【疲労回復に】そのまま食べる「梅麹」のレシピ 甘さが苦手な方・多く摂取したい方におすすの食べ方

美容・ヘルスケア

梅の実を燻製にした「烏梅」は古来、漢方薬として重宝されてきました。梅を使った民間療法もたくさんあるように梅干しは薬効高い伝統保存食です。こうじは、酵素の力で食べ物をやわらかく、おいしくしてくれ、菌の力で腸内環境を改善するので健康効果も大いに期待でき、一石二鳥です。【解説】井澤由美子(料理家・国際中医薬膳師・国際中医師)

解説者のプロフィール

井澤由美子(いざわ・ゆみこ)
料理家。国際中医薬膳師。国際中医師。調理師。NHKカルチャー薬膳講師。NHK『きょうの料理』『あさイチ』『趣味どきっ!』などのテレビ番組ほか、企業、CM、商品開発、雑誌、カタログ、イベント、書籍、発酵レストランなどのプロデュースを手がける。旬の食材の効能と素材の味を生かした料理が人気。著書多数。

ありそうでなかった日本人好みの組み合わせ

私が調味料として提案する「梅こうじ」は、梅干しと甘酒を合わせたペーストです(作り方は別記事参照)。

梅干しも、甘酒も優れた健康効果があり、古くから日本人に愛好されてきました。しかし、この二つを組み合わせた調味料は、これまでに、ありそうでなかった物です。

私は国際中医薬膳師・中医師の資格を持っていますが、梅の実を燻製にした「烏梅(うばい)」は、古来、漢方薬として重宝されてきました。梅を使った民間療法もたくさんあるように、梅干しは薬効高い伝統保存食です。

一方、甘酒は、こうじを利用した発酵食です。和食に欠かせない、みそやしょうゆ、みりんや酢なども、こうじの存在なくしては作れません。

こうじは、酵素の力で食べ物をやわらかく、おいしくしてくれます。それだけではありません。菌の力で、腸内環境を改善するので健康効果も大いに期待でき、一石二鳥です。

私はこれまでも、発酵の力を利用した手作り健康食を、数多く提案してきました。中医学と発酵食は、私のライフワークなのです。

そんな私が、梅こうじを考案したのは、島根県の発酵食レストランをプロデュースしたことがきっかけでした。

レストランでは、私の考案したさまざまな発酵食メニューを提供しています。地元の食材を使ったレシピを考案するため、農家のかたがたと交わるなかで農作業の苦労を知り、皆さんの疲れを癒すレシピを作りたいと考えました。

見回してみれば、島根は西日本を代表する米どころ。梅もたくさん収穫できるといいます。

そこで、梅と甘酒を組み合わせた調味料はどうかと試作を重ねた末、完成したのが梅こうじです。これが大好評で、のちに地元の蔵元さんから商品化もされました。

便秘や下痢を改善!夏場の食欲も増進!

昔ながらの方法で作った梅干しは、保存性を高めるため塩分が多く、しょっぱ過ぎるきらいがあります。強い酸味が苦手な人もいるでしょう。

一方、こうじから手作りした甘酒は、「そのまま飲むには甘過ぎる」と、牛乳や豆乳で割って飲む人もいるようです。

そこでぜひ、試していただきたいのが、梅こうじです。

梅干しのしょっぱさと酸味が、甘酒の甘さでほどよく中和され、絶妙なおいしさが生まれます。慣れてきたら、甘酒の分量を増減することで、お好みの味に調整することも可能です。

甘酒は、作り方を紹介していますが、めんどうなら市販品を使ってもかまいません。

つけだれや、かけだれ、和え衣、ドレッシングは、定番の使い方です。肉や魚の漬け床にすれば、ふっくらやわらかく仕上がるうえ、味が決まるので、おもてなしにも向く一品が完成します。

どんな食材にも合いますが、白い食材緑の食材とは、特に相性がいいようです。例えば、肉なら、牛肉よりは鶏肉。白身魚もお勧めです。卵や、豆腐にもよく合います。

緑は、野菜類なら何でもお勧めです。ゆでた青菜やキャベツなどを少量の梅こうじで和えるだけで、さわやかな酸味が素材の味を引き立ててくれます。

また、炭酸水で割れば、淡いピンク色が美しい梅こうじソーダの出来上がり。梅風味の甘酸っぱさが、元気をチャージしてくれます。適度な塩分は、夏場の熱中症予防にも最適です。

梅こうじは、中医学的には、疲労回復に加え、便秘や下痢の改善食欲増進などの効能があります。その風味からも、健康効果も、暑くなる時季にピッタリなのです。

梅干しとこうじを発酵させる「梅こうじ」の作り方

最後に、そのまま食べるタイプの梅こうじも、紹介しましょう。こちらは、出来上がった甘酒を梅干しと混ぜるのではなく、こうじを梅干しといっしょに発酵させます。

梅干しがこうじの糖化を抑えるため、それほど甘くなりません。味は、梅風味のおかゆに近いでしょう。調味料使いでなく量をとりたい人に向いています。こちらもぜひ一度、お試しください。

【材料】
梅干し…3〜5個 米こうじ(乾)…200g 50度のお湯…700ml

【作り方】
材料をすべて炊飯器の内釜に入れ、ひと混ぜする。
炊飯器のふたを開けたままふきんをかけ、保温モードにして8時間ほど保つ。

【食べ方と保存】
そのまま食べる。1日の目安量はコップに半分程度。
冷蔵で保存し、10日ほどで食べ切る。冷凍なら2ヵ月ほど日持ちする。解凍する場合は自然解凍する。

この記事は『壮快』2019年7月号に掲載されています。

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