耳鳴りや難聴に悩む患者さんは、不眠や抑うつを併発するケースが少なくありません。亜鉛は、抑うつや味覚障害との関連が広く知られている栄養素です。また、耳鳴りや難聴の患者さんにも亜鉛欠乏が多いという報告がされています。食生活に亜鉛をとり入れ、健康の維持に役立ててください。【監修】杉浦彩子(豊田浄水こころのクリニック副院長・国立長寿医療研究センター耳鼻咽喉科非常勤医師)
監修者のプロフィール
杉浦彩子(すぎうら・さいこ)
豊田浄水こころのクリニック副院長・国立長寿医療研究センター耳鼻咽喉科非常勤医師。1998年、名古屋大学医学部卒。2006年より国立長寿医療研究センター耳鼻咽喉科および疫学研究部にて、高齢者の聴覚を専門として臨床・研究に従事。17年より現職。耳科診療に精神医学的な加療も行う心療耳科外来を開設。日本耳鼻咽喉科学会、日本耳科学会、日本聴覚医学会、日本老年学会、日本アレルギー学会 日本耳鼻咽喉科学会専門医、補聴器適合判定医、補聴器相談医、医学博士。
▼研究論文と専門分野(科学研究費助成事業データベース)
▼『驚異の小器官 耳の科学』(ブルーバックス)
耳鳴り・難聴の予防に役立つ食事
耳鳴りや難聴に悩む患者さんは、不眠や抑うつ(気分の落ち込み)を併発するケースが少なくありません。病気について丁寧に説明されることで、患者さんの不安が取り除かれ、それだけで症状が軽減することもあります。昨年、日本聴覚医学会が発表した耳鳴りの治療指針に、「まずカウンセリング」と記されたのは、こうした背景があるからでしょう。
耳鳴りや難聴の予防には、バランスのよい食事をとることが基本です。そのうえで、亜鉛を含む食品を意識して摂取しましょう。亜鉛は、貝類やレバーなどに多く含まれます。ほかに、内臓を含む「丸ごと」食べられる食材を、積極的に食べるといいでしょう。
また、亜鉛は、ビタミンCといっしょにとると吸収率が上がります。魚介類や肉を、野菜やかんきつ類と組み合わせることで、亜鉛を効率よくとり入れられると同時に、栄養のバランスも整います。
亜鉛は、抑うつや味覚障害との関連が広く知られている栄養素です。また、以前から、耳鳴りや難聴の患者さんにも亜鉛欠乏が多いという報告がされています。食生活に亜鉛をとり入れ、健康の維持に役立ててください。
*食べ物から亜鉛をとる際はほぼ心配いりませんが、サプリメントでは過剰摂取による貧血や胃の不調などが起こる場合があるので注意が必要です。
亜鉛を多く含む食材
《魚介類》
牡蠣・ハマグリ・ホタテなどの貝類、カニ・エビなどの甲殻類、タラコ・スジコなどの魚卵、アユ・ワカサギなど内臓ごと食べられる魚
《肉類》
レバー(牛、豚、鶏)、鶏砂肝・鶏ハツ・牛ハツ・牛タンなどの臓物系、牛肉、羊肉、豚肉
《乳製品》
卵、チーズ・ヨーグルトなどの乳製品
《豆、ナッツ類》
エンドウ豆、ヒヨコ豆、アズキ、枝豆、豆腐・高野豆腐・納豆などの大豆製品、ピーナッツ・カシューナッツ・アーモンド・松の実などのナッツ類
豚レバーとエンドウ豆のクリーム煮
ハーブの魔法でレバーのイメージを一新
【材料】(2人分)
豚レバー…200g
エンドウ豆…80g
オリーブオイル…大さじ1
湯…150ml
塩…小さじ1/4
サワークリーム…100g
チリパウダー…少々
Ⓐニンニク…1/2片
タマネギ…50g
セロリ…40g
Ⓑローリエ…1/2枚
タイム、クミン、コリアンダー…各少々
【作り方】
❶エンドウ豆は一晩水に浸して戻し、やわらかくゆでる。
❷レバーは7~8mm厚さに切る。Ⓐはみじん切りにする。
❸フライパンにオイルを中火で熱し、レバーを焼きつける。表面の色が変わったら、ⒶとⒷを加えて炒める。なじんだら、(1)と分量の湯を加え、煮立ったら弱火にし、ふたをして20分、ほとんど汁気がなくなるまで煮る。
❹塩とサワークリームを加え、ひと煮する。盛りつけて、チリパウダーを振る。
牛肉メンチカツ
モロヘイヤの効果で生地がフワフワ
【材料】(2人分)
牛ひき肉…150g
タマネギ…50g
モロヘイヤ(葉だけ)…20g
塩、コショウ…各少々
卵黄…1個
プロセスチーズ…20g
小麦粉、卵白、パン粉…各適量
揚げ油…適量
せん切りキャベツ、トマト(くし切り)…各適宜
【作り方】
❶タマネギはみじん切りにする。モロヘイヤはさっとゆで、細かく刻む。
❷ひき肉に(1)と塩、コショウ、卵黄を加え、よく混ぜる。
❸チーズは5mm厚さの6枚に切り分ける。(2)を6等分し、中にチーズを入れて形を整える。
❹(3)に、小麦粉、よく溶きほぐした卵白、パン粉の順に衣をつける。160~170度に用意した油でこんがりと揚げ、油を切る。
❺キャベツとトマトを添えて盛りつける。
ルッコラ入りカニ玉
トマトの酸味でさわやかな味わい
【材料】(2人分)
ルッコラ…80g
カニ缶…60g
卵…3個
トマト…150g
ニンニク…1/2片(つぶす)
オリーブオイル…大さじ1/2
塩、コショウ…各少々
【作り方】
❶ルッコラは3cm長さに切る。トマトは1cm角に切る。
❷卵を溶きほぐし、カニをほぐして加え、混ぜておく。
❸フライパンに、ニンニクとオイルを入れて中火で熱し、トマトを炒める。トマトがくずれ、汁気がなくなったら、ルッコラを加えて炒める。
❹ルッコラがしんなりしたら(2)を加えて炒め合わせ、塩とコショウを振る。
くずし豆腐とタラコのスープ
タラコの風味とトロトロの食感が絶妙
【材料】(2人分)
木綿豆腐…200g
タラコ…20g
酒…大さじ1/2
ネギ…10cm
オクラ…80g
塩…少々
Ⓐチキンブイヨン(固形)…1/2個
湯…300ml
【作り方】
❶ネギは粗みじん切り、オクラは長さを半分に切る。
❷タラコは薄皮を取り除き、酒を混ぜる。
❸鍋にⒶを合わせて中火にかけ、煮立てる。オクラを加え、豆腐をくずし入れる。再び煮立ったらネギを加え、(2)を入れて、塩で味を調える。
ホタテのピーナッツ白和え
とんぶりのプチプチした歯ざわりが楽しい
【材料】(2人分)
ホタテ貝柱(刺し身用)…100g
ピーナッツ…15g
木綿豆腐…100g
みそ、砂糖…各大さじ1/2
とんぶり…30g
【作り方】
❶ホタテは1.5cm角に切る。
❷ピーナッツをすりつぶし、豆腐を加えてさらにすりつぶす。みそと砂糖を加え、すり混ぜる。
❸(2)に、(1)ととんぶりを加えて和える。
鶏レバーとピーマンの花椒和え
ピリッとした刺激と香りに箸が進む
【材料】(2人分)
鶏レバー…150g
ピーマン…4個
ネギ…1/2本
塩…少々
Ⓐ花椒:ホアジャオ(ホール)…小さじ1
ゴマ油…大さじ1/2
【作り方】
❶鍋に湯を煮立ててレバーを入れ、15分ゆでる。ゆで汁に漬けたまま冷まし、湯を切って、5mm幅に切る。
❷ピーマンはひと口大に切り、ネギは縦半分に切ってから斜め薄切りにする。
❸鍋に湯を煮立て、ピーマンをさっとゆでる。湯を切り、(1)、ネギと合わせておく。
❹フライパンにⒶを合わせ、弱火で熱し、香りが立ったら(3)に加える。塩を振り、よく和える。
牛肉とバジルのエスニックサラダ
主菜にもなるぜいたくな一品
【材料】(2人分)
牛ももステーキ肉…150g
オリーブオイル…大さじ1/2
バジル…2パック
タマネギ…50g
レモン…1/4個
ニンニク…1/2片
カシューナッツ…10g
刻み唐辛子…少々
ナンプラー…大さじ1/2
【作り方】
❶バジルは葉を摘む。
❷タマネギは薄切り、レモンは半月の薄切り、ニンニクはみじん切りにする。
❸カシューナッツは粗く刻む。
❹フライパンにオイルを強火で熱し、牛肉の表面の色が変わるくらいにこんがり焼き、4~5mm厚さに切る。
❺大きなボウルに(1)~(4)を合わせ、唐辛子とナンプラーを加え、よく和える。
アユのリゾット
アユのほろ苦さがしみじみ美味
【材料】(2人分)
アユ…2尾
オリーブオイル…大さじ1
ニンニク(つぶす)…1/2片
胚芽米…100g
湯…100ml
Ⓐセロリ…40g
ズッキーニ…50g
赤パプリカ…80g
Ⓑローリエ…1/2枚
タイム、オレガノ…各少々
白ワイン…大さじ2
湯…50ml
Ⓒパセリ(刻む)…大さじ3
コショウ…少々
パルメザンチーズ(塊の物を薄切りにする。粉状の物でも可)…10g
【作り方】
❶Ⓐはすべて7~8mm角に切る。
❷フライパンにオイル、ニンニクを入れて中火にかける。香りが立ったらアユを入れて、(1)を広げのせ、Ⓑを加える。ふたをして12~13分蒸し煮にし、アユに火を通す。
❸火を止めて、アユの頭と骨を取り除き、身と内臓をくずして全体を混ぜる。
❹(3)を再び中火にかけ、米を加えて混ぜる。分量の湯を3回に分けて加え、米に吸わせながら混ぜる。
❺米に芯が残るくらいまで火が通ったら、Ⓒを混ぜる。
そばがき ずんだあん添え
とろりとした舌触りと素朴な味にうっとり
【材料】(2人分)
そば粉…50g
熱湯…60ml
枝豆(さや付き)…150g
砂糖…大さじ1/2
塩…少々
【作り方】
❶鍋に湯を煮立て、枝豆をやわらかめにゆでる。湯を切り、豆をさやから出して、薄皮をむく。豆をすりつぶし、砂糖と塩を加え、すり混ぜる。
❷そば粉に熱湯を加え、手早くかき混ぜる。
❸(2)をスプーンですくって盛りつけ、(1)を添える。
ヨーグルトババロア
甘さ控えめでラム酒が効いた大人の味
【材料】(4人分)
プレーンヨーグルト…200g
粉ゼラチン…5g
冷水…大さじ3
牛乳…100ml
砂糖…30g
卵黄…1個
ラム酒…大さじ1/2 レモン汁…大さじ1
グレープフルーツ(ルビー)…1個
レモン汁…大さじ1 ラム酒…大さじ1
【作り方】
❶粉ゼラチンは冷水に振り入れて戻す。
❷鍋に牛乳と砂糖、(1)を入れて中火にかけ、煮立てないように煮溶かす。
❸ボウルに卵黄を入れ、(2)を加えてよく混ぜる。
❹(3)を氷水に浮かべて混ぜる。とろみがついたら、ヨーグルトとラム酒、レモン汁を加え、なめらかになるまで混ぜる。
❺(4)を器に流し入れ、2時間程度冷やして固める。
❻グレープフルーツは薄皮をむいて果肉を大きくほぐし、レモン汁とラム酒を混ぜ、冷やしておく。
❼固まった(5)に、(6)をのせる。
【料理・栄養計算】検見崎聡美(料理研究家・管理栄養士)