでみれば大差のないリン酸鉄リチウムバッテリーは現在子ども用としてもっとも現実的なモバイルバッテリーといえるでしょう。親としては子どもの安全が第一。

 

また、子どもでなくても、モバイルバッテリーを窓際や車の中に忘れてくるといった失敗は発生します。というか、筆者はよくやるのです。このあたりのリスクも考慮するなら、次のモバイルバッテリーは「GH-LFMBPA200」などのリン酸鉄リチウムイオンはかなりおすすめの選択肢といえます。うっかりのリスクを大きく減少してくれるでしょう。

 

製品サンプル提供●GREEN HOUSE

 

 

公式サイト

Amazon販売ページ

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齋藤千歳(フォトグラファーライター)

元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在はキャンピングカーを「方丈号」と名付け、約9㎡の仕事部屋として、車内で撮影や執筆・レビューなどを行っている。

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