骨芽細胞は、若返りのホルモンと免疫力アップのホルモンを分泌します。肋骨締めを行い、骨に刺激を与えることは、理想のボディラインを手に入れるだけではなく、若さと健康維持にも最適なのです。肋骨は動きやすいため、1日に2回行うだけでじゅうぶんです。【解説】藤澤孝志郎(Dr.孝志郎クリニック院長)
解説者のプロフィール
藤澤孝志郎(ふじさわ・こうしろう)
Dr.孝志郎クリニック院長。1977年、東京都生まれ。2004年、宮崎大学医学部卒業。総合内科、救急救命室、心臓血管外科の3領域で臨床経験を積み、2015年より現職。医学教育の第一人者としても知られ、海外の医師を含め10万人以上の医学生を指導。DVD講座「Dr.孝志郎の病態生理学」、「Dr.孝志郎の症候学」「Dr.孝志郎のサマライズシリーズ」は、全国70以上の大学の医学部で長く親しまれている。
肋骨は自分で動かせて形を変えることができる
体のラインを変えようと思うと、運動で鍛えたり、エステに行ったりと、手間や時間、お金ややる気も必要と考えがちです。
しかし、「肋骨締め」は、運動ではありませんし、お金も手間もかからず、いつでもどこでもできる、画期的なおなかやせの方法です。
別記事:「肋骨締め」のやり方→
肋骨は動くのか、という疑問をお持ちのかたも多いでしょうが、実は腕や足などのまっすぐな骨と違い、肋骨はとても柔軟な骨です。
肋骨と胸骨をつないでいるのは軟骨で、丸みがあって変形しやすいのが特徴です。
私は今のクリニックを開業する前は、総合内科、ER(救急)、ICU(集中治療室)の3領域で働き、さまざまな手術に立ち会いました。
特に心臓外科の領域では肋骨がじゃまになることが多く、ハサミでよく切っていました。術後、患者さんにコルセットをつけていただければ、切った肋骨は数日でつながります。肋骨が折れても、手術の必要がない人が多いのはそのためです。
一方で、肋骨をつなげるためのコルセットの締め方がよくないと、肋骨の形が悪くなります。そのため整形外科医の中には、肋骨の締め方に気を遣うかたも、多くいらっしゃいました。それくらい肋骨は、外からの締めつけに反応する骨なのです。
また、肋骨は職業によって形が違ってきます。例えば、デスクワークが多い人の肋骨は、前かがみになるため横に広がりがちです。
肋骨締めを行うことは、そういった肋骨の歪みを直すのに役立つでしょう。
若さと健康を保つのにも肋骨締めは効果的
また、骨には驚くべきパワーがあることが近年、わかってきました。
骨は感覚器(センサー)であり、刺激を感知すると電気を発生させるのです。その結果、「破骨細胞」と「骨芽細胞」という細胞が活性化し、骨の代謝が促されるのです。
骨芽細胞は、若返りのホルモンと免疫力アップのホルモンを分泌します。このうち若返りのホルモンは、脳に刺激を与え、記憶力をアップさせて認知症の予防にも役立つと言われています。
つまり、若さと健康を維持するためには、骨芽細胞を活性化させることが大事で、骨に刺激を与える、骨のトレーニングが必要なのです。
ですから、肋骨締めを行い、骨に刺激を与えることは、理想のボディラインを手に入れるだけではなく、若さと健康維持にも最適なのです。
また、肋骨締めは、腹式呼吸をしながら行うところも、お勧めしたい理由の一つです。
呼吸は、精神面と深いつながりがあります。
ストレスを抱えている人が過呼吸(精神的または身体的ストレスによって呼吸が速くなり、体内の二酸化炭素レベルが急激に減少する症状)の発作を起こすことがあるように、ストレスを感じると呼吸は浅くなります。呼吸が浅くなると血流が悪くなったり、不眠につながったりします。
肋骨締めを行うことで、ゆっくり深い呼吸をするようになるため、そのような症状を防いだり、ストレスを緩和できたりする可能性があります。
また、深い呼吸をする際はエネルギーを使っており、代謝をアップさせるので、やせやすい体を作るとも言えるでしょう。
肋骨締めは、美しい見た目を作るとともに、精神面でも安定をもたらす、優れた方法なのです。
2〜3カ月続ければ形状が記憶される
肋骨は動きやすいため、肋骨締めは1日に2回行うだけでじゅうぶんで、1週後には、ウエストが数センチ縮むほどの即効性を実感されることでしょう。
makahou2さん(別記事参照)や、体験者のかたがたのように、体形の変化を確実に感じられると思います。ただし、2〜3カ月は続けて、肋骨に形状を記憶させるようにしましょう。
別記事:「肋骨締め」のやり方→
さらに肋骨締めの効果を実感するためには、脇腹や肋骨あたりを手などでほぐしてから行ってください。
筋肉が硬いとしっかり骨を動かすことができません。ですから、例えば風呂上がりなどに、ボディクリームをつけて筋肉をほぐしてから肋骨締めを行うと、より早く効果を感じることができるでしょう。
手で締めることもできますが、肋骨は柔軟なので、強い力で締め過ぎないことも大事です。力加減を調整しやすいタオルで締める方法を、私はお勧めいたします。
「肋骨を締め過ぎると内臓に負担がかかるのでは?」と心配になる人もいるかもしれません。
位置的には肋骨から内臓までは余裕があるので、自分で行う肋骨締めが内臓に影響することは考えられません。骨粗鬆症など、骨がもろい人以外であれば、老若男女誰でも肋骨締めをすることができるでしょう。
実は、私自身も肋骨締めを始めていて、体がどう変化するかをチェックしています。
男性の場合は、かっこいい逆三角形の体を作るのに、肋骨締めが役に立つでしょう。女性の場合は、閉経後、女性ホルモンが減少して骨密度が減るため、骨を鍛えることは骨粗鬆症予防にもなります。
自分で簡単に骨格を変えることができるのは、柔軟な肋骨だけです。この画期的な方法で、なりたい体を手に入れてください。