体調不良が起こったときは、まず医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大事です。そのうえで、生活習慣を改善したり、セルフケアを行ったりすると、治療効果も上がりますし、再発防止にもつながります。今回は、痔の改善に効果が期待できるツボと足裏ゾーンをご紹介します。
【解説】佐藤一美(東京都指圧師会会長)
解説者のプロフィール
佐藤一美(さとう・かずよし)
あん摩マッサージ指圧師。東京都指圧師会会長。東京都指圧師会杉並支部長、日本経絡指圧会会長、日本指圧協会副理事長も務める。『本当に効く「ツボ」が正しく押せる本』(マキノ出版)、『痛みをとる・病気にならない 体に「効くツボ」大地図帖』(永岡書店)などの著書がある。
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どんな痔でもケアの基本は同じ
血流をよくして清潔を心がける
痔は、大きく分けて3種類あります。肛門の内外にイボ状のしこりができる痔核(イボ痔)、肛門が切れる裂肛(切れ痔)、(3)ウミを持ったできものが破れ、肛門の外までトンネルを作る痔ろうです。
そのうち最も多いのはイボ痔です。静脈のうっ血(血液が停滞した状態)が原因となります。切れ痔の直接の引き金は排便時のいきみ、痔ろうは大腸菌などによる感染です。痔ろうの治療は手術が原則ですし、イボ痔や切れ痔も症状によっては手術適応となります。医療機関を受診後、治療と併用してセルフケアを行いましょう。
いずれのタイプの痔も、(1)下半身の血行をよくすること、(2)便秘を防ぐこと、(3)清潔にすることが大切です。入浴はシャワーだけで済まさず、毎晩浴槽につかって下半身を温めてください。そして、食事や睡眠に気を配り、規則的な排便を心がけましょう。
バスタイムのツボ押しを習慣に
私の治療経験から、ツボを押す前に足裏ゾーンをもみほぐすと、ツボ指圧の反応がよくなることがわかっています。足裏ゾーンのマッサージとツボ指圧は、ぜひセットで行ってください。お風呂に入る際に、足裏にある肛門や直腸のゾーンと、お尻にある痔の特効ツボ・長強(ちょうきょう)の指圧を行いましょう。入浴時に長強を刺激すると、肛門周辺の血行がよく、痛みの緩和にもつながります。
足裏ゾーンとツボの見つけ方・押し方
肛門、直腸、下行結腸のゾーン
このゾーンを刺激する目的は、肛門の周辺に集中している静脈の血行をよくすることと、便秘を防ぐことです。肛門と直腸、下行結腸のゾーンは、右足にはないので、左足だけマッサージすればOK。心地よく感じる程度の強さで、5分ほど押しもみしましょう。
長強のツボ指圧
長強のツボは、背骨の一番下、尾骨の先端にあります。
背骨をお尻の方へなぞっていくと、すぐにわかります。
両手の中指を重ねてツボの上に置き、5・7・5法(下図参照)で3~5分間指圧します。入浴時に、湯船の中で行うのが効果的です。
もう1つの特効ツボ・百会
頭のてっぺんにある百会(ひゃくえ)も、痔の特効ツボです。
長強のツボと同様、5・7・5法で3~5分間指圧したり、ブラシで2~3分間たたいたりしましょう。お尻のほうまで血行がよくなります。
なお、本稿は『本当に効く「ツボ」が正しく押せる本』(マキノ出版)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。