最近ではSIBO(小腸内細菌異常増殖症)と呼ばれる小腸の異常が、ガス腹の有力な原因として注目されています。原因は、パンやパスタなどの小麦食品、砂糖の多い加工食品や炭酸飲料などのとり過ぎといわれています。【解説】相馬渉(さく病院胃腸内科医)

解説者のプロフィール

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相馬渉(そうま・わたる)

さく病院胃腸内科医。2005年、大分大学医学部卒業。大学病院や関連施設にて数多くの消化器内視鏡検査・治療を経験。横浜のたまプラーザ南口胃腸内科クリニックにて「苦しさと痛みに配慮した内視鏡検査」の技術を習得後、福岡天神内視鏡クリニックの院長就任。 2020年4月より現職。患者さんに優しい医療がモットー。
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ガス腹の症状と原因

食欲低下や呼吸困難腸閉塞になる例も

おなかのトラブルは実にさまざまです。病気ではないものの、悩みが深いものは少なくありません。その代表格に「ガス腹」があります。

体内のガスは、本来おならやげっぷ、呼気などとして、体外に排出されます。ガス腹は、そうしたガスがなんらかの原因で腸管内に停滞する状態です。

主要な症状は、おなかの張り(腹部膨満感)で、不快なだけでなく激しい腹痛を伴うこともあります。通常、痛みには鈍感な大腸も、ガスでパンパンに張ると激しく反応します。それが体にさまざまな悪影響を及ぼすこともあります。

例えば、胃が圧迫されて食欲が低下したり、肺が圧迫されて呼吸困難に陥ったりすることもあります。腸閉塞(腸の内容物が通過しなくなる病気)は、その最たる例です。

ガス腹で悩む患者さんのなかには、おなかの張り以外にも、おならの漏れや臭いおならが気になって、外出や交遊などを避ける傾向も見られます。

ガスがたまる原因はいくつかあります。

まず、私たちが物を食べるときに、必ずいっしょに飲み込む空気です。早食いや口呼吸の人は、空気を飲み込む量が多くなり、ガスがたまりやすくなる(呑気症という)ので、注意が必要です。

また、腸内環境が悪い状態も、悪玉菌の温床となり、悪臭を放つガスが増えます。腸の働きが低下したり、便秘になったりすると、ガスの通過障害にもなりやすくなります。

薬の副作用でガスが増えることもあります。胃薬(胃酸を抑える薬)や鎮痛剤、抗生剤などです。こうした薬を服用中で、おなかの張りがある人は、医師や薬剤師に相談してください。

少々意外かも知れませんが、ヨーグルトなどの発酵食品も、腸内でガス産生を活発にするため、ガス腹の人はしばらく控えたほうがいいでしょう。

ガス腹の主な原因
■ 早食い、口呼吸による空気の飲み込み過ぎ(呑気症)
■ 腸内環境の悪化・便秘
■ 薬の副作用
・胃薬(胃酸を抑える薬)、鎮痛剤、抗生剤など
■ ヨーグルトなどの発酵食品の摂取
■ SIBO(小腸内細菌異常増殖症)
・パンやパスタなどの小麦食品や、砂糖の多い加工食品などのとり過ぎ
・間食
・運動不足

ガス腹の原因として注目のSIBOとは

悪玉菌がガスを生み出す

最近ではSIBO小腸内細菌異常増殖症・small intestinal bacterial overgrowth)と呼ばれる小腸の異常が、ガス腹の有力な原因として注目されています。

大腸と違って、小腸には腸内細菌があまり生息していません。せいぜい1万個くらいです。ところが、胃酸の働きや小腸の機能が低下することによって、ふだんの10倍ほど(10万個超)に異常増殖します。この状態がSIBOです。

SIBOになると、増殖した細菌(主に悪玉菌)が発酵してガスを生み出します。このガスが小腸をパンパンにふくらませたり、一部の細菌を大腸に送り込んだりすることでガス腹が進行するのです。

おなかが張る、おならがよく出る、腹痛や吐き気がするといった症状から、悪化すると過敏性腸症候群などの病気まで招くといわれています。

SIBOを起こす原因

SIBOを起こす原因は、パンやパスタなどの小麦食品、砂糖の多い加工食品や炭酸飲料などのとり過ぎといわれています。確かに、私の患者さんのなかにも、パン食をやめたら、おなかの張りが取れたという人が何人かおられます。

間食もSIBOを招きます。小腸のぜん動運動(腸の内容物を送り出す動き)は、空腹時に活発になるため、おやつを頻繁に食べていると働かなくなるのです。物を口にする間隔は、最低でも4時間は空けましょう

もう一つ、運動不足も小腸のぜん動運動を低下させるので、SIBOを招きやすく、ガス産生の引き金になります。ですから、腸の働きを促すように、適度な運動を定期的に行うといいでしょう。

酪酸菌を含む整腸剤で腸内環境を整えるとよい

このようにガス腹を起こす原因はさまざまですが、ガス腹の根本改善には、やはり腸内環境を整えることがいちばんです。

食生活に関しては、大切なのはバランスのよい食事をとること。一定の食品に偏り過ぎないようにしてください。

糖質制限も極端に走るのはよくありません。ご飯などは、糖質以外に食物繊維が豊富に含まれています。腸の善玉菌の大事なエサになりますから、ご飯は適量とるようにしてください。

私は、便秘やガス腹の患者さんに、酪酸菌という善玉菌を含む整腸剤(強ミヤリサン錠やビオスリー錠など)の活用もお勧めしています。腸内環境を整えるのに、大変有効です。

酪酸菌が産出する酪酸は、大腸粘膜のエネルギー源になり、大腸の動きを活発にしてくれます。酪酸菌はぬか漬けに含まれている善玉菌で、乳酸菌やビフィズス菌より日本人の体に合いやすく、安心で確実な整腸効果が期待できるのです。

整腸剤は原則として副作用がないので、食事と同じように毎日とることができます。1日1回、3錠を飲む習慣を続けているうちに、いつの間にかガス腹や便秘が解消したという患者さんも多数おられます。

最後に、おなかのガスをすぐに抜きたい場合は、別記事で紹介している「ガス抜き体操」を試してください。

[別記事:ガス抜き体操のやり方→

画像: この記事は『壮快』2020年5月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年5月号に掲載されています。

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