動脈硬化を防ぐ食事「RAP食」とは?野菜味噌汁で血管にたまった脂肪を減らそう

美容・ヘルスケア

植物性の油や動物性の脂肪が血流に乗って全身に運ばれると、血管内壁に蓄積しプラーク(血管内壁の脂肪の塊)が形成されます。なぜ、野菜を多くとるとプラークがたまりにくくなるのでしょうか。その理由の一つとして考えられるのが、白血球の一種であるマクロファージの活性化です。【解説】真島康雄(真島消化器クリニック院長)

解説者のプロフィール

真島康雄(まじま・やすお)
真島消化器クリニック院長。久留米大学医学部卒業。医学博士。日本超音波医学会専門医・指導医。専門は肝臓・血管。超音波検査の特殊手技ほか独自の治療法を開発し、第1回肝臓学会研究会奨励賞、ほか受賞多数。血管プラークの改善を主眼においた食事指導を行い、成果を上げ続けている。著書に『脳梗塞・心筋梗塞・高血圧は油が原因 動脈硬化は自分で治せる』(幻冬舎)などがある。

野菜を多く食べる人ほど動脈硬化になりにくい!

私は、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病、そして、脳梗塞や心筋梗塞などによる突然死を防ぐため、皆さんに勧めている独自の食事療法があります。それが、「RAP(ラップ)食」です。

RAP食とは、「動脈プラーク(血管内壁の脂肪の塊かたまり)退縮のための食事療法」(Medical Regression Arterial Plaque)のことで、動脈硬化を改善させる目的で指導しています。

食用の油と脂を控えた昔の田舎料理、とイメージしてもらえればいいでしょう。

私はこれまでに、5800人以上の患者さんの血管エコー(超音波)検査と食事調査を行い、分析・研究してきました。そして、次のことを突き止めました。

体内に入った植物性の油や動物性の脂肪が、超微粒子となって血流に乗って全身に運ばれると、血管内壁に蓄積し、プラークが形成されます。これが蓄積すると、血管が狭く細くなり、血液の流れが悪くなる──。

つまり、動脈硬化の真犯人は、「油と脂」だったのです。

実際、脂質を減らすRAP食を指導してからは、数多くの患者さんのプラークが減り、血管に関連する、さまざまな病気が改善しました。

今回ご紹介する「野菜みそ汁」も、ぜひ、毎日とっていただきたいRAP食の一つです。

では、なぜ野菜のみそ汁が、動脈硬化に役立つのでしょうか。なんといっても特筆すべきは、野菜の力です。

患者さんの食習慣とプラークの量の関係を調べると、野菜が嫌いな人ほど、プラーク量が多いことがわかりました。

また、野菜が大好きだと答えた人は、野菜嫌いな人よりも、プラークの厚さが平均して、1.5mm以上も少ないとわかったのです。

また、農家を営むある患者さんは、肉が大好きなかたでした。ところが、毎晩のように山盛りのキャベツのせん切りも食べていたためでしょう、大きなプラークはできませんでした。

なぜ、野菜を多くとると、プラークがたまりにくくなるのでしょうか。その理由の一つとして考えられるのが、白血球の一種である、マクロファージの活性化です。

多くの野菜には、マクロファージを活性化させ、血管内壁のプラークを食べる能力(貪食能)を高める効果があると考えられます。どの野菜に効果があるのかは、まだすべて解明されていません。

しかし、唯一、ネギのヌルヌル成分が貪食能を高める効果があった、というマウス実験は報告されています。ですから、ネギを具の一つとして入れるといいでしょう。

また、野菜に多く含まれる食物繊維には、食事でとった油脂と腸管内で結びつき、便とともに排出する作用があります。さらに、油脂を分解する働きがある消化酵素・リパーゼも、野菜には豊富です。

まさに野菜は、動脈硬化予防のための救世主なのです。

私はキノコも入れて毎日愛飲!

和食の王道であるみそ汁も、RAP食には欠かせません。

みそは、いわずと知れた発酵食品です。発酵食品には、腸内の善玉菌のエサになる成分が豊富です。また、みそ汁を毎日食べている女性ほど、乳ガンの発症リスクが抑えられたという報告もあります。

私は、動脈硬化が治りやすい人と治りにくい人の差は、脂質の摂取量、そして、腸内細菌にあると感じています。

みそ汁や少量の甘酒などを毎日摂取している人は、プラークが減る傾向にあります。少量でもきちんと摂取し、腸内の善玉菌が増えれば、いい結果に直結するのです。

私も毎日、野菜たっぷりのみそ汁を食べています。私の場合、その日にある野菜を数種類とキノコを入れて作ります。砂すな肝ぎもも入れると、絶品です。10分もあれば作れるので、手間もかかりません。

野菜みそ汁の最大の利点は、みそ汁にすることで、たくさんの野菜を食べられる点です。前述のネギをはじめ、どんな野菜でもかまいません。とにかく、具だくさんにしましょう。

特に、食物繊維が多い根菜類、マグネシウムが豊富な葉物の野菜はお勧めです。また、食物繊維が豊富なキノコも、ぜひ入れてください。ワカメやノリなどの海藻類も、プラーク縮小のために有効です。

目安の摂取量ですが、大さじ1杯以内のみそでまかなえるのであれば、1日2杯食べてもかまいません。出汁と野菜の旨みが加わっているので、みそは少なめでも、十分おいしくいただけます。出汁は、煮干しでもカツオ節でも、お好きな物をお使いください。

なお、使用するみそですが、脂質が低い麦みそや合わせみそなどを使うと、よりよいでしょう。また、高血圧の人がみそ汁で多量に塩分をとると、数時間後に血圧が上昇する傾向にあります。RAP食では塩分制限を設けていませんが、データを見る限り、減塩みそを使ったほうが賢明です。

脂質の少ないみそを選ぶとさらによい

この記事は『壮快』2019年2月号に掲載されています。

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