【解説】山口勝利(全国冷え症研究所所長)
解説者のプロフィール

山口勝利(やまぐち・かつとし)
全国冷え症研究所所長。1962年、神奈川県生まれ。理学博士。柔道整復師。鍼灸師。平成15年度社会文化功労賞受賞。『死ぬまで元気でいたければとにかく内臓を温めなさい』(アスコム)など著書多数。
ショウガの辛みが和らぎ患者さんに大好評!
「足が冷たくて眠れない」「腰周りがスースーする」「夏でも冷房が寒い」。
こうした悩みを持つかたは少なくありません。一般に「冷え症」といわれる症状ですが、重症化して長引くと、関節痛や耳鳴り、めまい、頭痛、高血圧などを引き起こします。私のもとにも、そうした悩みを持つかたが毎日たくさん見えます。
冷え症対策は、まず腹部を温めること。腹巻きや毛糸のパンツで冷えを防ぐのはもちろん、体を温める物をとり、内側から働きかけることも必要です。
体を温める代表的な食材が、ショウガです。
ショウガの薬理作用は、ガラノラクトンなどの芳香成分や、ジンゲロール、ショウガオールなどの辛み成分にあります。これらが、新陳代謝を活発にして体温を上げたり、筋肉を増強して血液を隅々まで巡らせたりするのです。
こうしたショウガの効果が広く知られるようになり、最近では、レストランでも、「ショウガをください」と頼むと出してくれる店が増えています。
私は20年以上、冷え症の患者さんにショウガを勧めてきました。効果を期待できるショウガの量は、1日15g。手の親指の先くらいの大きさです。
最初はショウガ紅茶を勧めていましたが、「辛くて飲みづらい」という声が多く聞かれました。ショウガの辛みが和らぐ方法を模索した結果、最も飲みやすかったのが、「ショウガみそ汁」だったのです。
実際、患者さんに勧めたところ大好評。以来、ショウガみそ汁が定番となりました。
2週間で低体温が軽快!体調不良も改善した!
私はこの20年間で、6万人を超える冷え症の患者さんの体温データを取ってきました。なかでも、低体温を自認する100名の体温変動を計測したデータには、興味深いものがありました。
ほとんどの人は、日中の体温が36度以上あり、決して平熱が低いわけではないのですが、朝と夜に、体温が1.5度以上も下がるのです。
さらに、こうした体温の変動幅が大きい人ほど、肥満や便秘、不眠、耳鳴り、めまい、関節痛などに悩んでいました。
体温は、意志とは無関係に変動します。つまり、自律神経がつかさどる領域です。体温の変動幅と体調不良に相関があることから、自律神経のバランスが乱れていると推測できます。
ですから、朝晩の体温が上がって変動幅が小さくなれば、自律神経が整い、不調が改善していくのではと考えました。
そこで、低体温を自認するかたがたに、ショウガみそ汁を2週間飲んでもらいました。
すると、ほとんどの人の、朝晩の体温が上昇。2週間で効果がなかった人も、3週間後には「体が温かくなった」と報告してくれました。
ですから、目安として3週間は続けてみてください。その後もショウガみそ汁を継続した人たちは、体調不良も改善しています。
ショウガは先に述べたとおり、代謝を活発にして体温を上げたり、末梢の血流をよくしたりする効果があります。
また、大豆の発酵食品であるみそも、体を温める食材です。ビタミンEやアミノ酸を含み、悪玉コレステロールを抑制するリノール酸やサポニンも豊富です。血液がサラサラになり、動脈硬化を予防する効果も期待できるでしょう。
つまりショウガみそ汁は、血管を柔軟に保ち、血液を末端まで行き渡らせる「血流改善食品」なのです。
さらに、常食することで内臓の冷えが取れ、体温が上昇します。体温が1度上がると、代謝が11~12%上昇するといわれます。太りにくい「やせ体質」になるのです。
私自身、ショウガみそ汁で健康的に12kgのダイエットに成功した経験があります。71.5kgの体重が、6ヵ月間で59kgになったのです。
ちなみに、ダイエット期間中、私は大好物のアイスクリームを毎晩欠かさず食べ、特別な運動もしませんでした。それにもかかわらず、体重がぐんぐん減っていき、今でも全くリバウンドはありません。
それでは、ショウガみそ汁の作り方をご紹介しましょう。