サバには、ダイエット効果をもつ「GLP‐1」というホルモンの分泌を促す成分が、たっぷり含まれているのです。GLP‐1には、高血糖や高血圧の改善作用、動脈硬化の抑制作用などがあります。そのため、糖尿病の治療薬としても使われています。【解説】小田原雅人(東京医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

小田原雅人(おだわら・まさと)

東京医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授。1980年東京大学医学部医学科卒業。96年に英国オックスフォード大学医学部に講師として赴任。2004年東京医科大学内科学第三講座主任教授。東京医科大学病院副病院長を経て、14年より現職。

サバのもつダイエット効果に注目

私たち日本人にとって、身近な魚である「サバ」。そのサバが、肥満の予防・解消に役立つことをご存じでしょうか。

実は、サバには、ダイエット効果をもつ「GLP‐1」というホルモンの分泌を促す成分が、たっぷり含まれているのです。

GLP‐1はすばらしいホルモンで、高血糖や高血圧の改善作用、動脈硬化の抑制作用などがあります。そのため、糖尿病の治療薬としても使われています。そのうえ、すぐれたダイエット効果を発揮するのです。

その理由は、主に三つあります。

①血糖降下作用
血糖値が上がると、体は余った糖を脂肪として蓄えようとします。GLP‐1は、血糖値を下げるインスリンの分泌を高め、同時に血糖値を上げるグルカゴンという物質の分泌を抑えて、二重に血糖値の上昇を防ぎます。これにより、余分な体脂肪の増加を防いでくれます。

②脳の食欲中枢に働きかけ、過剰な食欲を抑制
実際には十分に食べていても、食欲中枢への伝達がうまくいかないと、満腹感を感じないでどんどん食べてしまいます。GLP‐1は、正常に満腹感を覚えるようにして、過食やドカ食いを防ぐのです。

③食物が胃から小腸に送られるスピードを遅くする
栄養素を吸収する小腸に、急速に食物が送られると、血糖値が急上昇して太りやすくなります。GLP‐1は、そのスピードを遅くすることによっても、ダイエット効果をもたらすのです。

世界中で注目されるDHAとEPA

このように、多彩なメカニズムで肥満の解消に役立つGLP‐1は、「やせホルモン」とも呼ばれます。欧米では、GLP‐1が肥満の治療薬(注射薬)としても活用されています。

しかし、薬を使わなくても、やせホルモンであるGLP‐1をうまく役立てる方法があります。そこで登場するのが「サバ」です。

実は、GLP‐1は、もともと私たちの体内で作られています。

しかし、十分に分泌されないと、肥満や生活習慣病のリスクが高まります。十分に分泌させるには、小腸の下部や大腸にあって、GLP‐1を分泌しているL細胞というものをうまく刺激する必要があります。

そのために役立つのが、サバに多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)という脂肪酸(油脂の重要な成分)です。

L細胞には、EPAやDHAの受容体(物質の結合場所)があります。サバを食べてEPA・DHAをたっぷり補給すれば、これらがL細胞に結合してその働きを高めます。すると、GLP‐1が十分に分泌されるというわけです。

EPA・DHAは、以前から動脈硬化の抑制作用をもつことで知られていました。近年、それらに加えてGLP-1の分泌促進作用も持つことがわかり、世界中で注目されています。

【やせホルモン「GLP-1」のすごい働き】
インスリンを活性化して血糖値を下げる
脳に働きかけてドカ食いを防ぐ
胃に働きかけて消化物をゆっくり送り出す

サバ缶とタマネギは最高のダイエット食

ただし、サバをEPAやDHAの供給源として、最もムダなく役立てるには、旬の時期の脂ののったサバを、新鮮なうちに、脂をムダにしない料理法で食べることが大切です。

これを一年中行うのは無理ですが、いい方法があります。
それは、「サバ缶」を利用することです。

サバ缶は、旬の時期に捕れた脂ののったサバを、そのまま缶詰にしてあります。特に水煮缶なら、余分な味つけもされておらず、いろいろな料理に使えて塩分の過剰摂取も防げます。

さらに、サバ缶の「GLP-1分泌促進効果」を高めるとっておきの方法があります。それは、サバ缶にタマネギを組み合わせることです。

実は、サバ缶と食物繊維を同時にとると、GLP-1の分泌がよりいっそう高まります。

食物繊維は、人間の小腸で分解・吸収されずに大腸に到達します。以前はそのまま便に出ると考えられていましたが、実は、大腸で腸内細菌によって分解され、短鎖脂肪酸という脂肪酸ができることがわかってきました。

短鎖脂肪酸も、大腸にあるL細胞を刺激して、GLP-1の分泌を促すことが確認されているのです。

タマネギは、サッパリした味わいでサバ缶との相性が抜群です。しかも、血液サラサラ効果などを持つ成分とともに、食物繊維を多く含んでいます(100g中1.6g)。ですから「サバ缶タマネギ」としてとれば、よりおいしく手軽に、やせホルモンであるGLP-1の分泌を増やせるのです。

私自身、家で晩酌をするときにはサバ缶をおつまみにすることもあります。皆さんも、ぜひご活用ください。

【やせホルモンを増やす方法】
サバ缶(EPA)+タマネギ(食物繊維)
小腸下部から大腸の入り口にかけて、「L細胞」が多く存在し、そのL細胞がGLP-1を分泌。野菜に多く含まれる食物繊維と青魚に多く含まれるEPAは、どちらもL細胞を刺激して、GLP-1の分泌に役立つと立証されている。

画像: この記事は『安心』2019年8月号に掲載されています。

この記事は『安心』2019年8月号に掲載されています。

This article is a sponsored article by
''.