【酢リンスのやり方】美髪効果を期待するなら「黒酢」がおすすめ!

美容・ヘルスケア

頭皮は雑菌や皮脂で汚れると、弱酸性からアルカリ性に傾いて、さまざまなトラブルを起こします。それが酢リンスをすると、本来の弱酸性に戻ります。さらに、メチオニンなどのイオウを含む含硫アミノ酸が、たんぱく質の合成・修復をしてくれます。【解説】中山貞男(元昭和大学保健医療学部教授・医学博士)

解説者のプロフィール

中山貞男(なかやま・さだお)
1946年、福島県生まれ。医学博士。東京理科大学理学部化学科卒業。昭和大学医学部薬理学助教授を経て、2002年より昭和大学保健医療学部教授に就任。2006年、同大学客員教授として、生活習慣病の危険因子に対する薬の研究や、漢方医学と生活習慣病についての研究を行う。2016年、客員教授の任を退き現在に至る。主な著書に『驚くべき酢の効用と健康法』(日本文芸社)など。

切れ毛や枝毛が改善しフケも出にくくなる

酢の健康効果はよく知られていますが、酢は調味料としてとるだけでなく、髪や肌に利用しても優れた効果があります。実際、酢をリンスがわりに使ったところ、髪が元気になった、白髪や薄毛が目立たなくなったという人が増えているのです。

酢リンス」は、お湯で薄めた酢で、洗髪後の髪をリンスするというもの。こうした酢の利用法は、酢を長年研究してきた私から見ても理にかなっており、よい使い方だと思います。

髪のトラブルや老化は、頭皮の状態と深い関係があります。

頭皮が雑菌や皮脂で汚れると、毛根が詰まって抜け毛の原因になったり、頭皮が傷んでかぶれや湿疹、かゆみなどを引き起こしたりします。また、頭皮の乾燥は、フケの原因になります。

酢の主成分は酢酸で、その代表的な作用は殺菌・消炎・消毒です。

酢リンスを行うと、頭皮についた雑菌や、毛根に詰まった皮脂の汚れがキレイに取れて、頭皮の状態がよくなります。それによって、頭皮の嫌なにおいやかゆみ、かぶれ、湿疹、炎症、化膿などが改善し、毛根も健康になってきます。

また、健康な頭皮は弱酸性で、雑菌などの外敵から皮膚を守っています。しかし、雑菌や皮脂で汚れると、弱酸性からアルカリ性に傾いて、さまざまなトラブルを起こします。それが酢リンスをすると、本来の弱酸性に戻ります

さらに酢には、毛髪自体を健康にする働きがあります。それは、アミノ酸による作用です。

米や穀類を原料にした米酢や穀物酢は、発酵・熟成の過程でたんぱく質がアミノ酸に分解されます。そのなかには、メチオニンなどのイオウを含む含硫アミノ酸があり、たんぱく質の合成・修復をしてくれます。

例えば、切り傷ができたとき、酢に含まれる含硫アミノ酸が皮膚のたんぱく質の合成を促し、傷の治りを促します。同じように、傷んだ頭皮や髪の修復も早くなるのです。

髪はキューティクル(たんぱく質を主成分とする髪のいちばん外側の層)が傷んだりはがれたりすると、ツヤがなくなり、切れ毛や枝毛やゴワつきの原因になります。酢リンスをすると、含硫アミノ酸が毛髪に補給され、キューティクルも修復されるのです。

さらに、アミノ酸が頭皮に潤いをもたらし、フケの原因になる乾燥を防ぎます

酢リンスをして最初に感じられるのは、こうした髪の毛への効果です。切れ毛や枝毛、細毛が改善し、サラサラして手ざわりやくし通りがよくなります。フケも出にくくなります。

もう一つ、毛根が健康になると、抜け毛が減ったり、黒くて太い髪が生えてきたりします。その結果、薄毛や白髪が目立たなくなるのです。

このように酢リンスを行うと、酢に含まれる酢酸やアミノ酸の作用によって、髪が健康になり、若返っていきます。

《酢リンスで期待できる効果》
切れ毛、枝毛、細毛の改善。くしの通りがよくなる
髪にツヤが出る
抜け毛が減る
黒く太い髪が生える。髪にボリュームが出て、薄毛、白髪が目立たなくなる
頭皮の状態がよくなる。におい、かゆみ、かぶれ、湿疹、炎症、化膿などが改善
フケが出にくくなる

アミノ酸を含む酢を10倍以上に薄めて使う!

酢リンスのこうした効果を得るには、条件が二つあります。

一つは、酢を適度に薄めて使うことです。酢の濃度が高いと刺激が強過ぎて、逆に頭皮が荒れてしまいます。

私たちは、胃粘膜に炎症のあるネズミに、酢を飲ませて胃潰瘍の予防効果を調べたことがあります。結果は、酢の濃度が高くなるほど胃炎がひどくなり、逆に1%くらいまで薄めると炎症が治まって、胃潰瘍を予防できたのです。

つまり、酢を薄めて刺激を調整したほうが、効果を十分に発揮できるということです。酢酸の作用は酢を100倍に薄めても効果があるので、酢リンスにする場合、10倍以上に薄めて使うといいでしょう。

もう一つは、アミノ酸を含む酢を使うことです。

アミノ酸の豊富な黒酢がお勧め

アミノ酸は、米酢、玄米酢、黒酢など、米を原料にした酢に含まれています。穀物酢にも少し入っていますが、リンゴ酢やブドウ酢などの果実酢には含まれていません。

醸造酢のなかで、特にアミノ酸が豊富なのが黒酢です。

米酢は、酢1Lにつき米を40g以上使ったもの、黒酢は180g以上使ったものと、日本農林規格で規定されています。原料の米が多いほどアミノ酸の量は増えるので、より高い効果を得たい人は、黒酢を使うことをお勧めします。

ちなみに、醸造用アルコールでつくった合成酢では、髪への効果は期待できません。砂糖が含まれるすし酢や三杯酢も、使わないほうがいいでしょう。

酢リンスの基本のやり方は、下の図解をご覧ください。

《酢リンスの基本のやり方》

洗面器にお湯を1L入れ、酢を小さじ2〜3杯(10〜15ml)加えてかき混ぜる。

使う酢は、ペットボトルに移して浴室に置いておくと便利です。ペットボトルなら1回の使用量もキャップ2杯分(15ml)とわかりやすいのです。

洗髪後、(1)の洗面器に頭を入れ、酢リンス液を手ですくって髪全体になじませ、頭皮もまんべんなくマッサージする。

酢リンス液を髪全体になじませて、頭皮をまんべんなくマッサージします。そうすることで頭皮の汚れもよく落ちます。

頭皮に傷や湿疹があっても、10倍以上に酢を薄めて使えば大丈夫です。傷を刺激することはありません。ただし、頭皮は強くこすらないようにします。

洗面器に残った酢リンス液を頭頂部からかけ、5〜10分放置する(その間、体を洗ったり、湯船につかったりする)。

酢リンス液を髪や頭皮につけて5~10分、放置すると、酢の成分が十分に染み込みます。お風呂上がりには、髪をお湯でしっかりすすいでください。

風呂から上がるときに、髪をお湯でしっかりすすぐ。

酢リンスを行う回数は、週に2~3回で十分です。毎日行っても害にはなりませんが、その必要はありません。

また、酢リンスのついでに、酢リンス液で顔も洗うと、酢酸の殺菌作用とアミノ酸の修復作用で肌がスベスベになります。ニキビや吹き出物の予防・改善も期待できます。

こうして外から髪を手入れすると同時に、食事でも積極的に酢をとってください。酢は血流を促進して体調をよい状態に整え、髪や肌を内側からも健康にしてくれます。

この記事は『壮快』2019年11月号に掲載されています。

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