【LDLコレステロール値が高め】数値を下げる対策は?専門医が「1カ月の肉断ち」を勧める理由

美容・ヘルスケア

「脂質異常症」は、高血圧と同様に「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれています。脂質に関する数値が基準を超えていたり、脂質異常症を指摘されたりしたら、突然死を防ぐためにも、きちんとした対策を取らなければいけません。【解説】寺本民生(寺本内科・歯科クリニック内科院長・帝京大学名誉教授)

解説者のプロフィール

寺本民生(てらもと・たみお)
寺本内科・歯科クリニック内科院長。医学博士。帝京大学名誉教授。専門は脂質異常症、動脈硬化など。

脂質異常症を放置すると突然死を招く!

皆さんが健康診断で血液検査を受けると、その検査結果の「脂質代謝」という欄に、「LDLコレステロール」、「HDLコレステロール」、「中性脂肪」といった数値が示されています。

LDLコレステロールは、いわゆる悪玉コレステロールのことで、140mg/dl以上だと要注意です。

一方、HDLコレステロールは、血管壁のコレステロールを運び出す善玉というべき存在で、こちらは、低過ぎるとよくありません。40mg/dl未満だと注意が必要です。

中性脂肪は、大切なエネルギー源ではありますが、高過ぎると蓄積して肥満や糖尿病の原因となります。基準値は、150mg/dl以下です。

これらの三つの数値のうち、いずれかが基準値を超えると、「脂質異常症」と診断されます。

しかし、数値が基準を超えても、体の不調はすぐには現れません。このため、健康診断で脂質異常症と指摘されても、治療も改善策も実施せず、放置する人が少なくないのです。

脂質異常症を放置すると、徐々に血管に動脈硬化が進行していきます。動脈硬化がさらに進めば、のちのち脳梗塞や心筋梗塞などの重大な疾患につながり、突然死を引き起こすこともあるのです。

こうした点から、脂質異常症は、高血圧と同様に「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれています。

健康診断の結果、脂質に関する数値が基準を超えていたり、脂質異常症を指摘されたりしたら、突然死を防ぐためにも、きちんとした対策を取らなければいけません。

では、血管の老化を押しとどめて、動脈硬化の進行を食い止めるために、どんな点に注意すればよいでしょうか。

ちなみに、悪玉コレステロール値、善玉コレステロール値、中性脂肪値の三つのうち、どれを重要視すればいいかといえば、なんといっても悪玉のLDLコレステロール値です。

もともと、コレステロールは、私たちが生きていくうえで、どうしても必要な物質です。

コレステロールは肝臓で作られ、全身に送られて有効利用されていますが、偏った食生活を送っていると、過剰になった分が、血中にたまってしまいます。

すると、行き場をなくした悪玉コレステロールは、動脈の壁に入り込み、動脈硬化の原因となるのです。

肉のかわりに青魚を!脂身もできるだけ避ける

もし、健康診断でLDLコレステロールが基準値を超えていると指摘された場合、「1ヵ月限定で肉や卵などの動物性脂肪を徹底的にとらないこと」をお勧めします。

つらそうに思われるかもしれませんが、一生続けるわけではなく1ヵ月でいいのです。動物性脂肪の摂取を短期間断ったとき、その変化に体がどう対応するかについて、実験してみるのです。

脂質異常症の約9割は、偏った食事や運動不足、飲酒などの生活習慣によって起こります。特に、肉の脂身などに多く含まれる「飽和脂肪酸」の多い食事こそが、脂質異常を引き起こす有力な要因です。

そこで1ヵ月間、肉類、バターやクリームなどの乳製品を断ってみると、多くの場合LDLの数値が明らかに下がってきます。

私の患者さんのうち、40代女性のケースでは、1ヵ月間で30%もLDL値が下がったかたがいます。きちんと制限を行えば、たいてい10%くらいは数値が下がるでしょう。

動物性脂肪を1ヵ月間断った結果、LDLの数値が下がったということは、今までがとり過ぎだったという証拠です。

肉や卵、バターは1ヵ月我慢!

それが確認できた以降は、日ごろの食生活で緩やかに動物性脂肪を減らしていくようにしましょう。

最初の1ヵ月間と同じように、肉をいっさいとらないという極端な食生活は、ストレスがたまるばかりですから無理に続ける必要はありません。

そこで、肉のかわりにできるだけ魚をとる機会を増やしてみましょう。青魚の油は、血管を若返らせる効果があります。

また、肉を食べる際にも、脂身の少ないヒレ肉を使い、もし脂身があれば落としましょう。鶏のササミ肉などもお勧めです。ひき肉は脂身が多く含まれているので、できるだけ避けたほうがいいでしょう。

ちなみに、中性脂肪値が高くなる場合の多くは、アルコールや糖質(特にお菓子)のとり過ぎです。心当たりのあるかたは、動物性脂肪だけでなく、アルコールやお菓子も控えましょう。

極論すれば、文明開化以前の日本人と同じ食事であれば、脂質異常は起こりにくいのです。江戸時代の日本には、動脈硬化は少なかったはずです。

とはいえ、あまり理想を追い求め過ぎても、嫌になってしまうでしょう。まずは、ご自分のできる範囲内で動物性脂肪を減らし、大切な血管の健康を守っていくことを心がけてください。

ところで、1ヵ月間にわたって動物性脂肪をいっさい断っても、LDLコレステロール値が下がらなかった場合は、投薬治療を検討する必要があります。こうした場合には、かかりつけの医師にきちんと相談してください。

この記事は『壮快』2019年2月号に掲載されています。

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