この先、もう野球を続けることはできないのではないか……。そんな不安を抱えているとき、お見舞いに来てくださったのが、阪神タイガースの岩田稔投手でした。「病気というのは、きっと乗り越えられると神様が思った人にしか与えない物だ」と僕を励ましてくださいました。【体験談】平尾奎太(Honda鈴鹿硬式野球部投手)

プロフィール

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平尾奎太(ひらお・けいた)
Honda鈴鹿硬式野球部投手。1994年、大阪府生まれ。投手。大阪桐蔭高校では、2年連続甲子園に出場し連覇に貢献。同級生の投手には、藤浪晋太郎選手(阪神タイガース)がいる。同志社大学に進学し、関西学生リーグで8勝をマーク。4年生の秋には、4勝を上げてベストナイン受賞。同大卒業後、実業団チームのHonda鈴鹿に入社し、1年めから主力として活躍。さらに、侍ジャパン社会人代表に選出されるなど、今後の活躍が期待されている。

阪神の岩田投手の激励で野球を続けることを決意

僕がIgA腎症(血尿やたんぱく尿などの症状が現れる慢性糸球体腎炎の一種)という病気にかかったのは、大阪桐蔭高校の野球部で甲子園を目指していた2年生のときでした。

その年の夏、2回ほど高熱を発して、ほとんど真っ黒な血尿が出たのです。違和感を覚えたものの、何日かすると元に戻りましたし、そのほかの自覚症状がないので、野球に全力で取り組んでいました。

しかし、9月に行った検査の結果、腎機能を示すクレアチニンの数値が、2.7mg/dlにまで達しているとわかりました。

この値は、正常の人の30%にまで腎機能が低下していることを示しています。尿たんぱくの値についても「3+」とかなり高く、即刻、入院することになったのです。

医師の先生から、病名だけでなく絶対安静を宣告されたときには、「なんで?」というのが正直な感想でした。どうして、自分が突然、こんな難病にならなければいけないのか。この先、もう野球を続けることはできないのではないか……。

そんな不安を抱えているとき、お見舞いに来てくださったのが、阪神タイガースの岩田稔投手でした。

岩田さんは、野球部の先輩に当たるかたで、ウイルス感染が原因で1型糖尿病を発症しながらもそれを乗り越え、プロ野球の第一線で活躍されているピッチャーです。

病室で岩田さんは、「病気というのは、きっと乗り越えられると神様が思った人にしか与えない物だ」と僕を励ましてくださいました。

1日に4回もインスリン注射を打ち続けながら、プロ野球のマウンドに立っておられる岩田さんの言葉に、僕は大いに勇気づけられたのです。

野球をあきらめないと決意した僕は、引退してから治療に専念するという条件で、チームに残ることを認めてもらいました。そして、3年生になってからもベンチ入りを果たし、チームの一員として春夏連覇に貢献できたのです。

その後、同志社大学に進んだ僕は、野球部に入部しましたが、最初の2年間は治療に専念しました。病気から解放される日を待ちわびながら、裏方としてチームを支える日々を過ごしたのです。

僕が、IgA腎症という難病を治すために続けていたのが、上咽頭擦過療法です。

(詳細は別記事:IgA腎症が最新治療で治せる病気に!を参照)

決して楽な治療ではありませんが、根気よく続けたおかげでしだいに症状が改善。その結果、3年生のシーズンからは、練習を再開できるようになったのです。春のリーグ戦では、初先発のマウンドで完封勝利を上げることもできました。

そして、大学4年生のシーズンには、リーグのベストナインに選ばれ、その後、現在のHonda鈴鹿硬式野球部の一員になれました。現在は、今年の都市対抗野球で優勝するために、チーム一丸となって練習に励んでいます。

あきらめずに治療を続ければ完治できる!

そして昨年の12月、ついに僕はIgA腎症を克服することができました。すべての数値が正常化し、腎機能も安定しています。体調もバッチリです!

これまで支えてくれた両親、チームメイトはもちろん、治療に力を尽くしてくださった、堀田修先生には、感謝の気持ちでいっぱいです。

今、振り返ってみると、病気になったことは、決してマイナスばかりではなかったと感じています。難病を乗り越えた経験が、プレーヤーとして成長するうえで、大いに役立ったと思うのです。

かつて、先輩である岩田さんは、ご自身の体験をもとに僕を励ましてくださいました。

それと同じように、これからは、野球選手として僕がさらに活躍することで、IgA腎症で苦しんでいる皆さんを勇気づけたいと思います。

あきらめずに治療を続ければ、きっと完治できるということを、少しでも多くの患者さんに知っていただきたいのです。

そのためにも、来年は、プロ野球選手として、マウンドに立ちたいと思っています!

早期に実施した二つの治療が奏功(堀田修クリニック(HOC)院長 堀田修)

IgA腎症の進行は、糸球体の炎症の強さで決まります。平尾さんの場合、活動性が高く急速に進行するタイプで、早期治療をしなければ、発症5年以内に透析のおそれがありました。

そこで、IgA腎症感染の根元である扁桃腺を切除し、ステロイドパルス療法を行いました。加えて、糸球体の炎症の引き金となる慢性上咽頭炎の治療(上咽頭擦過療法)を実施。IgA腎症の治癒には、この二つの治療が大変有意義でした。

失意と逆境のなかでも、平尾さんは「病気を根治して、またマウンドに立つ」という強い信念を揺らぐことなく持ち続けました。治療が成功した勝因は、その強い精神力にもあったのだと思います。

画像: この記事は『壮快』2019年5月号に掲載されています。

この記事は『壮快』2019年5月号に掲載されています。

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