お尻のコリが原因の【坐骨神経痛】の見分け方と自宅でできる対処法

美容・ヘルスケア

座骨神経痛を引き起こす原因に、気づかれにくく、現代人に多いタイプがあります。股関節を外に回したり、座って足を開くときなどに主に使う梨状筋という筋肉。ここがこわばっていると座骨神経を圧迫してしまいます。その結果お尻から足にかけて、痛みやしびれなどが生じてきます。【解説】古賀直樹(中野坂上治療院代表)

解説者のプロフィール

古賀直樹(こが・なおき)
中野坂上治療院代表。鍼灸師、整体師。雑誌やテレビなど、メディア出演多数。近著に『はたらく女子のオフィスで「カベ」ストレッチ』(雷鳥社)がある。

ずっと座りっぱなしの人は要注意!

座骨神経痛というと、そういう病気があると考えるかたが多いかもしれません。

しかし実際は、違います。主に、お尻の辺りから太ももの裏側、足の先にかけて現れる鋭い痛みやしびれなどの症状を指します

座骨神経は、腰椎から出た神経と、仙骨から出た神経が合わさって束になり、太ももの裏側、ふくらはぎなど体の後ろ側を通って足底まで伸びています。

座骨神経痛を引き起こす原因はさまざまです。そのなかでも、気づかれにくく、かつ、現代人に多いタイプがあります。

それは、長時間座りっぱなしのかたに多く見られます。なかでも、仕事で一日中パソコンに向かって、デスクワークを続けているかたなどは特に注意が必要です。

長時間座り続けると、お尻の筋肉が緊張します。特にこわばりやすいのは、股関節を外に回したり、座って足を開くときなどに主に使う梨状筋という筋肉です(上図参照)。この梨状筋の下を、座骨神経が通っているのです。

ずっと座りっぱなしで、梨状筋がこわばっていると、梨状筋が座骨神経を圧迫してしまいます。その結果、お尻から足にかけて、痛みやしびれなどが生じてくるわけです。

実際に、梨状筋のある辺りを少し強く押してみてください。ご家族などに押してもらってもかまいません。押されたときに痛いと感じたら、梨状筋がこわばっている可能性が高いといえます。

お尻が上がって太ももが引き締まる!

梨状筋の緊張によって座骨神経痛が起こっている場合、その緊張を緩めると、症状を和らげることができます。

私が実際にお勧めして、効果を上げている方法があります。それが、今回ご紹介する「ひざたたみ体操」です。

やり方をご参照ください。ひざを倒す動きによって、梨状筋が緊張します。そして、足を戻したときに、その緊張が緩んで、梨状筋のこわばりがほぐれるのです。

「ひざたたみ体操」のやり方

※(1)~(3)を1セットとし、左右それぞれ5セット行う
※1日3回朝昼夜に行うのが理想

床に座って、両手を後ろにつき、両足を肩幅より開いて、ひざを曲げる。

右足のかかとを左ひざにひっかけるようにして置く。

左ひざを内側に倒し、倒し切ったところで、3回深呼吸を行い、足を戻す。

ポイントは、梨状筋の伸びを意識することです。ひざの角度は、最もお尻が引っ張られて、痛気持ちよくなるようにしましょう。

ひざたたみ体操は、体の負担になるものではありません。ですから、実際に足などに痛みやしびれが出ているときでも、行って大丈夫です。

ただ、実際に体操してみて、痛みやしびれが増す場合は、体操を中断しましょう

また、この体操を行って、症状が変わらないかたは、椎間板ヘルニアなど、梨状筋以外の原因を疑ったほうがいいでしょう。

座骨神経痛の原因は一つではありません。特に、まだ病院で検査を受けていないかたは、そこをハッキリさせる必要があります。

ちなみに、ひざたたみ体操は、ヒップアップ効果や、太ももの引き締め効果も期待できます。お尻のたるみや、太ももの太さが気になるかたは、毎日続けると、シェイプアップにも役立つはずです。

特に心当たりがないのに、お尻から足にかけて痛みやしびれが続いている場合、それは、長時間に及ぶ座り姿勢のせいかもしれないのです。

そうしたかたは、一度ひざたたみ体操を試してみてはいかがでしょうか。痛みの改善に期待が持てます。

この記事は『壮快』2019年7月号に掲載されています。

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