軟口蓋の動きをコントロールしているのが脳神経の一つである迷走神経です。実はネコ背はこの迷走神経を圧迫する姿勢なのです。圧迫された迷走神経は働きが低下し、軟口蓋を持ち上げる機能に狂いが生じ、その結果食道に行くべき食べ物や飲み物の一部が鼻に流れ込むのです。【回答者】田川直樹(快風身体均整院院長)

回答者のプロフィール

画像: 回答者のプロフィール

田川直樹(たがわ・なおき)
快風身体均整院院長。1969年、三重県生まれ。25歳で青年海外協力隊員となった後に、身体均整法学園で学び、身体均整師として整体の道に進む。快風身体均整院院長、一般社団法人「身体均整師会」東京支部長、身体均整法学園講師を務める。著書『指に輪ゴムを巻くと腰、ひざの痛みが消える!」(マキノ出版)が好評発売中。

今回の悩み「食べた物が鼻に詰まる」
鼻の奥に食べ物が挟まってしまう症状に困っています。一度入ると、うがいをしたり、鼻から大きく息を吐き出したり、吸い込んだりしても、なかなか取れません。ひどいと1日以上も食べ物が鼻に挟まっています。以前より、この症状を起こす頻度が増えていてどうしたものかと思っています。(50代女性)

ネコ背が迷走神経を圧迫しているのが原因

おそらく、ご相談者さまはネコ背ではないでしょうか。というのも、この症状は、姿勢が原因で起こることが多いのです。

私の均整院にも、似た症状を訴える患者さんが来院したことがあります。食べ物ではなく、飲んだ水分がふいに鼻からドバッと出てくるという、ご相談でした。その患者さんも、重度のネコ背でした。

では、なぜネコ背だと、このような症状を起こすのでしょうか。そこには口内の仕組みが関係しています。

口の中には、鼻に通じる通路があります。しかし、通常ならそこに飲食物が入ることはありません。これはのどの奥にある軟口蓋という器官が、ふたのように働くからです。

私たちが物を飲みこむときは軟口蓋が持ち上がり、その動きによって、鼻への入り口がふさがれます。

軟口蓋の動きをコントロールしているのが、脳神経の一つである迷走神経です。のどや食道にある筋肉をコントロールする神経で、胸やおなかにも延びていて、内臓の働きにも深くかかわっています。

実は、ネコ背は、この迷走神経を圧迫する姿勢なのです。

頭蓋骨の後ろには後頭骨という骨があります。迷走神経はその前方にある穴から出ています。

ここでネコ背の人を横から見た様子を思い浮かべてください。背骨が丸まり、首が前に出た姿勢です。

しかし、そのままだと下向きになりますから、あごをグッと持ち上げ、顔を正面に向けた姿勢をとることが多いはずです。

このとき、後頭骨は前にくい込んだような状態となり、前方から出ている迷走神経が圧迫を受けるのです。

圧迫された迷走神経は、働きが低下し、軟口蓋を持ち上げる機能に狂いが生じ、その結果、食道に行くべき食べ物や飲み物の一部が鼻に流れ込むのです。

ゆがんだ後頭骨を矯正するセルフケア

これを防ぐには、ネコ背はもちろんのこと、ネコ背によって生じた後頭骨のゆがみを正すことが必要です。今回は、簡単なセルフケアを2種類ご紹介しましょう。

①背骨そらし

画像1: 【鼻の奥に食べ物が挟まる】原因は猫背による「後頭骨」の歪み!

あおむけに寝て、両手を肩と水平になるように広げ、ひじを90度に曲げる。

お尻と後頭部で背中(胸)を持ち上げ、肩甲骨をグッと寄せる。足は、かかとを突き出す。この状態で息を吸って、止める。苦しくなって耐えられなくなったら、一気に脱力する。そのままの状態で20~30秒、姿勢をなじませる。

あおむけで寝て、背骨をそらす体操です。ポイントは二つあります。

まず背骨をそらすときは、肩甲骨を寄せ、かかとをグーッと突き出して、目一杯、ふんばりましょう。

次に、脱力するときは、息を吐いて一気に力を抜くのがコツです。その後20~30秒間は、じっとして、緊張が抜けた状態を体になじませましょう。

この体操は力を集めてから脱力する緩急の差で、後頭骨のゆがみを整えます。続ければ、背骨が正常なカーブを描くようになり、ネコ背も直ります。

少々きつい動きなので、体操に慣れていない人や高血圧の人は、背骨をそらす時間を10秒ほどにするなど、無理のないように行ってください。

②お尻たたき

画像2: 【鼻の奥に食べ物が挟まる】原因は猫背による「後頭骨」の歪み!

うつぶせに寝て、両手を組み、あごを乗せる。

片足ずつ、お尻にかかとを近づけ、どちらの足が、近づけにくいかを調べる。

息を吸って、近づけにくかった側のかかとを、一気に素早く、お尻にぶつける。これを3回くり返す。

かかとがお尻につかない人は、できる範囲でよい

首に痛みがあるなど、①の体操ができない人向けの体操です。うつぶせに寝て、片足のみお尻にかかとをぶつけることで、骨盤のゆがみを矯正します。

骨盤と頭蓋骨は連動して動きます。ですから、骨盤を整えることで、頭蓋骨のゆがみも整っていきます。

頭蓋骨と骨盤両方のゆがみを整えると、自律神経のバランスがよくなるので、全身の健康維持にも役立ちます。また、頭蓋骨の左右差を整えるので、顔のパーツが左右対称になり、小顔にもなります。

②の体操では足の左右差を見つけることが必要ですが、差がわからないという人もいるでしょう。それはその時点では、体のバランスが取れているということです。体調や季節によって、体のバランスは常に変わるので、時間を変えて行ってみるといいでしょう。

どちらの体操も一瞬で終わるので、1日1回の習慣とするのが理想的です。疲労をリセットするつもりで、寝る前に行いましょう。ただし、目がさえてしまうなら、起床時に行ってください。

なお、ご相談の内容と並行して、食べた物が飲みこみにくいという症状も伴っている場合は、ほかの問題がある可能性があります。その場合は病院に行くことをお勧めします

画像: この記事は『安心』2019年1月号に掲載されています。

この記事は『安心』2019年1月号に掲載されています。

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