小さい子どもにお母さんが付き添うのは当然として、なかには20歳を過ぎたお子さんに付き添うお母さんもいます。医師が息子さんに質問しているのに、息子さんに話をさせないのです。これは、実は深刻な問題で「母原病(ぼげんびょう)」を招く可能性もあるのです。【解説】荒川哲男(大阪市立大学理事長兼学長・医学博士)
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よくしゃべる!成人した子供についてくる親…
小さい子どもにお母さんが付き添うのは当然として、なかには20歳を過ぎた息子さんに付き添ってこられるお母さんがいらっしゃいます。
そういうお母さんに限って、医師が息子さんに質問しているのに、横から割って入って、「この子は昨日からおなかが痛いといってまして……」などと、自分がしゃべってしまい、息子さんに話をさせないのです。
親が子供の病気を作り出してしまうことも
これは、医師にとって困ります。というのは、患者さんの反応や話し方、表情、態度など、すべてを医師は見て、診察の参考にするからです。
患者である息子さんに話をさせないで、お母さんがしゃべってしまうと、その診察ができないわけです。
私の場合は、そういうお母さんがこられると、「お母さんは待合室でお待ちください」といって、診察室から出ていただきます。
これは、実は深刻な問題です。
単に、その日の診察に支障があるだけではないのです。
実際に、お母さん自身がお子さんの病気を作り出していたり、助長していたりすることがあるからです。
これを「母原病」といいます。
文字どおり、「お母さんが原因になる病気」のことです。
難病や、ぜんそくも「母原病」によって引き起こされる可能性
消化器内科の難病とされるものの一部には、そういった母原病によって起こるものが見られます。
他科だと、ぜんそくもその範疇に入ります。お子さんのそうした病気を招かないためにも、成人した子どもの診療に、親はついてこないほうがよいでしょう。
どうしても心配でついてきたとしても、少なくとも診察室には入らないで、待合室で待つようにしていただきたいと思います。
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