【ポイントは力加減】顔のむくみを解消する「耳たぶまわし」のやり方

美容・ヘルスケア

耳の周りの筋肉は全身の「屈筋」の起点となっています。屈筋とは関節を曲げる筋肉のことです。屈筋の起点である耳の周辺がゆるめば連動するほかの屈筋の動きもよくなり、体によけいな負荷がかからなくなるのです。その効率的な方法が今回ご紹介する「耳たぶまわし」です。【解説】佐藤青児(月見歯科クリニック院長・メディカサトウ主宰)

解説者のプロフィール

佐藤青児(さとう・せいじ)
愛知学院大学歯学部卒業。さとう式リンパケアを考案し、歯科治療のかたわら、さとう式の講習会や、インストラクターの養成を展開中。著書に『輪ゴム一本で身体の不調が改善する!』(晶文社)など多数。

筋肉の緊張をゆるめて“腔”を確保することが大事

顔のむくみや肩のこり、足が重だるくて転びそう……。

そういった「病院へ行くまでもない不調」がある人は、もしかしたら「耳の周りの筋肉が緊張している」のかもしれません。

歯科医である私は、あるとき、歯の矯正などをした後に顎関節症になる患者さんが多いのに気づきました。私は、その原因を、嚙み合わせの変化による耳周りの筋肉の緊張にあると考えたのです。

そして試行錯誤の末、筋肉をゆるめるメソッド「さとう式リンパケア」を考案。耳の周りの筋肉をゆるめて口腔(口の中の空間)が広がると、思ったとおり、患者さんたちの顎関節症は劇的に改善しました。

驚いたことに、頭痛や肩こり、腰痛など、全身の不調まで改善していったのです。

人間の体には口腔(口腔上部)、首腔(口腔下部)、胸腔(胸の空間)、腹腔(おなかの空間)という四つの「腔」があります。

これらが十分なスペースを保てないと、こりや痛みなどの不調が現れると私は考えました。つぶれたペットボトルがまっすぐに立たないように、体も腔がつぶれるとバランスを保てないのです。

口腔は、この四つの腔の起点です。全身の筋肉は互いにかかわりを持っています。口腔がつぶれれば首腔がつぶれて首が前へ傾きます。首腔がつぶれれば胸腔がつぶれてネコ背になります。

こんな具合に、筋肉の状態は上から下へと連動しています。そのため、耳周りの筋肉をゆるめて口腔を確保すれば、ほかの腔もスペースが保たれて、さまざまな不調が改善するのです。

耳の周辺は屈筋の起点ここから手足は動く

では、なぜ「耳の周りの筋肉をゆるめること」が大切なのかをご説明しましょう。

耳の周りの筋肉は、全身の「屈筋」の起点となっています。屈筋とは、関節を曲げる筋肉のことです。これに対し、関節を伸ばすための筋肉は伸筋といいます。

屈筋は姿勢を維持したり力を出したりするときに働く強い筋肉で、伸筋はその働きをサポートする筋肉です。

しゃがんだり、包丁を引いて切ったりするなど、もともと日本人は屈筋を使って生活をする民族です。しかし、現代の日本の生活習慣では、伸筋ばかりが使われるため、背中や腰などの伸筋に負担がかかりすぎているのです。

屈筋は、側頭筋、咬筋といった耳の周りから始まり、首の前にある舌骨上下筋、胸の前にある大胸筋、胴の深部にある大腰筋、太ももの後ろにあるハムストリング、ふくらはぎの腓腹筋、といった具合に一つのラインとなってつながっています。

魚は、前へ進むときに左右のエラの脇にある屈筋を交互に伸び縮みさせています。実は尾びれはあまり使っていません。

人間は、魚から進化するさいに、エラの横の胸びれが発達して腕になりました。耳周辺から伸びた背骨の先に骨盤ができ、足ができています。

つまり人間の手足の動きも、魚と同じように、耳の周りにある屈筋が起点になっているのです。

屈筋の起点である耳の周辺がゆるめば、連動するほかの屈筋の動きもよくなり、体によけいな負荷がかからなくなるのです。そして、耳の周辺をゆるめる効率的な方法が、今回ご紹介する「耳たぶまわし」です。

最大のポイントはごく弱い力で行うこと

耳たぶまわしの詳しいやり方は、下項をご覧ください。
やり方のポイントは、すべての行程を「ごく弱い力加減」で行うことです。

脳の神経には、筋肉への強い刺激を感じると、その刺激に対応するために、かえって筋肉を緊張させるという性質があるからです。

深呼吸をするさいには、肩甲骨を寄せないようにします。深く呼吸をしようとすると、胸を反らせて左右の肩甲骨を中央に寄せたくなりますが、この姿勢では胸腔がつぶれます。

目の前にいる人を抱きしめるかのように、胸の前の筋肉を上下に伸ばしつつ、胸腔を前後に広げるようにイメージしてください。

耳たぶまわしで耳周辺の筋肉がゆるむと、ほおが引き締まる、口角が上がる、目がぱっちりするなどの効果が、直後から得られます。

習慣にすれば、顔のむくみや頭痛、難聴、不眠、首・肩のこり、関節の痛み、転倒の予防など、さまざまな効果が期待できます。また、胸腔が広がることで、後傾していた骨盤が正しい位置に戻るため、下腹部もへこみます。

私自身の経験で言うと、高かった血糖値が下がりました。

即効性抜群の「耳たぶまわし」のやり方

【ポイント】必ず、片側ずつ行う!

❶ 耳たぶをまわす
耳たぶを手の親指と人さし指の先で、軽くつまむ。わきをやや開き、ごく弱い力で後ろ側へ4回まわす。口を少し開けると、周囲の筋肉に穏やかな振動が伝わりやすい。

❷ ほおをなでる
手のひらをほおに添え、ほお骨からエラへ向けて、ごく弱い力で4回、サッサッとなで下ろす。

❸ 首すじをなでる
耳の下に親指以外の指先4本を当てて、鎖骨へ向けてごく弱い力で4回、サッサッとなで下ろす。

❹ 胸をなでる
鎖骨の下に手のひらを当てて、わきの下へ向けてごく弱い力で4回、サッサッとなで下ろす。

❺ 深呼吸する
脱力した状態で立ち、手のひらを正面から外側へ向けて、大きく2回深呼吸をする。肋骨を大きく膨らませるイメージで行う。

❻ おなかから足のつけ根をなでる
手のひらをへその横に当てて、足のつけ根に向けてごく弱い力で4回、サッサッと軽くなで下ろす。

❼ 深呼吸する
(5)と同様に行う。

❽ 歩く
上体の力を抜いて、8歩歩く。

【ポイント】
終わったら、鏡を見て、耳たぶまわしを行った側がリフトアップしているか、足が上げやすいか、左右差を感じてみよう!

◎反対側も同様に(1)~(8)を行う。

《尿もれや子宮脱、精力増強には…》
(1)~(8)を行った後、手のひらで、骨盤底筋群(股の部分)を、後ろから前へ向けてごく弱い力で4回、サッサッとなでる。

その場で血糖値が20mg/dlは下がる

実は2年ほど前に、私は血糖値が急上昇しました。たぶん、自分なりに不食や糖質制限を試したのがよくなかったのだと思います。

それまで正常だった血糖値が、不食で食べない時間を長くとったり、糖質をとらない食生活にしたことで、ほんの少し、糖質をとっただけでピーク時には空腹時血糖値が250mg/dl超、ヘモグロビンA1cが6.3%にまで達したのです(正常値は空腹時血糖値が110mg/dl未満、ヘモグロビンA1cが6.5%未満)。

そこで食生活を糖質を食べる普通の食事に戻し、耳たぶまわしと軽い筋トレを習慣にしたところ、血糖値は徐々に改善。1年半後には空腹時血糖値は90mg/dl、ヘモグロビンA1cは4.7%まで回復したのです。

血糖値が気になる人は、耳たぶ回しとあわせてごく短時間の筋トレを習慣にしてみてください。筋トレは腕立て伏せやスクワット、大腰筋キック(足を上げてキックする)など、何でもかまいません。空腹時に1日10秒間だけ、「筋肉が辛い」と感じる状態を作るのがポイントです。

私の場合、空腹時血糖値が160mg/dl台のころは、耳たぶまわしをするとその場で血糖値が20mg/dlほど下がりました。血糖値が200mg/dlを超えない程度の糖尿病なら、十分な効果が早々に得られるでしょう。

そのほか、耳たぶまわしは、尿もれや子宮脱の症状にも有効です。下着の上から骨盤底筋群を数回、触れる程度の弱い力加減でさすってやるとよいでしょう(上記のやり方参照)。骨盤底筋群がうまく働くようになるはずです。ぜひお試しください。

この記事は『安心』2019年1月号に掲載されています。

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