元衆議院議員制作担当秘書で、勝率88%を誇る選挙コンサルタントとしてテレビやメディアから注目を集める、鈴鹿久美子氏。ここでは、同氏の著作『たった30秒で人の心をつかむ最強の自己紹介』より、もっと一緒にいたい、面白い人だと思ってもらえる自己紹介の仕方を、独自のテンプレートを当てはめ方ながら、面接やプレゼンでも使える自己紹介の例を紹介する。

解説者のプロフィール

画像: 【わずか30秒】面接でも使える自己紹介の仕方 面白いと思ってもらえる項目、テンプレートはコレだ!

鈴鹿久美子(すずか・くみこ)
元衆議院政策担当秘書。通称「勝たせ屋」。秘書時代の15年間で6人の政治家に仕える。ボスである議員が選挙で負けた悔しさから、勝因敗因を分析研究し、勝つためのノウハウをブランディング戦略として体系化。独立後、議員秘書専門の人材紹介と、勝率88%を誇る選挙コンサルティングで、テレビ、メディアからも注目を集める。かかわった政治家は、衆参国会議員、知事、市長、町長、地方議員など。全くの素人から当選を果たした政治家は60名を超え、講演会、セミナーでは3000名を超す政治家に勝たせ屋の手法を指南。現在は、大手医療機関や弁護士事務所、外資系企業などからもオファーが絶えない。主宰する「鈴鹿塾」では自称「クミ員」の塾生から「クミ長」と呼ばれる。著書に『一流の魅せ方』(大和書房)がある。
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この原稿は書籍『最強の自己紹介 (たった30秒で人の心をつかむ)』から一部を抜粋・加筆して掲載しています。

私が「勝たせ屋」と言われた理由

「勝たせ屋」と呼ばれています。鈴鹿久美子です。
私は、国会議員の政策秘書をしていました。多くの選挙経験を積むうち、その候補者が勝つか負けるか、事前にわかるようになりました。
それは、勝つ人にも、負ける人にも、共通項があることに気づいたからです。
その象徴が自己紹介。
実は、ビジネスにも合コンにも勝つ、「最強の自己紹介」が存在します。
ここでは、「勝たせ屋」鈴鹿久美子が、その作り方を紹介します。

いきなりで驚いたかたもいらっしゃると思います。この自己紹介は、ここで解説する「最強の自己紹介」の作り方に則って作成しました。

では、あらためて、ご挨拶いたします。

皆さん、はじめまして。鈴鹿久美子と申します。

私は、国会議員の秘書を15年間務めました。現在は、そのときの経験を生かして、政治家のかたがたを「勝たせる」仕事をしています。

2018年末までに行われた選挙で、通算の勝率は88%。
永田町では、「勝たせ屋」と呼ばれています。

画像: 現在は、政治家だけでなく、エグゼクティブのかたがたが「勝つ」ためのお手伝いもしています。

現在は、政治家だけでなく、エグゼクティブのかたがたが「勝つ」ためのお手伝いもしています。

いかに第一印象を良くするか

政治家でもエグゼクティブでも、勝つために重要なのは、「ファンを作る」こと。

政治家は、ファンがふえれば当選します。エグゼクティブは、ビジネスがうまく回り出します。そのために、いちばん大事なことはなんだと思いますか?

それは、第一印象をよくすること。
少し詳しくいうと、「いかに、たった一度会っただけの人にも好印象を与え、心の中で『イイね!』ボタンを押してもらうか」ということです。
そのために大切なのが、「自己紹介」です。
選挙でもビジネスでも、成功する人は皆、印象に残る自己紹介をしています。

画像: 特に政治家は、選挙活動で街頭演説をする際、上手な自己紹介をすることで、有権者のかたがたをその場に引き留め、話を聞いてもらう必要があります。

特に政治家は、選挙活動で街頭演説をする際、上手な自己紹介をすることで、有権者のかたがたをその場に引き留め、話を聞いてもらう必要があります。

自己紹介は30秒がベスト

自己紹介は、長すぎても、短すぎてもいけません。

私の結論は、「自己紹介は、30秒で終わるのがベスト」です。それが、「最強の自己紹介」なのです。

つまり、ここでは、
「たった30秒、文字にすると200文字のテンプレートに、あなたの名前やPRポイントを当てはめるだけで、圧倒的な好印象を与え、願った以上の結果を手に入れる、最強の自己紹介を作る方法」
をお伝えします。

「たった30秒の自己紹介なんて、挨拶して名前と所属をいったらおしまい。ましてや、『欲しい結果』を手に入れるアピールなんてできるはずがない」
そう思われるかたも多いでしょう。

「アピールしたいなら、起承転結に添って、少なくとも2~3分はしっかり話をしなければならない」
そう思うかたも多いかもしれません。

でも、実は「30秒」は決して短い時間ではありません。テレビのコマーシャルは、そのほとんどが、1本15秒か30秒で作られています。

画像: 視聴者にインパクトを残し、「これが欲しい!」と思わせるのには、じゅうぶんな時間ともいえます。

視聴者にインパクトを残し、「これが欲しい!」と思わせるのには、じゅうぶんな時間ともいえます。

自己紹介にはコツがある

また、人の話をじっと聞いていられるのも、30秒といわれています。
ここで大切なのは、この30秒ですべてを話す必要はない、ということです。
まず、30秒の自己紹介で、自分に好印象と興味を持ってもらいましょう。そして、その後、ゆっくりと話をする機会を獲得できればいいのです。

それでも、「やっぱり、自己紹介にいい印象はない」と思うかもしれません。
それは、これまで見聞きしてきた自己紹介が、キャリアや自慢話が延々と続く、聞いているだけでうんざりする冗長なものだったり、逆に、話すのが苦手で、早口で名前と所属をいって終わり、という貧弱なものだったりと、残念な自己紹介を数えきれないほど見てきたからです。

たいていの場合、「自己紹介」はこの「多弁な自慢型」か、「消え入りそうな貧弱型」のどちらかに分類できます。「印象に残る、素敵な自己紹介」なんて、聞いたことがないというのが普通です。

でもご安心ください。コツさえわかれば、誰でも自己紹介は上達できるのです。

「最強の自己紹介」の作り方

試しに、やっていただきたいことがあります。

まず、「誰かの役に立って褒められたり、感謝されたりした経験」を思い出してください。そして、「自分のどこがすぐれているから喜ばれたのか」を考えてください。

次に、この「すぐれているところ」がどうして身についたのか、そのきっかけになった過去の経験を探してください。

これらを、順序どおりに並べ、組み立てるだけで、人の心に届き、最高の印象を与える、「最強の自己紹介」が簡単に出来上がります。

画像: 人の心に届き、最高の印象を与える、「最強の自己紹介」が簡単に出来上がります。

人の心に届き、最高の印象を与える、「最強の自己紹介」が簡単に出来上がります。

自己紹介のテクニックではない

私がここで伝える「自己紹介」は、これまで皆さんが見聞きしてきたあらゆる「自己紹介」とは、全く違います。
それは前述したように、私が「選挙」という、引き分けのない、厳しい世界を舞台にして勝負してきたこと。そして、候補者の話をほんの少し聞いただけで、支持者を一瞬でファンにさせるという仕事に、今なお取り組んでいるからです。

こうして、私の会社は政治家の選挙をお手伝いしてきましたが、最初にご紹介したように、勝率88%という、ほかに類を見ない成果をあげています。そのため、私は永田町で「勝たせ屋」と呼ばれているのです。

また、ここでお知らせする「30秒自己紹介」は、いわゆる単なるテクニックとしての自己紹介ではありません。

「いっしょにいると何かいいことがありそうだ」と思ってもらう

自己紹介を考える過程で、自分の強みを深く知ることができます。

そして、聞く人の心に響かせるように自分の強みを表現することで、
「この人ともっと話をしたい、面白い人だ」
「いっしょにいると何かいいことがありそうだ」

そう思ってもらうことのできるツールです。

自己紹介が終わったとき、あなたの目の前には、名刺交換の行列ができ、持参した名刺が足りないことに気がつくでしょう。
そうなれば、もう元の多弁だったり、弱々しかったりした自分には、決して戻ることはありません。

そのときあなたは、自分の人生のステージが既に上がっていることに気づくでしょう。

このたった30秒の自己紹介は、あなたの人生を激変させます。
具体的で実践的な方法は、私の著書で説明していますが、まずここでは、なぜこの自己紹介が「最強」なのかについて、お話したいと思います。

あなたの欲しい未来は、今この手の中にあるのです。

最強の自己紹介、最弱の自己紹介とは?

ここでのメインテーマは、「最強の自己紹介」です。
時間にして30秒、たった200文字で、相手の心に圧倒的な好印象を残す自己紹介の作り方を、皆さんにお伝えします。
自己紹介に最強や最弱(?)があるなんて、考えたこともないかもしれません。

では、「最強の自己紹介」とはどんなものなのでしょう。
判断は簡単です。自己紹介をしたあとに、自分の前に名刺交換の行列ができたかどうかで、それはわかります。
会が終わってから、フェイスブックの友達申請やメールが来たかどうかでも知ることができます。
これまで異業種交流会や就活サークル、合コンなどに参加しても、名刺交換の列ができていなかった人にこそ、読んでいただきたいと思っています。

■最強の自己紹介をすれば、名刺交換の列ができるようになる
■最弱の自己紹介をすると、最初から嫌われる人になってしまう

そもそも、「自己紹介をしてください」といわれたとき、皆さんは何を話しますか?

自分の名前、会社名、所属の課、そしてせいぜい趣味を話す程度ではないでしょうか。

例えば、

「株式会社ソコソコの平凡太郎です。総務課です。趣味は読書です」

これで30文字、時間にしてわずか5秒程度。この自己紹介を聴いて、「この人と話をしてみたい」と思う人は、あまりいないと思います。

あるいは、子供の保護者会などでよくあるのは、

「△△△△の母でございます。夫が自宅で開業医をしておりますので、 私が家を空けることができず、役員もお引き受けできないのでございますが、どうぞよろしくお願いします」
このように、自慢といい訳が混在するパターン。
確実に嫌われる、まさに最弱の自己紹介です。

なぜ、多くの人は自己紹介が苦手なのか、その理由をお伝えするとともに、自己紹介が最も重視される職業についてお話ししましょう。

日本では自己紹介を習う機会がない

「自分がどんな人なのか」を伝えるのが自己紹介なのに、言葉をどうやって組み立てると魅せたい姿が伝わるのか、誰も習ったことがありません。
つまり、「いいたいことを、いいっぱなしにする」のが、日本人の自己紹介になっているのです。

「自己紹介」は、日本の教育現場ではカリキュラムに組み入れられていません。
名前を呼ばれたら、「はい!」と元気よく返事をする。
こういうことは、徹底的に仕込まれますが、「自分はこういう人物です」ということを、好印象で残るように伝える技術は教わりません。

誰かよりずば抜けている何かを示すより、「協調性」が重視され、目立たないことを美徳とする国民性からは、しかたのないことかもしれません。

次に自己紹介を学ぶ機会は、就職して、新入社員研修を受けるときです。
ただし、ここで自己紹介を学ぶチャンスがあったとしても、多くは名刺交換の場面で、所属と名前と趣味を並べるだけの、誰の記憶にも残らないものなのがほとんどです。

このように、控えめであること、自分をおさえることを美徳とする日本では、自己紹介は重視されませんし、やり方を習う機会はほぼありません。

■日本では、自己紹介は重視されていないし、習う機会もない
■政治家が選挙に勝つには、言葉を磨くべし。最も重要なのが、自己紹介

そんななか、自己紹介力がとても大切な職業があります。
それが政治家です。
私は、政治家を勝たせることを仕事としています。
政治家は選挙に勝たなければなりません。勝つために大事なのが「言葉」です。

政治家は言葉で力を示し、言葉で政治生命を失います。磨き込んだ言葉だけで、選挙演説を魅力的に構築することで、自分の魅力を有権者に伝えます。
私は、選挙で勝つために来られた政治家のかたがたには、徹底して演説のトレーニングを行います。

すると皆、演説の評判が格段に上がり、それまで、その候補者を「密かに応援」していた支持者が、「あの人イイ人なの!」と「積極的に」他人に話すようになります。
そして、選挙のなかの重要な場面で、局面を一変させるような演説ができるようになるのです。
それは、ノイズを完全に取り除き、厳選され、磨かれた言葉だけで演説を組み立てるということに、徹底してこだわり、作り込むからです。

その際に最も重要なのが、演説の冒頭で話す「自己紹介」です。
ここで、聴衆の心をギュッとつかまないと、その後に続く政策は有権者の耳に入らなくなりますし、印象に残らないので票にはつながりません。つまり、負けてしまうのです。
政治家も一般のかたも、自己紹介に変わりはありません。
私は、皆さんにこそ、多くの人に圧倒的な好印象で「イイね!」と思ってもらえる、本物の自己紹介を手に入れてほしいと願っています。

画像: 聴衆の心をギュッとつかまないと、その後に続く政策は有権者の耳に入らなくなりますし、印象に残らないので票にはつながりません。

聴衆の心をギュッとつかまないと、その後に続く政策は有権者の耳に入らなくなりますし、印象に残らないので票にはつながりません。

プロっぽくしたら引かれる、という噂にダマされない

私が自己紹介について話をすると、「自己紹介をうまく作りすぎたら、やりすぎだと思われて引かれるのではないか」とおっしゃるかたに出会うことがあります。
「アナウンサーや、結婚式の司会者のように、妙に上手な自己紹介をすると、『何かウラがあるのではないか』と警戒されるのではないか」というものです。

政治家でも、同じように考えるかたに、これまで何人もお会いしました。
「上手に話すよりも、素人っぽく詰まりながらも一生懸命に話す人のほうが人気が出る」とか、「だいたい、自分のことを決めゼリフみたいにスラスラと話すヤツなんて、デキすぎていて嫌われる」とかいうのです。

そのかたがたは、その考え方で当選しているので、もしかしたらそのとおりかも、と思ったこともあります。
しかし、それは間違いでした。その議員の当選データを調べると、やっとの思いで、ギリギリで当選しているかたが多かったのです。

■自己紹介は、流暢に、プロっぽく行う必要はない
■磨き込んだ言葉こそが、相手の心の扉を開ける鍵となる

ちょっと想像してみてください。
政治家が自己紹介をする場面で、高倉健さんのように「不器用なんで」「ジブン、ダメなやつなんで」といったらどうでしょう。
有名俳優のキャラクターならまだしも、政治家が自分のこともろくに伝えられないのでは、安心して政治を任せられません。
特に国会議員は、一歩海外に出れば、日本の国を代表する「国賓」として扱われます。その「国賓」がポツポツと、名前と所属だけを語るなんて姿を見たなら、目を覆いたくなります。

つまり、私たちが行う自己紹介では、プロっぽく話す必要もありませんし、わざと朴訥に話す必要もありません。

話し方は普通でけっこう。
それよりも、私が皆さんにお伝えしたいのは、「話し方よりも、言葉を磨き込むことが大事」ということです。
どんな言葉を、誰に向かって、何のために投げかけるのかが、重要。
伝えたい相手の心にスポッと届く、磨き込まれた言葉こそが、人の心の扉を開ける唯一の鍵なのです。

ここでは、皆さんを表現する「言葉」を見つけ、テンプレートにはめ込んでいくことで、自己紹介を完成させるテクニックを紹介します。
私が、選挙の立候補者とともに磨き込んできた、「勝ち方」のテクニックの第一歩に当たる部分です。
あますことなくすべてを手に入れて、欲しい未来をつかみとっていきましょう。

画像: 伝えたい相手の心にスポッと届く、磨き込まれた言葉こそが、人の心の扉を開ける唯一の鍵なのです。

伝えたい相手の心にスポッと届く、磨き込まれた言葉こそが、人の心の扉を開ける唯一の鍵なのです。

名刺交換は日常的な自己紹介の機会

仕事をしていると、名刺を日常的に持ち歩き、活用することが多いと思います。
ただし、名刺交換を、単に「小さな紙を交換している」といった認識で行っていると、せっかくのチャンスが生かせません。
名刺交換は、日常的な自己紹介の場面なのです。

名刺交換は、ほとんどの場合、初対面の人が相手です。
「名刺」には、その人の社会的立場を示す情報が書かれています。その情報が集約されたカードを交換する場が、「名刺交換」です。
その名刺交換の場面で、「会社名」と「自分の名前」だけをいうのを、私は「残念な名刺交換」と呼んでいます。

たいていの企業社員研修では、名前をいうと同時に、名刺を交換するノウハウを教え込まれているので、しかたがない気もします。でも、なぜ、そこに書いてあることを、その場で同じようにいわなければならないのでしょう。

「相手に覚えてもらう」
「ビジネスの最良のきっかけをつくる」
そんなチャンスに、会社名と名前だけを、もう一度いうなんて、残念でしかありません。
こんなことをしているから、何度、名刺交換をくり返しても、名前も覚えてもらえず、ビジネスも、合コンも、願う方向に進まないのです。

■名刺交換は初対面で自分を印象づけるチャンス
■回数を重ねればうまくなるわけではない。自己紹介のテクニックを活用すべし

ここで断言します。

「回数を重ねればゆとりも出て、そのうち名刺交換の際の自己紹介もうまくなる」
などということは、絶対にありません。
皆さんの周囲の上司や取引先のかたで、名刺交換の際の自己紹介が、印象に残っているかたはいらっしゃるでしょうか。もしいらっしゃれば、そのかたをまねるのもいいでしょう。

思い当たるかたがいなければ、自分で学ぶしかありません。

名刺交換という初対面のチャンスに、自分を好印象で覚えてもらう。
合コンで彼氏や彼女を見つけるにしても、ビジネスでチャンスをつかむにしても、欲しい結果を手にするために、ここでお伝えするテクニックを活用してほしいと思います。

画像: 名刺交換という初対面のチャンスに、自分を好印象で覚えてもらう。

名刺交換という初対面のチャンスに、自分を好印象で覚えてもらう。

なぜ、私が「最強の自己紹介」を作れるようになったのか

ここまでは、自己紹介の重要性をお伝えしてきました。
ここからは「そもそも、なんで、政策秘書だった私が、『最強の自己紹介』の本を書くようになったのか」について、お話ししたいと思います。

私は司法試験に3度落ち、呆然としていたとき、政治家の秘書として拾われ、永田町で仕事をするようになりました。その後の15年間で、6人のボス(政治家)に仕えました。

1人当たり2~3年で、ボスが変わっていたことになります。秘書のなかには、何十年もの間、同じ政治家に仕え続ける人もいます。本当は、私もそうしたかった。でも、そうはならなかった。
それは、私が仕えたボスが、選挙で負けたからです。政治家は、選挙で負けるとただの人になり、秘書は、ボスが負けると同時に失業します。

正確にいうと、衆議院が解散した瞬間に、公設秘書は無職になります。選挙活動の間は、公設秘書だった人は手弁当で働くのが常。選挙もしっかりと働いたのに、負けたときは最悪です。貯金から持ち出した「手弁当」の費用は戻らず、選挙のあと始末をしながら、失業者として就職活動もしなければならなくなります。

議員秘書は、ボスである議員の選挙区で、県議会や市議会の選挙にもかかわります。
ですから、これまで経験した選挙は数えきれません。知事選挙も、市議会議員選挙も、補欠選挙も、そう簡単に勝ったことはありませんでした。私は、負ける選挙を経験し続けてきたのです。

ついにはボスの選挙にも負けて、自分も議員秘書という仕事を失い、履歴書を持って再就職先を求め、議員会館を歩きました。どうして負けたのか、相手はなぜ勝ったのか、頭の中をぐるぐる回り続ける悔しさと、惨めな気持ちを抱え、議員会館をぐるぐる歩き回ったものです。

そんなことを10年も続けているうちに、いつの間にか、私にはある能力が身についていたことに気づきました。
候補者をパッと見ただけで、その人が勝つか、負けるか、わかるようになったのです。

最初は直感・霊感のようなものかと思いました。でも違いました。
「選挙に勝ちたい」と勉強し、数多くの選挙にかかわっているうちに、私の中に経験値が積み重なっていきました。その結果、あることに気づいたのです。

それは、「勝つ人にも、負ける人にも、共通項がある」ということです。
「あれをやったら負ける」ことがわかると同時に、「これがある人は勝てる」ということが、ピンポイントでわかるようになったのです。

■負けに負け続けたからこそ、勝利の方程式が見えてきた
■「最強の自己紹介」は人生の縮図。自分の成長とともにバージョンアップを続ける

そして、秘書を15年務めたあと、「政治家を勝たせる仕事」を始めました。私は、この国が少しでもいい国になるためには、良い人が政治家になる必要があると考えています。でも得てして、「良い人」は「人がいい人」になり、選挙になる前に足をすくわれたり、落選したりすることが多いのが事実です。
私は、「良い人」が勝つための支援をしたいと考えています。そんな思いで、今もこの仕事をしています。

こうしてこの仕事を始めたところ、これまでかかわった選挙の勝率は88%になりました。おかげさまで、光栄にも永田町では「勝たせ屋」と呼ばれています。
「勝たせる」ための最大の武器が、この「最強の自己紹介」です。

負ける人は、負ける人なりの自己紹介をします。
一方、勝つ人は、勝って当然の自己紹介、つまり「最強の自己紹介」を知っています。
この自己紹介は、負けに負けた敗北の歴史から生み出された、勝利の方程式です。

・自分はどんな人生を歩んできたのか。どんな、思い出したくもないような大失態をしてきたのか?
・そこから何を学び、どう成長してきたのか?
・それを踏まえ、これから自分は世の中にどんな貢献ができるのか? 

これを30秒、200文字で語るのが、ここでお伝えする「最強の自己紹介」です。
その場にいる人が、思わず息を止めて聴き入り、「誰かの役に立つ自分がここにいます」ということを伝える文章を、200文字でまとめあげるのは、とても苦しい作業です。これまでの自分の人生を振り返り、深く掘り返さなければなりません。

しかし、テンプレートにしたがって「最強の自己紹介」を完成させたときには、新しい自分に生まれ変わったような感覚を味わえます。
人は生きている限り、常に変化し、成長し続けていきます。
ですから、「最強の自己紹介」には、真の完成形はありません。
成長した先には新しい問いが待ち受けていて、それとともに新しいステージに進むようにできています。

「最強の自己紹介」も、折にふれてバージョンアップし、積み上げることで、より「最強」なものへと進化し続けます。
この「最強の自己紹介」は、皆さんとともに常に歩み、力を増し続け、皆さんの一生の応援団になるものといえるでしょう。

画像: 「最強の自己紹介」には、真の完成形はありません。

「最強の自己紹介」には、真の完成形はありません。

聴いた人を一瞬でファンにする自己紹介

これまでは、「最強の自己紹介」の特徴についてお話をしてきました。
ここからは、実際にあなたの自己紹介を作っていきましょう。

聴いた人を、一瞬であなたのファンにして、願った結果をつかむことが、この「最強の自己紹介」の目的です。
それには、聴き手に「私はあなたに◎◎を提供できます」ということを、明確に伝えるのが大切です。つまり、「私に出会ったメリット」を、相手に感じてもらうのが必要なのです。

■自分に出会ったメリットを、相手に感じてもらう
■最強の自己紹介は、自分の最強の営業マンにも、最大の応援団にもなる

「この人に相談してみよう」
「何か、役に立つ情報を持っているかも」
「この人と話をしたら、楽しそう」
「趣味が合いそう」
など、自分に興味を持ってもらえれば、「つかみはOK」です。

この自己紹介を作り上げる過程では、悩む部分も必ず出てくると思います。でも、そこを克服して作り上げた自己紹介は、今後のあなたの最強の営業マンになるとともに、最大の応援団にもなります。

では早速、順を追って作り方を進めていきましょう。

最強の自己紹介を構成する「最強の骨組み」

この自己紹介の大きな特徴である、「骨組み」についてお話しします。

「話を組み立てる」「予算を組む」など、「組む」というのは、まとまりのあるものに作り上げることです。
私が最初に自己紹介の骨組みを示すのは、この骨組みを崩すと、せっかくの「最強の自己紹介」も全く価値を失うからです。

「最強の自己紹介」は、時間にすると30秒、文字数は200文字しかありません。
この、たった200文字の中に、「自分」と「他人」という異なる主体、そして「過去」「現在」「未来」という、3つの時間が織り込まれます。
ですから、骨組みが崩れると、ただの混乱した文章になってしまいます。
聴いている人は、何をいわれているのか、意味がわからなくなります。それどころか、自己紹介をしている人への信頼感が下がってしまう危険性も高まります。

では早速、「最強の骨格」を見てみましょう。

画像: 最強の自己紹介を構成する「最強の骨組み」

上の図をご覧ください。これが、最強の自己紹介を最も単純化した「骨組み」です。この骨組みに添って、自己紹介を作っていきます。

①と⑤に出てくる「冠言葉」は、私の造語です。定義としては、「自分が他人に与えることのできるメリットを短く表現し、王冠を頭に乗せるように、名前の前につける言葉」です。

■最初と最後に冠言葉がくる「双括型」で作る
■「過去」「現在」「未来」の順番で話す。以上の骨組みは変えてはいけない

最強の自己紹介は、基本的に、最初と最後に冠言葉がくる、「双括型」になります。
文章の構成には、最初に結論を伝える「頭括型」、最後に結論を伝える「尾括型」、そして、最初と最後に結論を伝える「双括型」があります。
双括型は、最初と最後に結論があるため、聴いている側も理解しやすく、迷いが生じません。そのうえ、伝えた言葉がくり返されるため、聴き手に印象を強く残すことができます。

②の「過去」では、過去の失敗、苦い経験、つらかったことを話します。相手に「共感」を持ってもらうのが目的です。
③の「現在」では、自分の「体験」を話します。②で得た経験の価値、これによって成長した点を話します。
④の「未来」では、②と③があったから生まれた、自分の得意なこと。つまり、相手に与えられる利点、メリットを話します。相手に何が「提供」できるのかを示すのです。

以上を、200文字でまとめ、30秒で話すのが、この「最強の自己紹介」。
くり返しになりますが、この骨組みは絶対に変えないでください。
順序を変えたり、異なる内容を入れたりしません。基本に忠実に添って進めることが大切です。ただし、冠言葉については、最初と最後のどちらかだけに入れる場合はあります。

では早速、この「最強の自己紹介」の最大の特長である、「冠言葉」についてお話ししたいと思います。

自分をひとことで伝える「冠言葉」を探せ

「冠」は、頭の上に乗せて、その人の立場を示しながら、権威や美しさを表現します。
王様も女王様も、大切な式典ではキラキラの冠を身につけます。この「冠」を、自分を表現するアイテムとして使うのが、最強の自己紹介の特徴です。

そして「冠」は、この言葉を話すたびに、怠けそうになる自分の背すじを、スッと伸ばしてくれる、自分のメンター(よき指導者、助言者)ともなってくれる言葉です。
これが、「冠言葉」です。

最強の自己紹介では、自分の名前にこの冠言葉を乗せることで、少ない文字数でその人の特徴を魅力的に、立体的に見せることができます。

画像: 自分をひとことで伝える「冠言葉」を探せ

では、ちょっと遊びも兼ねて、「冠言葉」を体験してみましょう。
表の右側に並んでいる名詞に、左側の「冠言葉」を乗せて、声を出して読んでみてください。

「幸運のメガネ」「幸運の黒猫」……「最強の彼氏」「最強の自己紹介」

いかがですか。冠言葉を変えると、次に続く名詞の意味合いとイメージが、変わってきますね。

このように、名前の上に乗せる冠言葉を吟味することで、少ない文字数で魅力を立体的に伝えることができます。
「あなたを強く印象づけるキャッチコピー」ともいえますが、通常のキャッチコピーと違うのは、「自分の背すじがピンと伸びる、少し重めの言葉を選ぶ」ということです。

例えば営業マンなら、
「No.1営業マンの+◎◎です」というよりも、
「ダントツトップの成績を更新し続ける明るい営業マン+◎◎です」のほうが、来期もNo.1でいるのが当然の前提となり、自分を励ます言葉にもなっています。
いっている本人は、少し肩の荷が重いかもしれませんが、自分のメンターでもあるのが冠言葉です。しっかり作りましょう。

■冠言葉は、相手が聴きたいことを考えて作る
■「自分の背すじが伸びる、少し重めの言葉」にする

では、あなただけの冠言葉の作り方を具体的に説明します。
「冠言葉」を作るポイントは2つあります。

1つめは、「自分はあなたの役に立つ」というメッセージを込めた、簡潔な言葉であること。
「ここでお客さんを捕まえよう」と頑張ると、つい力の入った、長い説明口調になりがちです。
大切なことは、自分がいいたいことではなく、相手が聴きたい言葉にすることです。
「この人といっしょにいると、何かいいことがあるかもしれない」と思ってもらえる言葉を選びましょう。

2つめは、前述のように「自分の背すじがピンと伸びる、少し重めの言葉」であることです。そのことで、冠言葉を口にするたびに冠言葉に励まされ、成長できます。

この冠言葉を作るには、あなたのこれまでの人生を棚卸しする必要があります。おなかにあるものを、いいことも悪いことも全て吐き出し、相手に与えるメリット、この人に会えてよかったと思ってもらえるように作ります。

過去の失敗こそがあなたの人生の宝になる

「冠言葉」は、あなたの人生をギュッと凝縮した、ダイヤモンドのような輝きを持つメッセージです。
あなたの「冠言葉」が決まったら、この「最強の自己紹介」は完成したようなものです。
なかなか思いつかなかったり、ピンと来なかったりと、苦しい作業ですが、「冠言葉」は一生の宝となります。ここで、ダイヤモンドの原石をいっしょに探し出しましょう。
ここでは、私の個別コンサルティングと同じ手順で、冠言葉を探し出す方法をお伝えします。

あなたが、これまで他人に「評価」された言葉を思い出してみましょう。
ここでいう「評価」は、いいことも悪いことも含みます。それを「自分のバランスシート」に記入してみてください。
「バランスシート」の本来の意味とは違いますが、「いいことと悪いことのバランスを取る」という考え方をわかりやすく表現するため、こういう呼び方にしています。

画像1: 過去の失敗こそがあなたの人生の宝になる

上の表は、その記入例です。マイナスと書かれている欄には悪い評価を、プラスと書かれている欄にはよい評価を、それぞれ書き出します。
そして、それぞれの評価の反対側には、その逆の言葉を想像して書き込みます。

いかがでしょう。人にいいと評価されたことも、裏返せば自分の弱点ともなりうることに気がついたかたもいると思います。自分が得意だと思っていることも、ほかの人から見ると逆の評価だったりします。これは、すべてのことには表裏がある、ということの証です。

■他人からいわれた「評価」を「自分のバランスシート」に記入しよう
■「マイナス」部分には過去の失敗、「プラス」部分にはダイヤモンドの原石がある

では、次に、この評価表の右側、「マイナス言葉」の部分を1つひとつ確認しましょう。

①この言葉をいわれたのは、どんな場面だったでしょう。
仕事場で、学校で、家庭で。何があったときに、誰からいわれた言葉だったでしょうか。苦い思い出ですから、少し嫌な気分になるかもしれませんが、頑張って思い出してみてください。

②次に、その嫌な思い出を箇条書きで書き出します。どんな場面で、誰に、なんといわれたのか。それを得てどんなふうに思ったのか。1つずつ丁寧に思い返して、記入してください。

③さて、ここに書いた箇条書きを、もう一度読み返してみてください。先ほどのバランスシートの左側の「プラス」を眺めてみます。
失敗をして、叱られたり凹んだりした後、もう二度とそんな思いはしたくないと、あなたがどんな教訓を手に入れたか、左側の「プラス言葉」の中に隠れていないか、探し出してみてください。

たいていの場合、「マイナス」部分には、過去の失敗があります。
そして、「プラス」の部分には、それによって得られた教訓が隠れています。
この、「失敗」から得られた「教訓」が、自分の人生で得た、あなただけの宝なのです。そしてこの「教訓」こそが、自分と同じように苦しんでいる誰かの、何かの役に立つ、人生のダイヤモンドの原石なのです。

「成績や数字ばかりを追いかける」営業マンだった自分が、「チームワークを重視する」営業部長となったのは、どんなことがあったからなのか。
ここから先は、ダイヤモンドの原石を研磨して、最高級の輝きを誇る宝石に磨き上げるために、何があったのかを深掘りしていきます。

画像2: 過去の失敗こそがあなたの人生の宝になる

自分のバランスシートから「冠言葉」の原石を抜き出そう

ご紹介した「自分のバランスシート」で、自分の思い出したくもない嫌な過去の失敗を、目を覆うのではなく、自分の目でしっかり見つめます。
そして、嫌な失敗が、その後に教訓として生かされていたことを確認します。これこそが、自分が成長した部分です。

「最悪の失敗」が「人生の教訓」へと昇華した、誇らしい「人生の実績」です。このことが、誰かを手助けすることになるのだったら、こんなに素敵なことはありません。

では、「成績や数字ばかりを追いかける」営業マンだったかたを例に、さらに作業を続けていきましょう。
そのかたのポリシーは、
「仕事は数字だけが結果。期待した以上の結果が出なければ、どんな努力をしてもただのいい訳だ」
という厳しいものでした。彼は自らにも厳しいノルマを課し、チーム全体をけん引するのが自分の仕事だと信じていました。

しかし、そんな彼の剛腕に嫌気がさして、会社を辞めたり、ほかの部署に異動願いを出したりする人が相次ぎました。
「弱いやつは、チームには不要だ」といっていた矢先、最後まで彼を支えていた腹心の部下までもが、「もうついていけません」と去っていきました。

茫然自失の彼に声をかけたのが、かつての上司でした。
「人には個性がある。その個性を見きわめて人材を活かし、活躍しやすい環境を作り、最後の責任を取るのが、チームリーダーの仕事である」
といわれました。
そして「人は、1人では何も成し遂げられない」
と諭されたのです。

彼はその後、去っていったメンバー1人ひとりに頭を下げて、自分の間違いを謝罪すると同時に、相手に改善してほしい点を話して回りました。
けっきょく、戻ったメンバーは以前の半数以下ではありましたが、彼は、メンバーの個性を活かした配置に心をつくし、自分はチーム力を高めることに専心しました。
その結果、以前よりもチームの成績が向上したのです。

メンバー全員が去ったことで彼が学んだのは、「俯瞰の視点」でした。
苦しいとき、急を要するときほど、同じ目線を捨て、一歩高いところから、「面」と「点」の両方を同時に見ることが大切だ、ということです。

結果の出ないメンバーがいたなら、個人を責めるのではなく、その人と同じ視点に立ち、問題の本質に向き合いながら、チーム全体を通して行き詰っている問題解決のアイテムを探す。
そのために必要なことが、問題山積の現場そのものと、現場の上空から見た「俯瞰の視点」なのだ、ということです。

聞いたことがあるような話ですが、これは実話です。

■過去の失敗から得た教訓を、100文字程度に客観的にまとめる
■その中に、「冠言葉」の原石がある

さて、このなかから、「冠言葉」の原石を見つけましょう。
そのためには、まず、この話を誰にもあてはまるように、個性的な部分を消しながら、100文字程度にまとめます。
この場合は、次のようになります。

「数字だけを評価対象とした厳格な上司が、部下全員に立ち去られて得た教訓は、『大切なのは追い詰めることではなく、適材適所で部下の魅力を発掘し、伸び伸びと力を発揮させ、問題があれはチームで解決する風通しのよさが、最高の結果を生む』ことだった」
この手法は、自分の人生で自分が経験したことを、相手にも「自分ごと」として受け入れてもらうために有効なテクニックです。
ドラマや映画の導入部分で、視聴者の理解を一気に深め、視聴率を獲得するために使う手法でもあります。

ここまでのストーリーを読んで、皆さんは、彼に「どんなことをしてもらえそうだ」と思いましたか?
自分が、今この人の部下だとしたら、どんなことに期待するでしょう。

彼は、もともと、ものすごく仕事のできる人です。数字を上げることがすべてだといい切るほどの結果を出していました。
でも、今は「適材適所」「問題があればチームで解決」といっている。
彼のチームに入っていたら、自分で気づかない自分の能力を見抜き、抜擢して育ててくれそうな気がしてきませんか? しかも、彼のチームにいると、失敗してもチーム力で解決に向かってくれる。
なんとも心強いことでしょう。

これまで自分では気づかなかった、自分の魅力を発掘し、伸び伸びと育ててくれる。
「冠言葉」の原石に気づきましたでしょうか。

「能力を見抜き」
「魅力を発掘し」
「育ててくれる」
「チーム力で解決」

魅力的な言葉が並びましたね。

これが「冠言葉」の原石です。

誰かの役に立ち、自分の背すじをもピンと伸ばすのが「冠言葉」の役割です。

この原石のなかで、彼を象徴しているのは「能力を見抜き」「魅力を発掘し」です。
彼は、「誰かの未開発の魅力を引き出すのが得意」なのです。

さて、ここから「原石を磨く」作業へと進みます。
もう少し、あと一歩です。次に進みましょう。

「冠言葉」の原石を磨いて完成させよう

「冠言葉」作りも、大詰めです。
ここまでで、掘り出した言葉を、並べてみましょう。

「能力を見抜き」
「魅力を発掘し」

この言葉を「冠言葉」に仕立て上げるには、「冠言葉+名前」で呼んだときに、あなたの特徴を表現するものになっていることがポイントです(ここからは、イメージをしやすいように、この営業マンを「木村正広(仮名)」と呼ぶことにします)。

このまま並べて、

「能力を見抜き/魅力を発掘し+木村正広です」
では、言葉がつながっていません。

「能力を見抜く+木村正広です」
では、見透かされるようで、少し怖い印象があります。

それなら、

「あなたの魅力を発掘する木村正広です」
のほうが、いいことがありそうな気がしますね。

■「冠言葉+名前」にしたときに、つながりをよくする
■冠言葉にかつての自分の失敗が含まれていると、自己紹介全体に波及させられる

では、この言葉をさらに磨き込んでみます。
このかたは、自分の失敗から、他人の魅力を見つけることを学びました。
聴いている側からすると、自分を大切にしてくれそうで、安心できます。そこで、「発掘」を「見出す」に置き換えてみてください。

「失敗から魅力を見出す木村正広です!」

この「失敗」には、かつての自分の失敗談も含まれます。
ですので、この言葉は、自己紹介文全体に波及できます。また、「他人の魅力を見出す」という言葉には、自分を律する、「背すじをピンと伸ばす」メンターとしての意味も含まれています。

冠言葉をもうひと磨きしてインパクトを与えるコツ

最強の自己紹介を作り上げる際に、文字数にゆとりがあるなら、冒頭に、「相手を圧倒的に肯定するメッセージ」をキャッチコピー的に挿入すると、いっそうインパクトがあります。

木村正広さんの例でいうと、次のようなものです。

「誰もがダイヤモンド! 失敗から魅力を見出す木村正広です!」

「誰もが」は、自己紹介を聴いている人、1人ひとりを指します。

次の「ダイヤモンド」で、一瞬で好印象が生まれます。
「あなたはダイヤモンドだ」といわれて、気分の悪くなる人はいないでしょう。

彼はダイヤモンドの原石である魅力を発掘し、それを、仕事を通して磨く立場にある人です。

そのイメージを浮き上がらせ、冒頭から聴く人の心を捉える冠言葉になりました。

■文字数に余裕があるなら、冠言葉の前にキャッチコピーを加える方法もある
■冒頭から、一瞬で好印象を生む効果が期待できる

「未来」から逆算して「過去」を選んで構成する

では、ここで木村正広さんの自己紹介を、全体として200文字程度で組み立ててみましょう。骨組みを説明します。

最強の自己紹介は、

①冠言葉
②過去(共感)
③現在(体験)
④未来(提供)
⑤冠言葉
で構成されます。

②の「過去」では、過去の失敗、苦い経験、つらかったことを話します。相手に「共感」を持ってもらうのが目的です。
③の「現在」では、自分の「体験」を話します。そこで得たもの、成長した点を話すわけです。
④の「未来」では、だからこそ、自分が相手に与えることができる利点、メリットを話します。相手に何が「提供」できるかを示します。

■「未来」に、人に「提供」できることから、「過去」の体験を選ぶ
■「失敗した過去」から選ぶから、「共感」を呼びやすい

通常、最強の自己紹介は、④の「未来」から逆算して作ります。自己紹介はビジネスにつなげるなど、具体的な「成果」を上げることが最終目標だからです。
ですから、ここで、自分は、あなたに、こういうメリットを「提供」できることを示す必要があります。 
そして、あなたに「提供」できるようになったのは、自分の「過去」に、苦い経験があった(「共感」を得るような失敗)から。

そのおかげで、自分が成長し、「現在」は、これができるようになった(成長体験)。
これが、この本でご紹介する自己紹介の「最強の骨組み」です。論理に添って作り上げることで説得力を増しながらも、出発点が「過去の苦い経験」なので、いやらしさを感じたり、鼻についたりしないのです。

画像: 「未来」から逆算して「過去」を選んで構成する

では、これを踏まえて、木村正広さんの自己紹介を完成させましょう。

このかたの場合、「失敗から魅力を見出す」という冠言葉と、「誰もがダイヤモンド」というキャッチコピーは既に決めました。
そこで、「未来」に「提供」できるのは、「人の魅力を見つける」ことと、それを「磨き上げる」ことにしました。これは、「ダイヤモンドの原石を見つけ、磨き上げる」というニュアンスも表しています。

それには、「人の魅力を見つけられずに、部下に去られた」という、「過去」の苦い過去がありました。さらに、先輩の上司から、耳に痛い言葉ももらいました。
「現在」の部分では、その失敗体験を乗り越えた、つまり成長したことについて、感謝の言葉を述べています。

以上のことをまとめて、テンプレートに当てはめて、自己紹介を完成させましょう。

テンプレートに当てはめて完成させよう

以上のことを踏まえ、自己紹介を完成させます。ここで厳守していただくのが、

①冠言葉+名前→②過去→③現在→④未来→⑤冠言葉+名前

の「最強の骨組み」です。この順番を入れ替えてはいけません。

目安として、①⑤の「冠言葉+名前」をあわせて50文字程度、②~④をあわせて150文字程度、合計で200文字程度でまとめます。大体、180~220文字に収めましょう。

■「最強の骨組み」は厳守する
■②の過去の失敗は、「引き算」の効果を狙う場所

こうして完成したのが、次の自己紹介です。
【①冠言葉】誰もがダイヤモンド! 失敗から魅力を見出す木村正広です。

【②過去】かつて私は、数字しか評価しない上司でした。そんな私に愛想を尽かし、部下全員に去られた際、先輩から、魅力を見出し力を発揮できる環境を作るのが上司の仕事だと諭されました。

【③現在】私が、売り上げトップのチームリーダーでいられるのは、あのとき本気で総スカンしてくれた部下と、本気で叱ってくれた上司のおかげです。

【④未来】今は、人の魅力を見つけ、磨き上げるのが得意になりました。

【⑤冠言葉】あなたもダイヤモンド! 木村正広です」(220文字)

画像: テンプレートに当てはめて完成させよう

こんな自己紹介をされたら、この人が自分の上司でなくとも、何かあったら相談してみたくなります。自分では気づかない魅力を見出し、育ててくれる上司に出会うと、失敗を恐れず、伸び伸びと仕事に取り組めそうです。

このかたの場合、⑤では冠言葉は省略しています。
字数をへらすという意味もありますが、「あなたもダイヤモンド!」と、キャッチコピーを入れたので、冠言葉までくり返すと、くどく感じられるためでもあります。

全体の「最強の骨組み」は厳守していただきますが、細部の調整は行っていただいてもけっこうです。

なお、高学歴・高身長・高収入など、スペックの高すぎる人には、②の過去の失敗は、引き算としての効果を狙う場所でもあります。

学歴や社会的立場が高い人ほど、この部分はよく検討されるべきです。意外な苦労話を入れ込むと、一気にファンができやすくなるのは間違いありません。
テレビで、お笑いタレントが苦労話をネタにすることがあります。
これは、「お笑いタレント」なのに「苦労」しているところから、視聴者に「共感」してもらい、親しみやすさを感じてもらうためです。

まとめ

私は、この方法をお伝えすることで、1人でも多くのかたが、持っている魅力を引き出し、磨き上げ、初対面の人に伝えてほしいと思います。
そうすることで、「あなたに会えてよかった」と喜ばれながら、ビジネスや就活、そして婚活や合コンで、願った以上の結果を獲得して、たくさんのファンを作り、輝かしいステージに進んでいただきたいと、心から願っています。

画像: まとめ

この原稿は書籍『最強の自己紹介 (たった30秒で人の心をつかむ)』から一部を抜粋・加筆して掲載しています。

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