最近、リチウムイオンバッテリーの爆発事故が目に付きますよね。身近すぎて実際のところ怖いです。このリスクから身を守ってくれそうな新しいバッテリー『ナトリウムイオンモバイルバッテリー』が世界ではじめてエレコムから発売されているというので、実際どんなものなのか、試してみました。
【発火事故多発】どうしてリチウムイオンバッテリーは爆発するのか?
そもそも日本の夏が使用温度の限界を超えている

エレコム「DE-C55L-9000」シリーズ(9000mAh・約87×31×106mm/約350g・メーカー公式ショップ価格 税込9,980円・発売中)

パッケージ中箱にはナトリウムイオンを表すNa+があしらわれています
いまや、何にでも入っているといっても言い過ぎではないリチウムイオンバッテリー。あまりに当たり前にスマートフォンにも、Bluetoothイヤホンにも、パソコンも、ハンディファンにも内蔵されているので、危険物である意識すらないのが普通でしょう。
しかし、このリチウムイオンバッテリーの一般的な使用温度が0〜40度程度なことを多くの方が知らないと思います。そう、最近の日本の夏なら車のダッシュボードや直射日光に当たる場所などは、リチウムイオンバッテリーの使用可能温度外なのです。
ちなみにリチウムイオンバッテリーは高温下、45度以上を超えると、多くの場合、可燃性の有機電解液が揮発、内部の圧力が上昇した状態で、プラスとマイナスの極を隔てているセパレーターが劣化、この状態で落下などの衝撃が加わり、セパレーターが破損、ショートが起きるなどして、発火や爆発が起きます。

同梱品は充電用ケーブルとマニュアル
具体的にいうなら、充電状態のほうが不安定になるので、充電状態のモバイルファンなどを車のダッシュボードに放置。電解液が揮発し、内部圧力の上昇したモバイルファンを落下させるなどすると、発火・爆発することがあるというわけです。
完全にリチウムイオンバッテリーの想定外といえる使用なのですが、これが近年の日本の夏場では、各地で発生しているのです。誰にでも起こりうる状況だからこそ、怖いともいえます。
時代はNa+!? 「ナトリウムイオンモバイルバッテリー』という選択肢
エレコムが世界ではじめてモバイルバッテリーとして製品化

電池容量9,000mAhの割りには大ぶりなのは否めません
発火や爆発が怖いと感じるリチウムイオンバッテリーですが、スマートフォンなどといっしょに急激に普及してきました。いまや普段から1つも持ち歩いていない方のほうが少数派でしょう。
しかし、問題点も多くあるのです。大きな問題の1つとしては、リチウムやコバルトといったレアメタルが使用されているので、環境や安全に関する人権問題など環境負荷が高いといわれています。これに対してナトリウムイオンは塩などにも含まれる身近な元素が使われており、環境負荷が低い。
そして、今回テストしたエレコムの「DE-C55L-9000」シリーズは、ナトリウムイオン電池を採用したモバイルバッテリー(製品)/容量9,000mAh・USB Type-C対応(45W出力・30W入力)に関する市場調査「世界初」検証調査(株式会社未来トレンド研究機構調べ)による世界初のナトリウムイオンモバイルバッテリーです。

USB Type-CとUSB Type-Aに対応するコネクタを装備
エレコムによると環境負荷が小さいだけでなく、50〜−35度に対応、熱暴走が発生しにくく発火しにくい、さらにはサイクル寿命が約5,000回と超長寿命、5つの保護機能を備えた安心の回路設計、飛行機への持ち込み可能、USB PD(Power Delivery)45W対応、30W高速充電などにも対応した優れたモバイルバッテリーに仕上がっているといいます。
電池容量は9000mAh、大きさは約87×31×106mm、重さは約350g、公式オンラインショップ価格は9,980円です。あまりにも気になって実際に導入してみました。
思ったよりも大きく、重く、そして高い
環境負荷の小ささとサイクル寿命をどう評価するか?

パッケージ裏面に記載されていますが、低温に強いのは寒冷地ではうれしい
高温にも低温にも強いという「DE-C55L-9000」シリーズですが、確かに使用温度範囲は放電時は50〜−35度なのですが、充電時は現在の一般的な40〜0度。実用という意味では、ウインタースポーツなどに強いといった印象です。北海道在住でアウトドア好きの筆者にはありがたい。
また気になったのは、ナトリウムイオンという馴染みやすい名称のため、電解液も不燃性かと思っていました。しかし、現状では一般的なリチウムイオンバッテリーに比べて熱暴走が発生しにくく、発火しにくいというレベルであること。
安全性という点では、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーのほうがリードしているのが、現状のようです。この点については、今後の進歩に期待したい。不燃性の電解液などが採用されると安全性も飛躍的にアップすると期待されているそうです。

電池容量は9000mAhのモバイルバッテリーとしては大きく重いことは事実です
さらに冷静に大きさや重さ、価格を検討した際に現状の一般的なリチウムイオンバッテリーである同社の「DE-C72L-20000」シリーズがPD65W対応、20400mAh、大きさ約74.5×31×105mm、重さ約400gで約8,500円であることを考えると、見劣りすることは否めません。
とはいえ、一般的なリチウムイオンバッテリーである「DE-C72L-20000」シリーズのサイクル寿命(繰り返し使用回数)が500回なのに対して、ナトリウムイオンモバイルバッテリーの「DE-C55L-9000」シリーズは約5,000回。このコストパフォーマンスの高さは見逃すことができません。毎日充放電しても13年半は使える計算。これは脅威的です。
安全か、利便性か? ナトリウムイオンモバイルバッテリーはアリなのか?
新しもの好きの筆者はなる早でのゲットをおすすめする

底面に記載された「Sodium Ion Battery」(ナトリウムイオンバッテリー)の文字が重要
世界初のナトリウムイオンモバイルバッテリーは「DE-C55L-9000」シリーズはありか? という疑問について、筆者は「あり」です。なぜなら、今後の地球環境負荷などを考えると、環境負荷が小さく、サイクル寿命も長いナトリウムイオンモバイルバッテリーは次世代モバイルバッテリーとして注目に値するからと答えるのが常識ある大人でしょう。
ですが、筆者は、同容量だと重さも大きさも1.5倍、コストパフォーマンスも高いともいえないナトリウムイオンモバイルバッテリーは今が旬だと思っているから。いま手に入れなくてどうするといった心境です。

約5,000回のサイクル寿命はヘビーユーザーにとってはかなりおいしい
もし今後ナトリウムイオンモバイルバッテリーが主流になれば、世界ではじめて製品化された「DE-C55L-9000」シリーズは……という話もできますし、主流にならなくてもガジェッターとしては話題性は十分なわけです。この世界初がとてもおいしい。
しかも約5,000回のサイクル寿命を使い切れば、1回当たりの費用はわずかに1.3円。話題性もコストパフォーマンスも最高のアイテムといえます。新しもの好きなら、第2世代が出てくる前にファーストをおさえておくのがおすすめです。
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