【麹納豆】医師がすすめる納豆の食べ方 腸内環境を改善し、動脈硬化や肌の老化を抑制する

美容・ヘルスケア

最近「善玉菌も悪玉菌も、腸内細菌全体の20%以上にはならない」ということが明らかになってきました。善玉菌ばかり大量に摂取しても、20%以上は増えないのですから無駄になります。そこで注目したいのが「納豆とこうじを組み合わせる」というアイデアです。【解説】藤田紘一郎(東京医科歯科大学名誉教授)

解説者のプロフィール

藤田紘一郎(ふじた・こういちろう)
1939年中国・満州生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。東京大学医学系大学院博士課程修了。医学博士。金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学大学院教授を経て、現在、東京医科歯科大学名誉教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。日米医学協力会議のメンバーとして、マラリア、フィラリアなどの免疫研究のかたわら「寄生虫体内のアレルゲンの発見」「ATLウイルスの伝染経路の発見」など多くの業績をあげる。1995年『笑うカイチュウ』(講談社)で講談社出版文化賞を受賞。『9割の女性の悩みをスルリと治す腸習慣』(青萠堂)など、著書多数。

腸の健康度を決めるのは実は日和見菌だった

納豆には「土壌菌」が豊富に含まれています。

土壌菌とは、私たちの身近にある雑多な菌のことです。納豆は、「土壌菌の塊」といってもいいほど、それがたっぷり含まれている食品なのです。

土壌菌が腸に入ると、「善玉菌」でも「悪玉菌」でもなく、「日和見菌」と呼ばれる性質を持ちます。

日和見菌は、腸内で善玉菌が優位(数や活性が優勢であること)なときは善玉菌として働き、悪玉菌が優位なときは悪玉菌として働く菌です。

「善玉菌でないなら、大したことないのだろう」と思うかもしれませんが、それは大間違いです。この日和見菌、つまり土壌菌のとり方こそが、健康のために重要なのです。

私は、土壌菌の重要性を昔から主張してきましたが、最近、ようやく学問的にもそのことが明らかになってきました。その一つが、「善玉菌も悪玉菌も、腸内細菌全体の20%以上にはならない」ということです。

これまで、「善玉菌をどんどん摂取して、腸内で増やすことが大切」といわれてきました。しかし、善玉菌ばかり大量に摂取しても、20%以上は増えないのですから、無駄になります。

ですから、善玉菌をある程度優位にした後、腸内細菌の半分以上を占める日和見菌を、しっかりとることが大切になってくるのです。

免疫学の立場からいうと、土壌菌は、免疫力(病気に対する抵抗力)を高めて、カゼなどの感染症にかかりにくくしたり、アレルギー症状などを軽減したりするためにも重要です。その土壌菌をとるのに、納豆はたいへん優れた食材です。

ただし、そうした目的で納豆をとるさい、重要な注意点があります。それは、「腸内の善玉菌が優位な状態で摂取する」ということです。

日和見菌である土壌菌は、もし悪玉菌が優位であれば、そちらになびいてしまうからです。健康に役立てるつもりでとった納豆の菌が、味方ではなく敵方につく、という大誤算が生まれてしまうのです。

納豆単独よりも腸を健康にする

そこで注目したいのが、「納豆とこうじを組み合わせる」というアイデアです。

日和見菌が豊富な納豆と、善玉菌を多く含むこうじを一緒にとれば、善玉菌を優位にしながら、日和見菌をたっぷり摂取できます。

その意味で、今回、紹介されている「こうじ納豆」は、理想的な組み合わせです。こうじのほかにも、同じく善玉菌を含む甘酒や、善玉菌のエサになる海藻類も加えてあるので、さらによいでしょう。

実は私も、こうじを使って大豆を乳酸菌発酵させ、抽出したエキスから健康食品を開発中です。このエキスは、高い健康効果を持つことがわかっています。素材が共通であるこうじ納豆は、その家庭版ともいえるでしょう。

もちろん、大豆そのものの効果も見逃せません。大豆には、良質なたんぱく質や、優れた抗酸化作用を持つサポニン、アンチエイジング効果を持つポリアミン、食物繊維、ビタミンB群など、多くの重要な栄養素が含まれています。

大豆を発酵させると、これらが吸収されやすくなり、さらに効果が高まります。また、大豆を発酵させることで、乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌自体も増えます。

さらに重要なのが、大豆に豊富なイソフラボンです。

よく知られるとおり、イソフラボンは女性ホルモン様の作用を持っています。そのため、女性の肌をきれいにしたり、更年期以降の女性の骨を丈夫にしたり、動脈硬化を抑制したりという効果を発揮します。

しかし、最近の研究では、その作用を活用できる人とできない人がいることがわかっています。イソフラボンの仲間であるダイゼインが、エクオールという物質に変わると、女性ホルモン様作用を発揮しますが、体質により、エクオールを作れる人と作れない人がいるのです。

ところが、大豆を発酵させると、食品の中で分解されてエクオールができるので、体内で作れない人でも、その恩恵に預かれます。こうじ納豆として、納豆の発酵を進めると、この効果はいっそう高まるでしょう。

もともとエクオールを作れる人でも、こうじ納豆で分解を進めると、イソフラボンの吸収が高まると考えられます。ですから、こうじ納豆は、大豆や納豆以上に、特に女性にはうれしい効果のある食品といえるでしょう。

絶妙の組み合わせが生んだ手作り発酵食品であるこうじ納豆を、健康づくりにとり入れてみてはいかがでしょうか。

この記事は『安心』2019年5月号に掲載されています。

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