Q
4Kテレビも価格が下がり、ノジマ、ドン・キホーテなどから格安モデルも出ています。一方、パナソニックやシャープやソニーから、格安モデルの3倍以上の価格のものが発売されていますが、この価格の差は何なのでしょうか? BSの4K放送も今年の12月から始まるので、ぜひ教えてください。(I・Iさん 栃木県 77歳)
A
これは、AVライターの鳥居一豊さんに聞きましょう。
鳥居
有名テレビメーカーの4Kテレビもかなり身近な価格になってきましたが、さらに安価な4Kテレビが話題になることが増えてきています。
確かに、この価格差を不思議と感じる人は少なくないでしょう。
まず、驚くほど低価格なのは、それが全世界のテレビ市場に向けた仕様だからです。
大きな市場に向けて大量生産しているため、価格が安くできるわけです。
日本で使うために日本の放送向けのチューナーなどを追加する必要はありますが、これらも他社のOEM部品を使うので、開発コストはかかりません。
パネルも、安価な液晶に限られています。
これに対し、大手メーカーでは、日本の主要な放送である地デジをより美しく見るために独自の映像回路を開発しています。
特に、格安モデルとの大きな差となるのはアップコンバートの性能で、地デジなどの1440ドット×1080ドットの映像を、4Kの3840ドット×2160ドットにアップコンバートするには、ディテールの復元、ノイズの除去など、さまざまな技術が必要です。
そのため、高画質回路も高機能なものとなり、コストが増大してしまいます。
また、大手の製品は、HDMI入力端子を豊富に備えるほか、日本以外ではほとんど需要がない録画機能の搭載、高音質なスピーカーの内蔵、ネット動画への対応、さらには有機ELパネルの搭載など、価格が高いぶんだけ、機能や装備の充実度にも優れています。
このような要因があるため、大手の製品は、格安モデルに比べると、どうしても価格が高くなってしまいます。
──画質や多機能さで、大手製品のほうが上を行くということですね。
鳥居
そうです。実際、使い勝手や機能性には大きな差があります。
録画機能は、格安モデルでも備えている場合がありますが、地デジ放送などのアップコン画質は、大きな差を感じることが少なくありません。
また、内蔵スピーカーの音質も、格安モデルは声が聞き取りづらく、迫力に乏しいなど、物足りないと感じることもあります。
4Kテレビを買うとしても、UHDブルーレイやネット動画配信の4Kコンテンツを見るのではなく、基本的に地デジ放送を見ることが多いのであれば、価格は高くても、アップコン画質が優秀な、国内メーカーのモデルを選ぶほうが安心です。
──大手の製品は高価なものが多いけど、それだけ中身が充実しているんですね。了解しました!