スマホのバッテリーが残り少ないときに限って、手元にモバイルバッテリーや充電器がないなんてことは意外によくあるものだ。しかし、諦めるのはまだ早い。実は、出先でもスマホの充電手段を確保することは十分可能だ。今回は、そんな便利なスマホの充電ワザを厳選して紹介しよう。
スマホの電池切れをモバイルバッテリーなしでどうしのぐ?
モバイルバッテリーなしでも可能な充電方法は3つある
ショッピングやレジャー、仕事の外回りなど、外出時にスマホのバッテリーが残り少なくなってきたときは、「モバイルバッテリー」を使うのが一般的だろう。しかし、失敗は重なるというべきか、そんなときに限ってモバイルバッテリーを携帯し忘れていることが少なくない。
そこで取れる方法といえば、普通なら諦めて自宅や会社に戻るか、あるいはバッテリー切れを座して待つか、その二択といったところだろう。
しかし実は、出先でもスマホを充電できる手段はある。おもな方法は以下のとおりだ。
・モバイルバッテリーのシェアリングサービス
・他のスマホやタブレットから分けてもらう
・街なかの充電スポットを利用する
これらの充電サービスやテクニックを駆使すれば、たとえ手元にモバイルバッテリーがなくてもスマホの充電手段を確保できる。次節以降では、これらの充電サービスやテクニックについて詳しく解説していく。
モバイルバッテリーの「シェアリングサービス」を利用する
出先で「モバイルバッテリー」をお手軽レンタル!
「モバイルバッテリーのシェアリングサービス」とは、平たくいえば「モバイルバッテリーのレンタル」のことだ。レンタル用のモバイルバッテリーは専用スタンドに設置されており、利用料金を支払うことで所定の期間のあいだ借りることができる。
設置場所はサービスによって異なるが、多くの場合、コンビニや飲食店、駅など、アクセスしやすい場所にあるので、思い立ったらすぐに借りられる。さらに、使い終わったモバイルバッテリーは、同じシェアリングサービスのスタンドならどこでも返却できるので、いちいち借りた場所まで戻る必要もない。
また、レンタル用のモバイルバッテリーには、LightningとUSB Type-C、マイクロUSB端子も搭載さされている場合がほとんど。USBケーブルを別途用意する必要がないので、レンタル後、すぐに充電を利用できる。
レンタル料金は、安いものであれば1時間100円程度と非常にリーズナブル。しかも、充電スポットのようにその場に留まってスマホを充電する必要もないので、充電待ちで余計な時間を消費することもない。利用料金は掛かるが、手軽さにかけては文句なしなので、近場にスタンドがあれば真っ先に利用を検討したい充電方法だ。
ここでは特におすすめなシェアリングサービス3つを紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。
毎日15分のみなら無料で利用できる!
mocha(モチャ)
1日につき最初の15分までなら無料で利用できるという、太っ腹なシェアリングサービス。無料後の料金も1時間ごとに100円、24時間最大500円となかなかリーズナブルだ。また、利用開始から5日間が経過すると3000円でモバイルバッテリーが「買い取い」扱いになるため、うっかり返し忘れても高額なレンタル料金を請求されることもない。
スタンドの設置場所は、いまのところコンビニは対象外だが、代わりに飲食店や居酒屋などが特に充実。他のシェアリングサービスでは見当たらない、意外な場所にスタンドがある場合が多いので、思わぬところで助けられる場合もありそうだ。
ネックは、2020年4月時点でスタンドの設置数が、都市部中心の約300ヵ所と使用できる場所がやや限られている点だが、サービス事業者のGREEN UTILITYによると「全国1000万箇所設置」を目標に精力的に普及を進めているとのこと。無料の使用時間を設けるなど、料金自体は魅力的なこともあり、今後の展開が楽しみなサービスのひとつだ
サービス詳細
料金:1時間100円(毎日初回15分無料)、24時間最大500円
デポジット:なし
会員登録:必須
別スタンドへの返却:可能
レンタル用モバイルバッテリー仕様
容量:6000mAh
充電端子:Lightning、マイクロUSB、USB Type-C
●公式サイトで詳細を見る
1万台超のスタンド設置数を誇る
ChargeSPOT(チャージスポット)
国内シェアナンバーワンを謳うシェアリングサービスで、2020年3月時点で1万4000台にも及ぶスタンド設置数を実現。設置場所もコンビニを始め、飲食店や商業施設など、人気のスポットを揃えているため、仕事での外回りやショッピング、レジャーでの外出時など、シーンを選ばす利用できそうだ。
バッテリーのレンタルには専用アプリのほか、「LINE」も利用できる。手続き自体はスタンド上のQRコードをアプリで読み取るだけなので、手間なくバッテリーを借りることが可能だ。
利用料金は1時間未満は150円、48時間までは300円、その後は1日につき150円で利用可能と非常にお手頃。レンタル期間が7日間を超えると2280円で買い取り扱いなるといった具合に、利用料金に上限がしっかり設定されているのも安心感がある。
サービス詳細
料金:1時間未満150円、48時間まで300円、以降は1日150円
デポジット:なし
会員登録:必須
別スタンドへの返却:可能
レンタル用モバイルバッテリー仕様
容量:5000mAh
充電ケーブル:Lightning、マイクロUSB、USB Type-C
●公式サイトで詳細を見る
翌日24時まで無料で再レンタルできる
充レン
お台場エリア中心に試験運用していたレンタルサービス「充レン」が、2020年2月から国内1万台設置を目指して待望の全国展開を開始! 設置場所はファミリーマートやセブンイレブンといった大手コンビニを始め、駅構内や映画館、スーパーなど、メジャーな定番スポットが多いこともあって、利用のしやすさはトップクラスといえる。さらに、今後は北海道のセイコーマートや関西の京阪電気鉄道などにも順次進出していく予定だ。
レンタルにはLINEのQRコードリーダー機能を使用。手続きはスタンドのQRコードを読み取り、画面の指示に従って操作を進めるだけとまったくの手間なしだ。
料金システムは翌日24時まで330円、以降は1日につき330円と非常に明快。最大貸し出し期間の4日間を超過すると、3300円で買い取り扱いとなる。
さらに、LINE経由で借りた場合、翌日24時まで再レンタルが無料になる特典を利用可能。例えば、レンタルしたモバイルバッテリーが残量ゼロになったときは、いったんスタンドに返却しさえすれば、何度でも充電済みの別バッテリーを借りられる。出先でスマホを酷使していて、何度もモバイルバッテリーを使いたいときなどはかなり重宝しそうだ。
サービス詳細
料金:翌日24時まで330円、以降は1日330円(最大4日間)
デポジット:なし
会員登録:不要
別スタンドへの返却:可能
レンタル用モバイルバッテリー仕様
容量:5000mAh
充電ケーブル:Lightning、マイクロUSB、Type-C
●公式サイトで詳細を見る
USBケーブルでほかの端末から充電させてもらう
USB Type-Cケーブルでスマホやタブレットと直結
Android端末なら、ほかのスマホやタブレットとUSBケーブルでつないでバッテリーを分けてもらうことも可能だ。
おもな条件は、給電側と充電側のどちらの端末もUSB Type-C端子を搭載し、USBケーブルには両端がType-C端子になっているタイプを使用するというもの。あとは、ふたつの端末をUSBケーブルで直結したあとに、端末のUSB設定を切り替えれば充電が開始する。
Type-Cケーブル直結の充電方法
まずUSB Type-Cケーブルでふたつの端末をつないで、給電側のスマホの通知から「Androidシステム」を開く。
「USB接続された端末を充電しています」と表示されている場合、すでに接続先のスマホに充電が実行されているので特に操作の必要はない。
給電と充電側を入れ替えたい場合は、給電側の端末の通知から「USB接続された端末を充電しています」の部分をタップ。
USB設定画面が開いたら、「USBを制御するデバイス」を「この端末」、「USBの使用」を「端末の充電のみ」をそれぞれ選択する。メーカーによって項目の名称が異なることもあるが、その場合は同義の項目を選ぶようにしよう。
これで設定は完了だ。念のため、給電から充電側に切り替えたスマホのステータスバーにあるバッテリーアイコンをチェックして、充電が行われているかを確認しよう。
なお、ケーブル直結の充電は、給電側となる端末のバッテリーを消費するほか、出力もさほど高くはなく充電に時間がかかる。従って、給電側のスマホのバッテリーに余裕があって、時間にもゆとりがあるときに利用したほうがいいだろう。
バッテリーを分けてもらえる端末はほかにもある!
スマホやタブレット以外にもバッテリーを分けてもらえる端末として、定番ではあるが「パソコン」もある。
充電方法は特に難しいことはなく、基本的にはパソコンが電源オンの状態でスマホとケーブル接続をするだけだ。出力はパソコン側のUSB規格によって異なるが、USB3.0なら900mAの給電能力があるので、通常充電程度の速度は期待できるはずだろう。
なお、USB端子にカミナリマーク(「PowerShare」)が付いている場合は、パソコンが電源オフ状態でも給電が可能だ。例えば、カバンに入れたノートパソコンとスマホをUSBケーブルでつなぐなどして、モバイルバッテリー代わりに使うのもいいだろう。
USBケーブルは常時携帯するのが最善!
ほかのスマホやパソコンがあれば、バッテリーを分けてもらうことが可能だが、それはあくまで手元に「USBケーブル」があればの話。USBケーブル自体はさほど荷物にもならないものだし、せっかくの充電チャンスを逃さないように、普段からカバンなどに携帯しておきたいものだ。
街中の充電スポットを利用する
キャリアショップで無料充電!
付近にバッテリーのシェアリングサービスがなく、ほかのスマホなどからバッテリーを分けてもらうのも難しい場合は、「街中の充電スポット」を活用しよう。
もっとも手軽なスポットとして真っ先に挙げたいのが、大手キャリアが運営する公式ショップだ。
auとソフトバンクでは、多くのショップでスマホ充電スタンドを用意しているが、契約の有無に関わらず、無料で利用ができる場合が多い。ただし、店舗によっては自社キャリアのスマホのみ対象のケースもあるので、使用する際にはスタッフにしっかり確認してほしい。
ドコモショップでも無料の充電サービスを提供しているが、現在、一部の店舗ではモバイルバッテリーのシェアリングサービス「ChargeSPOT」に置き換わりつつある。そのため店舗によっては、無料充電サービスを利用できないこともあるので注意しよう。
カラオケやネットカフェも狙い目!
キャリアショップ以外の充電スポットとしては、カラオケやネットカフェ、漫画喫茶といった娯楽施設がおすすめだ。入場時に利用料金を支払う必要があるものの、スマホ充電器は無料で貸し出してくれる場合がほとんど。休憩やリフレッシュなどでこうした施設を利用する際、スマホのバッテリーが少なくなっているときはついでに充電しておくといいだろう。
スマホ充電器の無料貸し出しを実施しているおもな全国チェーン
※店舗によって無料貸し出しを実施していない場合もあります。
まとめ
今回紹介した充電サービスやテクニックをあらかじめ知っておけば、出先でスマホのバッテリーが切れかかっても慌てなくて済む。もちろん、出先でスマホを頻繁に使うのなら、普段からモバイルバッテリーを持ち歩くに越したことはない。
しかし、なかには滅多に使わないのに、モバイルバッテリーを念のため携帯している人もいるだろうが、当然そのぶん荷物はかさむ。それならいっそモバイルバッテリーを持つのはやめて、いざというときはシェアリングサービスや充電スポットなどを利用すればいいというくらいに気楽に構えるのも手だろう。そうすれば余計な荷物が減らせるし、出掛ける前にモバイルバッテリーの残量チェックの手間も省けて一石二鳥だ。
◆篠原義夫(フリーライター)
パソコン雑誌や家電情報誌の編集スタッフを経て、フリーライターとして独立。専門分野はパソコンやスマホ、タブレットなどのデジタル家電が中心で、初心者にも分かりやすい記事をモットーに執筆活動を展開中。