肥満は、生活習慣病だけではなくアレルギー疾患にとっても大敵です。アレルギーは肥満とともに悪化する傾向があり、なかなか治りません。慢性炎症を悪化させるためです。キャベツダイエットは、続けさえすれば必ず成功します。【解説】寺師義典(寺師医院院長)
解説者のプロフィール
寺師義典(てらし・よしのり)
寺師医院院長。日本アレルギー学会専門医。日本呼吸器学会専門医。地域の人々の健康を守る拠点として、丁寧で幅広い診療を行っている。通常の治療に加えて、自身の体験から、生活習慣病やメタボリック症候群の患者に対し、食事療法などの指導も行っている。
▼寺師医院
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ウエストも細くなり血糖値も改善
最近、キャベツをサッと湯通ししてから食べる「湯通しキャベツ」が流行しているようです。このひと手間を加えることでグンと食べやすくなるため、高齢者にもお勧めできる食べ方だと思います。
私にとってキャベツは、「医者の不養生」を改善させた救世主です。私は12年前に、食前にキャベツを食べる「キャベツダイエット」を実践し、3ヵ月で20kgの減量に成功しました。
当時の私は、身長169cmで体重は90kg。おなか周りは97cm近くあり、メタボ体形そのものでした。さらに、医師でありながら、中性脂肪値や血糖値が高めで、睡眠時無呼吸症候群の予備軍でもあったのです。
患者さんに健康指導する立場の医者がこんな状態では、全く説得力がありません。そこで、私は一大決心し、当時、ある糖尿病専門医が提唱していたキャベツダイエットを開始しました。
昼食と夕食の最初に、生キャベツを6分の1〜4分の1玉分食べてから、おかず、ご飯の順に食べます。キャベツには、ノンオイルのドレッシングをかけました。
先にキャベツを食べておなかを満たすことで、おかずやご飯の量を減らせます。キャベツ6分の1〜4分の1玉は、満腹感を得るためにも、適量だと思います。
すると、最初の1ヵ月で一気に10kgやせ、2ヵ月で6kg、3ヵ月で4kgと、まさに、みるみるうちに減量したのです。
ウエストは17cm縮小し、血液検査の数値も全部、基準値内に収まりました。睡眠時無呼吸症候群の症状も消えて、朝までぐっすり眠れるようになりました。さらに、激やせしたにもかかわらず、肌はツヤツヤで、シワもたるみも出ませんでした。
それ以来、私はキャベツダイエットを患者さんに積極的に勧めるようになったのです。
患者さんのダイエットに役立っている
しかし、勧めた患者さんから、少なからぬ不評の声が出ました。「歯が悪いので生だとよく噛めない」「冬だとたくさん食べられない」「生は青臭い」などが代表的なものです。
そこで、私は、キャベツを加熱してとるように勧めました。
ゆでるとキャベツがやわらかくなり、歯の悪い人でも楽に食べられます。味も生キャベツの青臭さが消え、甘みが出ます。生よりずっと食べやすく、おいしくなるのです。実際、私自身も、ダイエット中は、ゆでたキャベツも食べるようにしました。
ただし、加熱すると、熱に弱いビタミンCやキャベジン(ビタミンU)、酵素などが減ってしまいます。しかし、熱に強い食物繊維やファイトケミカル(植物が作り出す、強力な抗酸化作用を持った天然の機能性成分)は、壊れることはありません。
各種ビタミンや酵素の減少が気になるという人にお勧めなのが、キャベツを湯通しして食べる方法です。
ざく切りやせん切りにしたキャベツにお湯をサッとかければ、長くゆでるよりも各種ビタミンや酵素が残り、ほどよくやわらかくなって食べやすく、手間もかかりません。
キャベツダイエットのよさは、食事の最初にキャベツをたっぷり食べるので、空腹を感じずに続けられることです。
最初にキャベツをとることで、あとからとる糖質の吸収が緩やかになり、血糖値の急激な上昇を抑えられます。この急上昇は脂肪の燃焼を妨げ、肥満や糖尿病の悪化につながります。
肥満は、生活習慣病だけではなく、私の専門であるアレルギー疾患にとっても大敵です。
アレルギーは、肥満とともに悪化する傾向があり、なかなか治りません。
例えば、現在、ぜんそくの治療は非常に進歩していて、きちんと治療すれば、ほとんどの人がよくなります。
ところが、肥満の人は、治りが悪い傾向にあります。これは、肥満が、アレルギーやぜんそくの温床である慢性炎症を悪化させるためです。ですから、アレルギーの予防・改善のためにも、私はダイエットを勧めています。
ちなみに、私は最近、キャベツをレンジでも温めて食べるようになりました。私は汁物が好きなので、温めたキャベツを手でほぐし、インスタントのスープなどに入れて、午前と午後の診察の合間によく食べています。
キャベツダイエットは、続けさえすれば、必ず成功します。私の患者さんでも、キャベツを積極的に食べて、3~4kgやせたという人が続出中です。
ただし、飽きずに続けられるかどうかが課題です。
やせた人は皆さん、飽きないよう、キャベツの食べ方を工夫しています。湯通ししたりゆでたり、みそ汁やスープに加えたり、ノンオイルのドレッシングやポン酢、塩コンブを使ったりするなど、食べやすく、飽きない方法を見つけて、続けてほしいと思います。