乳酸菌はヨーグルト並み!奄美の発酵飲料「ミキ」の効果が調査で判明

美容・ヘルスケア

何名かの百寿者のお宅を訪ねたところ、皆さんそろって召し上がっていたのが、米とサツマイモと砂糖で作る島独自の発酵飲料「ミキ」です。ミキの中にどんな菌が含まれているのか、腸の中でどのように作用しているのか。気になった私はミキを研究室に持ち帰りました。そして調べたところ、驚くべきことがわかりました。ミキには乳酸菌が、1ml当たり1億個ほども含まれていたのです。【解説】辨野義己(理化学研究所特別招聘研究員・農学博士)

解説者のプロフィール

辨野義己(べんの・よしみ)
国立研究開発法人理化学研究所辨野特別研究室室長。農学博士。酪農学園大学獣医学科を卒業後、東京農工大学大学院を経て、1974年特殊法人理化学研究所へ入所。2009年から現職。専門は腸内環境学、微生物分類学。国内外の各地で地域住民の便を採取し、腸内細菌の構成と食事・生活習慣の関連性を研究している。メディア出演・著書多数。

奄美からミキを持ち帰り研究室で菌を調べた!

私の専門分野は、腸内環境学と微生物分類学です。腸内細菌の構成を調べると、その人の生活特性(食習慣や精神的・心理的状態など)がわかります。こうしたデータを収集し解析することで、健康長寿に理想的な腸内環境の確立に向けたアプローチを探索しています。

数年前、あるテレビ番組の企画で、鹿児島県の奄美大島に赴きました。奄美大島は、人口10万人当たりの100歳長寿者の比率が、全国平均の3倍近くであることから、「長寿の島」として知られています。

実際に何名かの百寿者のお宅を訪ねたところ、皆さんそろって召し上がっていたのが、米とサツマイモと砂糖で作る島独自の発酵飲料「ミキ」です。

このミキの中に、どんな菌が含まれているのか、腸の中でどのように作用しているのか。気になった私は、ミキを、研究室に持ち帰りました。

そして調べたところ、驚くべきことがわかりました。ミキには乳酸菌が、1㎖当たり1億個ほども含まれていたのです。

これだけの乳酸菌の量は、実に、ヨーグルト(発酵乳)に匹敵します。ですから、ミキは「お米のヨーグルト」だといっても、過言ではありません。

ちなみに、ミキの発酵を主に担っていたのは、「ロイコノストック」という乳酸菌(写真参照)。これは、ワインの発酵などにも関与する有用な菌です。おそらくサツマイモ中に常在していると考えられます。

ミキに豊富な乳酸菌は「ロイコノストック」

今回は、砂糖を入れないで作るミキも紹介されると聞いています。
>長寿飲料「ミキ」発酵パワー美味レシピ

健康のためには、むろん、そのほうが望ましいのですが、酸味が強いと飲みづらく感じるかもしれません。
その場合は、黒砂糖を少々加えることをお勧めします。黒砂糖はオリゴ糖が豊富なので、腸内環境を改善する一助になります。そのうえ、奄美の特産物ですから、ミキに合わないはずがありません。

奄美の百寿者の腸内には善玉菌が驚くほど多い!

ミキのほかにもう一つ、私が奄美から持ち帰ったものがあります。それは、百寿者のかたとそのご家族の大便です。
100歳の女性と、その子の70代女性、孫の30代女性に協力を仰ぎ、便の一部を採取してもらったのです。便に含まれるビフィズス菌の数を調べるのが、目的です。

ビフィズス菌は、ヒトの腸内に最も多い善玉菌なので、その数は腸内環境のよしあしを知る目安となります。健康な成人であれば、およそ100億個。普通は、高齢になるにつれて数が減り、60代から80代では、平均して1億個まで減少します。

ところが、奄美から持ち帰った大便の腸内細菌を調べたところ、100歳女性の腸内のビフィズス菌の数は、なんと31億個。そのお子さんは770億個、お孫さんは740億個という、驚くべき結果が出たのです。

百寿者のかたも、その子や孫のかたも、腸内環境が非常に良好であるとわかりました。これには、ご家族皆さんで、ミキの摂取を含め、伝統的な食生活を送っていることが影響しているのでしょう。

私は長年にわたり、「長寿村」と呼ばれる地域を訪ねては、住民の腸内細菌を解析してきました。健康長寿の人に共通して多い菌は何か。それがわかれば、健康寿命を延ばすことにつながるという考えからです。

そして近年になりようやく、腸内で酪酸(短鎖脂肪酸)を産生する大便菌と、腸内で最多であるビフィズス菌が、健康長寿のカギであることが判明したのです。私は、この二つを「長寿菌」と名付けました。

ミキに豊富なのは乳酸菌で、ビフィズス菌とは異なります。しかし、乳酸菌も、腸内環境を良好に整え、長寿菌であるビフィズス菌を増やす助けとなります。こうした観点から、ミキは奄美の人々の健康長寿に貢献しているといえるでしょう。

ところで私は、ミキの製造工場も見学させてもらいました。工場では大釜でおかゆを炊き、ある程度冷めたところで、すりおろしたサツマイモを加えていました。うまく発酵させるにはこの、サツマイモを加えるときの温度がポイントです。

市販のミキも、開封して日が経つと発酵が進み、酸っぱくなってきます。これは、乳酸菌が生きている証拠なのです。

乳酸菌は、菌種にもよりますが、たいていは30度くらいの温度で最も活性化し、40度を超えると死滅してしまいます。

死んだ菌体成分も、腸内の免疫機能向上には役立ちますが、せっかくの生きた乳酸菌です。やはり、ミキはそのまま飲むのがベストでしょう。

乳酸菌やビフィズス菌は、「通過菌」といって、腸にためておくことができません。ぜひ生きた菌を毎日腸にとり込み、腸内環境を整えて、健康長寿を目指してください。

スポンサーリンク
美容・ヘルスケア
シェアする
特選街web編集部

1979年に創刊された老舗商品情報誌「特選街」(マキノ出版)を起源とし、のちにウェブマガジン「特選街web」として生活に役立つ商品情報を発信。2023年6月よりブティック社が運営を引き継ぎ、同年7月に新編集部でリスタート。

特選街web編集部をフォローする
特選街web

PR

ドライブ中も車内でYouTubeや映画など楽しみたいあなたにおすすめ!データシステム『HDMI変換ケーブル』『テレビキット』テレビキャンセラー【PR】
車での長距離移動が増える年末年始。ドライブの楽しさを倍増するには、車内でテレビや動画を視聴できるエンタメ機能がマストだ。そこでお勧めなのが、データシステム社が販売している2つのアイテム! カーナビ画面でiPhone・iPadのアプリや動画を...

PRレビュー

【ドライブ中に純正ナビでテレビ視聴!】データシステム・テレビキットシリーズから最新車種対応のカー用品『TTV443』が登場!
長時間のドライブで同乗者に快適な時間を過ごしてもらうには、車内でテレビや動画を視聴できるエンタメ機能が欠かせない。しかし、純正のカーナビは、走行中にテレビの視聴やナビ操作ができないように機能制限がかけられているのがデフォルト……。そんな純正...

PRガジェット