スポーツタイプの電動アシスト自転車「E-BIKE」が盛り上がりを見せている。メーカー各社が相次いで新モデルを市場に投入しており、ミヤタサイクルが2018年2月に発売したクロスバイクタイプの「CRUISE」もその一つ。自転車本来の乗る楽しさを体験できるこの製品のコンセプトやE-BIKEの魅力などについて、開発担当者に訊いた。
画像: クロスバイクタイプのE-BIKE「CRUISE」(26万9000円・税別)。36V、11.6Ahという大容量バッテリーを採用。

クロスバイクタイプのE-BIKE「CRUISE」(26万9000円・税別)。36V、11.6Ahという大容量バッテリーを採用。

体力に自信がない人でも、長距離を快適にクルージングできる電動アシストバイク

<キーパーソンはこの人>
株式会社ミヤタサイクル
ブランドマネジメント部 部長 兼 営業企画グループ長
福田三朗さん

自転車に乗る楽しみを多くの方に再発見していただきたいです。

株式会社ミヤタサイクル
ブランドマネジメント部 プロダクトマネジメントグループ長 兼 MERIDA X BASE MANAGER
原藤 豊さん

スポーツバイクにアシストは必要?

このところ、ロードバイクやマウンテンバイク(MTB)、クロスバイクなど、スポーツタイプの電動アシスト自転車「E-BIKE」が盛り上がっている。欧米では、すでにポピュラーな存在になりつつあるE-BIKEだが、ここにきて日本にもその波が到来。2017年から2018年にかけて、メーカー各社が相次いで新モデルを市場に投入している。

老舗のミヤタサイクルが2018年2月に発売した、クロスバイクタイプのE-BIKE「CRUISE」もその一つだ。 同社では、MTBタイプの「RIDGE-RUNNER」や、日本で正規販売代理店を務める台湾ブランドのスポーツバイク「MERIDA」のE-BIKEも扱っているが、中でもCRUISEは、特に順調な売れ行きを見せている。

画像: 2018年4月に発売されたMTBタイプのE-BIKE「RIDGE RUNNER」(36万9000円・税別)。

2018年4月に発売されたMTBタイプのE-BIKE「RIDGE RUNNER」(36万9000円・税別)。

画像: MERIDAブランドのE-BIKE「eBIG.SEVEN 600」(35万9000円・税別)。2018年10月発売。

MERIDAブランドのE-BIKE「eBIG.SEVEN 600」(35万9000円・税別)。2018年10月発売。

製品を担当する福田三朗さんは、CRUISEについて、次のように説明する。

「CRUISEは、シマノ製電動アシストコンポーネント『STEPS』を国内で初搭載したE-BIKEです。大容量のバッテリーによって、走行距離は最長で115キロを実現。それでいながら、本体の重量は18.7キロと軽く、自転車本来の乗る楽しさを体験できることが特徴となっています」  

実は取材前、筆者には気になっていたことがあった。電動アシスト自転車というと、シティサイクル(いわゆる「ママチャリ」)が一般的で、実用性重視の乗り物という印象だ。一方で、スポーツバイクが重視するのは速度であり、実用性はあまり考慮されていない。電動アシストとスポーツという二つの要素は、両立が難しいようにも感じられる。

また、スポーツバイクに乗る人のほとんどは、自らの力のみでペダルをこぐことに楽しさを見出していて、アシストは不要だと感じているはずだ。CRUISEの開発では、その部分をどう考えたのだろうか。

「我々はCRUISEを、スポーツバイクや電動アシスト自転車の延長線上にあるものではなく、まったく新しいタイプの乗り物だと考えて開発しました。具体的には、時速10キロほどのゆったりとした速度で、長い距離を快適に走る自転車というのがコンセプトで、これはスポーツバイクとも電動アシスト自転車とも異なります。想定していたユーザー層も、スポーツバイクよりはライトな層、電動アシスト自転車よりはアクティブな層でした」(福田さん)

なるほど、このコンセプトと想定ユーザー層は腹に落ちる。実際にCRUISEを購入しているユーザーも、開発チームの想定どおり、スポーツバイクの初心者や引退ユーザーがメイン。体力に自信がなくてあきらめていたスポーツライドを楽しんだり、日常使いの自転車として活用したりしているそうだ。

加速時のアシストのかかり具合が滑らか

CRUISEの仕様を決めていくうえでも、まったく新しいタイプの乗り物だという考えは徹底されていた。

「CRUISEでは、バッテリーと共通のキーを使用するサークル錠、駆動用バッテリーから電源供給されるヘッドランプ、サイクルコンピューターが標準装備になっています。いずれもスポーツバイクとしては異例ですが、日常の使い勝手の向上を考慮した結果です」

こう話すのは、開発を担当する原藤豊さん。とはいえ、速度アップのために軽量化を図るのがスポーツバイクのセオリーのため、この仕様については同社内でも議論となった。「どれもオプション装備で十分ではないか」という声も挙がったが、ユーザーの利便性を重視するという結論に至ったという。  

画像: スポーツタイプのバイクとしては珍しくサークル錠を採用。バッテリーと共通のキーを使うことで、日常的な使い勝手のよさを図っている。そのほか、ヘッドランプも駆動用バッテリーから供給される。

スポーツタイプのバイクとしては珍しくサークル錠を採用。バッテリーと共通のキーを使うことで、日常的な使い勝手のよさを図っている。そのほか、ヘッドランプも駆動用バッテリーから供給される。

CRUISEは、自転車に乗ることで得られる“楽しさ”も追求している。

「軽量フルアルミフレームとアルミホークは、本格的なクロスバイクのディメンション(寸法)をベースにした独自設計です。電動アシストコンポーネントを搭載しながらも、軽快なライディングポジションを実現しています。また、どうしてもスポーツバイクより重くなってしまう本体重量を考慮し、下り坂などでも安定した制動力を発揮する油圧式ディスクブレーキを採用しています」(原藤さん)

実際、CRUISEの乗り心地はとても軽やかで、ふだんからクロスバイクに乗っている筆者にとっても、まったく違和感のないものだった。また、加速時のアシストのかかり具合が非常に滑らかなのも印象的だった。これはシマノのアシストユニットであるSTEPSの特徴によるところが大きいそうだ。

画像: シマノが開発した電動アシストコンポーネント「STEPS E8080」を、国内モデルとして初めて搭載。軽量でコンパクトな設計のため、通常のバイクから乗り替えてもペダリングの違和感が少ない。

シマノが開発した電動アシストコンポーネント「STEPS E8080」を、国内モデルとして初めて搭載。軽量でコンパクトな設計のため、通常のバイクから乗り替えてもペダリングの違和感が少ない。

伊豆半島に自転車のための拠点をオープン

ミヤタサイクルは2018年9月、静岡県伊豆の国市に「MERIDA X BASE」をオープンした。CRUISEをはじめとするE-BIKEや、MERIDAブランドの全モデルが展示されており、すべてのモデルのレンタルにも対応。ロッカーや温泉も利用できる施設となっている。

「伊豆は首都圏から近く、坂道も海岸線もあって、スポーツバイクを楽しむには理想的な土地。と同時に、起伏が激しくても楽に走ることができるE-BIKEのユーザーにとっても魅力的です。美しい景色を眺めながらゆったり走ったり、立ち寄った先でおいしい食事や温泉を楽しむこともできます。我々は今後も、さまざまな事業者と連係し、快適にE-BIKEを楽しめる環境を整えていきたいと考えています」(福田さん)

最後に、ミヤタサイクルのE-BIKEの今後の展開を福田さんに訊いた。

「E-BIKEの魅力は、自転車に乗る楽しさを、誰でも、気軽に味わえることにあります。CRUISEやRIDGE-RUNNERはユーザーさんから大変好評をいただいてますので、今後はユーザーのすそのを広げる商品展開もしていきたいと考えています」

画像: 伊豆の国市に9月にオープンした「MERIDA X BASE」。CRUISEほか、MERIDAブランドのバイクを全車種レンタルすることができる。

伊豆の国市に9月にオープンした「MERIDA X BASE」。CRUISEほか、MERIDAブランドのバイクを全車種レンタルすることができる。

画像: 取材当日が雨だったため、バイクの展示ホールにてCRUISEの試乗をさせてもらう。加速時のアシストが滑らかなのが印象的。

取材当日が雨だったため、バイクの展示ホールにてCRUISEの試乗をさせてもらう。加速時のアシストが滑らかなのが印象的。

画像: 整備スペースやグッズ販売コーナー、ロッカールームなど、サイクリストのための施設が充実。講習会やツーリングなどのイベントも開催。

整備スペースやグッズ販売コーナー、ロッカールームなど、サイクリストのための施設が充実。講習会やツーリングなどのイベントも開催。

画像: BAHRAIN MERIDA Pro Cycling Team(写真)など、MERIDAブランドが擁するロードレース、サイクリングチームの展示も見られる。

BAHRAIN MERIDA Pro Cycling Team(写真)など、MERIDAブランドが擁するロードレース、サイクリングチームの展示も見られる。

Memo E-BIKE購入者の特徴を福田さんに訊ねたところ、「情報感度が高めで、ドローンを所有している人が多いですね」とのこと。現時点で、E-BIKEとドローンには、どこか共通点があるようだ。

インタビュー、執筆/加藤 肇(フリーライター)

※価格は記事制作時のものです。

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