AI翻訳機【ポケトークとは】シンプルな使い方はそのまま!進化した「ポケトークW」開発秘話

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シリーズ累計出荷台数30万台を超えたAI翻訳機「ポケトーク」。その人気商品が一年もたたずして大幅リニューアルした。その背景にはユーザーからのリクエストがあったのだとか。“ボタンを押しながら話しかけるだけ”というシンプルな使い方はそのままに、翻訳専用機としてのあり方を追求した新商品「ポケトーク W」の開発秘話を開発担当者に訊いた。

話題の商品徹底解剖!「ポケトーク W」のキーパーソンに訊け!

ボタンを押しながら話しかけるだけ!
世界中の指定した言語の音声で返してくれるAI翻訳機

ボタンを押しながら話しかけるだけで、指定した言語に翻訳し音声で返してくれる、ソースネクストの翻訳機「ポケトーク」は、シリーズ累計出荷台数が30万台を超えたヒット商品だ。2017年12月発売の初代モデル「ポケトーク」から、2018年9月発売の最新モデル「ポケトーク W」はどう進化したのか。また、異例ともいえる早期の大幅リニューアルの背景には何があったのか。開発担当者に訊いた。

キーパーソンはこの人!

ソースネクスト株式会社 執行役員 技術戦略室
川竹一さん

AIによる翻訳精度の向上が開発のきっかけ

近年、日本を訪れる外国人の数が増加中だ。日本政府観光局の調べによると、2018年の訪日外国客数は約3119万人。今年9月のラグビーW杯や、2020年の東京五輪/パラ五輪も控えており、今後も日常で外国人と接する機会はますます増えていきそうだ。

海外旅行でもそうだが、外国人とのコミュニケーションで必須となるのは外国語。だが、多くの日本人にとっては、これが最大のハードルとなる。この問題の解決策として注目を集めているのが、ソースネクストの翻訳機「ポケトーク」だ。

ソースネクスト ポケトーク W

本体サイズは縦110ミリ×横59.8ミリ×厚さ15.8ミリ。重量は約100グラム。2200ミリアンペアのリチウムイオンバッテリーで連続7時間の翻訳が可能。

「ポケトークは、ボタンを押しながら話しかけるだけで指定した言語に翻訳し、音声で返してくれる、手のひらサイズの翻訳機です。高い翻訳精度を実現するとともに、使いやすさにもこだわりました。めんどうな設定は不要で、箱から出したら、誰でもすぐに使えることも特徴です」

こう話すのは、ポケトークの開発を担当する川竹一さん。同社で翻訳機開発のビジョンが生まれたのは2001年ごろだったというが、当時は技術的な要因から断念。最近になって、AIなどの活用によって翻訳の精度が飛躍的に高まったことや、IoT機器を低コストで製造できるようになったことなどで、開発をスタートさせたという。

2017年12月に発売されたポケトークの初代機は、オランダのスタートアップ企業との共同開発。個人はもちろん、鉄道やホテル、飲食店といった法人からの引き合いも強く、初回生産台数が11日間で完売するなど、大きな話題となった。

画面を大型化してタッチ操作にも対応

そして、2018年9月には、後継機「ポケトーク W」を発売。対応言語数や翻訳速度などを向上させ、ディスプレイやSIMカードなどのハードウエア面でも改良を施した。丸みを帯びた形こそ同じものの、中身は別物といってもいいほどの進化だ。

ヒットした初代機の発売から1年も経たずに、大幅リニューアルした後継機を発売するのは異例のことにも思える。その背景には、ユーザーからの声があったという。

「初代機は好調なスタートを切ったのですが、すぐにユーザーさんからさまざまなリクエストが寄せられました。
我々としては、その時点でのベストを盛り込んだ製品でしたが、改良を望む声が多く集まったのも事実。改良した製品をなるべく早く届けたいという思いから、自社開発に切り替え、すぐさまリニューアルに取りかかりました」

ユーザーからの声で多かったのが「画面を大きくして、タッチ操作ができるようにしてほしい」というものだ。

初代機は1.3型という小さなディスプレイのため、画面表示できる情報量が少なく、タッチ操作にも非対応。言語を選択する場面では、ずらっと並んだリストの中から、上下左右キーにタッチして目当ての言語を探さないといけないのが大変だった。

「操作性は最優先の課題だと考えていました。
そこで、ポケトーク Wでは、本体のサイズはそのままに、2.4型の大画面に変更。タッチ操作にも対応させました。文字が小さすぎて読みにくいという声もありましたので、文字サイズを変更する機能も追加しました」

ユーザーからは「使い始めるまでの設定が大変」という声も寄せられていた。

ポケトークは、クラウド上の翻訳エンジンを利用する仕組みのため、インターネットへの接続が必須となる。初代機では、本体とは別にSIMカードが付属していたのだが、これを自分で本体に挿して初期設定するのが難しいというのだ。

「これは、我々が想定していたよりも年配の方や、デジタル機器にあまり慣れていない方にも購入していただいたという要因もあったと思います。
ポケトーク Wでは、チップを最初から本体内に埋め込むeSIMを採用し、初期設定を不要にしました。箱から取り出して電源を入れるだけで使い始められます」

ポケトーク Wは、Wi-Fiのみのモデルと、eSIM内蔵のグローバル通信2年付きモデルの2種類をラインアップ。後者は、2年間は通信が使い放題で、追加費用がかからない。2年間は通信コストや手間を意識しなくて済むわけで、これは非常に優れた仕組みだといえる。

めんどうなSIMの通信設定をすることなく、すぐに使い始められます。

専用機ならではの使い勝手のよさを追求

翻訳の仕組みだが、前述したように、クラウド上の翻訳エンジンを利用している。

「翻訳エンジンは、Googleや百度、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)などが開発した複数のエンジンを採用しています。
言語の組み合わせごとに最適なエンジンを使うことで、高い翻訳精度と多言語対応を実現しています」

使い方は至ってシンプルで、ユーザーはまず言語の組み合わせを選択。物理ボタンを押しながら話しかけ、話し終えたらボタンから指を離すだけだ。自分が話した文章はリアルタイムで画面に表示され、すぐさま翻訳された文章も表示されて、続いて音声で読み上げられる。
この流れがほんの数秒で行われるのは、大げさではなく感動ものだ。デュアルマイクを利用してノイズキャンセリングの処理がされているため、自分の声を認識する精度も非常に高く、ストレスを感じさせない。このあたりの使い勝手のよさは、専用機ならではのものだと感じる。

「そこは我々も大事にしているところです。
ポケトークにいろいろな機能を詰め込んで、多機能化する方向性もあると思いますが、それをするとスマホと同じになってしまいます。でも、汎用機としてはスマホのほうが優れていますから、それでは意味がない。ポケトークでは、今後も専用機の手軽さや便利さを極めていきたいと考えています」

Googleや百度、NICTなどが開発した翻訳エンジンを採用しています。

タクシー用タブレットでも活用されるポケトークの翻訳機能

●乗客側

ポケトークの翻訳機能は、JapanTaxiが提供するタクシー用車載タブレットに、6月より実装される。乗客がタブレット上でポケトークを起動して、マイクに向かって話すと、乗務員側のタブレットに日本語が表示され、音声が流れる仕組み。

●乗務員側

乗務員が日本語で返答すると、乗客側のタブレットに外国語で表示が出て、音声が流れるようになっている。

Memo
筆者はポケトーク Wを試用してみて、海外旅行などで使うよりも、語学学習に便利だと感じた。実際、ユーザーアンケートでも、17%が学習に利用しているという結果が出ているそうだ。

※価格は記事作成時のものです。

インタビュー・執筆/加藤肇(フリーライター)

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