【シカにぶつかったら】保険は?衝突事故対策「鹿ソニック」で野生動物のロードキルを防げるか

防災

野生動物との衝突事故を経験したことがありますか? 実は日本では、年間約10万件におよぶ野生動物との接触事故があるそうです。私が住む北海道においては、エゾシカが関係する交通事故件数は、毎年2000件を超えているそうです。「でも自分は大丈夫!」…私もそう思っていました。しかし、私は2020年2月に、エゾシカとの接触事故を経験したのです。この苦い経験から、新しく購入したキャンピングカーに、高周波音害獣忌避装置「新型鹿ソニック」を装備しました。この記事では、私の経験をもとに「新型鹿ソニック」について紹介しようと思います。

執筆者のプロフィール

齋藤千歳(さいとう・ちとせ)

元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラバッグなどのカメラアクセサリー、車中泊グッズなどの記事も執筆している。目下の悩みは月1以上のペースで増えるカメラバッグの収納場所。

車で鹿にぶつかったら…

エゾシカとの衝突事故件数は非常に多い

筆者の住む北海道では、路肩で草を食べるエゾシカをみることは珍しくありません。また、地元の知人や友人がエゾシカと接触してクルマが壊れたとか、撮影旅行に来ていた方のクルマが全損したといった話を聞くこともありました。

それでも、「自分だけは大丈夫だ」と思っていたのです。しかし、実際に筆者はエゾシカをはねてしまいました。それも、道東などではなく、新千歳空港から30分程度の場所で、です。新千歳空港からレンタカーを借りれば、誰でも通る可能性のある道といえます。

特別に自然の豊かな場所でなくても、道内なら道路脇で見かけることの珍しくないエゾシカ。ニホンシカの亜種のなかでは最大級の大きさです。

ショックで心臓がバクバク…

2月の北海道でしたので、道は圧雪アイスバーン、スピードはかなり控えめでした。とはいえ、ヘッドライトに照らされたエゾシカと目が合ってから、クルマの前に飛び出されては、ブレーキを踏むのが精いっぱいでした。

幸いというか、クルマのスピードがさほど出ていなかったことと、ぶつかったエゾシカがさほど大きくないメスだったので、フロントグリルは破損したものの、自走できる程度の被害で済みました。

しかし、精神的な衝撃はかなり大きいです。シカ以外のものと接触事故を起こしたことがないので比較できませんが、明らかにやわらかい生きものをはねてしまったという感触はあまり思い出したくありません。クルマが止まった後もしばらく心臓がバクバクしていました。

この間に接触したシカは逃げていったのです。シカの頑丈さにも驚きましたが、2度したくない経験でした。シカの命に別状がないといいのですが、いくら丈夫とはいえ、その後無事だったとは思えません。

大きくへこんだバンパー部分、そして画面奥のフロントグリル部分のプラスチックパーツも割れているのがわかります。

自動車保険は使えたが修理費は30万円以上

エアバッグが開くほどの事故ではありませんでした。しかし、シカとぶつかったバンパー部分はしっかりとへこみ、フロントグリル部分のプラスチックパーツは無残に割れてしまいました。

自分にケガがないことと、クルマが自走できることを確認して、少し落ち着いたところで保険会社などの手続きをしたわけです。

クルマの修理費は30万円オーバーでした。自動車保険の対象だったので、保険を使用しましたが、保険等級は下がり、保険料はしっかりアップしたわけです。心にも、懐にも痛い事故といえます。

動物よけの対策「鹿ソニック」とは

「鹿ソニック」は車に設置し高周波を出す動物用の警笛

エゾシカとの接触事故を起こして以来、路上でエゾシカを見かけると、ビクビクしながら運転していたわけです。それでも、全道各地で撮影をするために運転しないわけにはいきません。

そしてその後、より美しい自然風景が撮影したいと考え、キャンピングカーを購入しました。キャンピングカーでエゾシカをはねたら、前回以上に深刻な事故になると思っていた筆者に知人が紹介してくれたのが「新型鹿ソニック」です。

「新型鹿ソニック」は、人間には聞こえない高周波音で、動物を忌避する仕組みだといいます。本当に効くの? と思うのは筆者だけではないでしょう。

今年2020年8月に発売された「新型鹿ソニック」。写真はスピーカーユニットがひとつ付属するRK004です。価格は26,000円税別、取り付け費用別になります。

価格は?本当に効果はあるの?

12kHz〜30kHzの高周波音を4パターンで発生する「新型鹿ソニック」。クルマの前面に取り付けるとふたつのスピーカーから、左右約50度、合計約100度の角度で最大約80m先まで高周波音を照射し、シカはもちろん、イノシシや小動物、鳥にも忌避効果があるといいます。

実際にシカをはねて、普通乗用車で30万円以上の修理費を払ったことがある筆者にとっては、本体価格26,000円+取り付け費用4,500円〜(車種によって異なる)は決して高くはありません。

本当に効果があるのか? この点だけが筆者の疑問です。

そこで、T.M.WORKSが製造する新型鹿ソニックの北海道での販売を担当する(株)マツクラの松倉拓郎さんに、率直に疑問をぶつけてみました。

松倉さんは、資料を確認しながら丁寧に質問に答えてくれました。現在もご自身のクルマでも実証実験を続けているといいます。

野生のエゾシカが逃げていった

単純かつ、最大の疑問は、鹿ソニックから出る高周波音で、野生動物たちが逃げてくれるのかです。

これについては実際に、開発・製造を行っているT.M.WORKSさんでもクルマに搭載し、実証実験を行っています。そして松倉さんも自身のクルマに装備してエゾシカの多い場所を意図的に走行しているといいます。

路上でシカと遭遇すると、シカが「鹿ソニック」を搭載したクルマに耳をそばだて、逃げていくのを何度も目撃しているそうです。

以前から従来型(青丸のなかのもの)を装着していた松倉さんのクルマですが、現在は赤丸のなかの新型を取り付け、さらに実証実験を行っているそうです。

ですが、路上でたまたま出会ったシカだけでは、効果を実証するには弱いのではないでしょうか。

JR東日本でも採用されている

そこで、鹿ソニックは2018年から、開発元であるT.M.WORKSがある山梨や、現在の静岡県代理店であるVillage.lab畠山の協力で、静岡伊豆地方の農地、さらには北海道の代理店であるマツクラにより北海道の農地でも、車載に使用している鹿ソニックとまったく同じ装置で害獣の忌避効果を実証実験しているといいます。これらの実証実験は、農地だけでなく、富士急行線の路線やキャンプ場、ゴルフ場などでも害獣の忌避効果を検証しており、実際の効果が認められているといいます。

これらの実証実験や設置実績が認められて、従来型の鹿ソニックの実証実験などの結果をフィードバックした「新型鹿ソニック」は、2020年11月にJR東日本の中央線、大月〜勝沼間への設置が決定しているそうです。

数年に渡る実証実験の結果、JR東日本でも使用されるほどの実績を積み上げた「新型鹿ソニック」、間違いなく効果が期待できるでしょう。

富士急行線に設置された鹿ソニック。鹿ソニック導入以前に比べて複合的な理由はあるが野生動物による事故は減っているといいます。

キャンピングカーに「鹿ソニック」を取り付けた

乗用車だけでなく、公共交通機関や農地、施設などでも効果が確認されているという「新型鹿ソニック」。北海道の山道などで、いつシカが出てくるかとビクビクしながら運転している筆者は、装着を決断しました。

購入した「新型鹿ソニック」。価格は26,000円(税別)です。筆者は自分で取り付ける自信がなかったので、別料金で取り付けも行ってもらいました。

キャンピングカー「ヨセミテ・スポーツ」に装着

鹿ソニックは北海道内なら、「GR Garage 札幌厚別通」、「新千歳モーターランド」で購入・取り付けができるそうです。今回は新千歳モーターランドさんで、筆者のトヨタ・カムロードベースのキャンピングカー「ヨセミテ スポーツ」に取り付けてもらいました。

鹿ソニック自体の在庫や、取り付け作業の予約などがあるので、事前に連絡をしておくとスムーズに購入、取り付けができるそうです。

取り付けに掛かる時間は、車種にもよりますが45分程度、取り付け料金は4,500円〜になっています。筆者のキャンピングカーへの取り付け料金は4,500円で、予約していたため取り付け作業時間は30分程度でした。

また、普段から自分のクルマをいじるのが趣味という方なら、自分で取り付けるのも可能だといいます。筆者には、ちょっと難しいと感じましたが、鹿ソニックの箱のなかには詳細な取り付け説明書も同梱されていました。

新型鹿ソニックのパッケージの中身です。写真には写っていないですが、取り付けのための説明書なども同梱されています。

設置位置を選べばクルマの外観の変化はほぼない

新型鹿ソニックはスピーカーユニット部分と本体が別になっているので、設置位置の自由度が高いのも特徴です。筆者はクルマの外観が変わるのは嫌なのでフロントグリルの裏に目立たないよう設置してもらいました。

フロントグリルの裏側に設置した新型鹿ソニックのスピーカーユニットです。ユニットが軽量なので、設置する位置の自由度は高くなっています。

フロントグリルの裏側にタイラップを使って新型鹿ソニックを装着しています。ちょっと離れると、ほとんど目立ちません。

シカ対策なら「パターン3」がおすすめ

新型鹿ソニックは、12kHz〜30kHzの高周波音を4パターンで切り替えられます。パターン1は主に鳥に有効、パターン2は主に鳥と小動物に有効、パターン3は主にシカ、イノシシ、小動物に有効、パターン4は主にシカ、イノシシ、小動物に有効です。

なお、松倉さんによる最新情報だと、シカとの接触事故を恐れているなら、パターン3がおすすめだといいます。当然、筆者のキャンピングカーは、パターン3で設定してもらいました。設置後は、エンジンのオンオフに連動して、動作するので特別な操作はいりません。

また、鹿ソニックに近づき耳を澄ますと、筆者にはわずかな動作音が聞こえました。これには個人差があるそうです。

まとめ

エゾシカの飛び出し対策におすすめ

シカなどの野生動物との接触事故は、筆者の場合30万円を越える修理費、保険料のアップといった金銭的なダメージがありました。しかし、それ以上の事故の際に感じた、明らかに生きものをはねた独特の感触は2度と味わいたくありません。

そのリスクを軽減してくれるというだけでも、新型鹿ソニックを導入した価値はあると思っています。残念ながら、野生動物との衝突事故は年々増加傾向にあるそうです。

交通事故による野生動物のロードキルの防止はもちろん、高周波音で害獣を忌避する鹿ソニックは、動物を傷つけることなく避けることができるのが大きなメリットといえるでしょう。また、野生動物を傷つけることなく、忌避できる新型鹿ソニックを北海道でさらに普及するため、販売や取り付けを行ってくれる店舗などもマツクラさんでは募集しているそうです。

野生動物の多く出没する地域を走る方は、ぜひ導入を検討してみてはどうでしょうか。

お問い合わせ先

◆北海道内での鹿ソニックのお問い合わせ(施設設置を含む)
株式会社マツクラ

◆北海道内での鹿ソニックの購入・車載のお問い合わせ
GRGarage 札幌厚別通
新千歳モーターランド

◆北海道以外からの鹿ソニックへのお問い合わせ
T.M.WORKS

スポンサーリンク
防災知識ハンドメイド・DIYスポーツ・アウトドア
シェアする
齋藤千歳(フォトグラファーライター)

元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在はキャンピングカーを「方丈号」と名付け、約9㎡の仕事部屋として、車内で撮影や執筆・レビューなどを行っている。北海道の美しい風景や魅力を発信できればと活動中。

齋藤千歳(フォトグラファーライター)をフォローする
特選街web

PR

【ドライブ中に純正ナビでテレビ視聴!】データシステム・テレビキットシリーズから最新車種対応のカー用品『TTV443』が登場!
長時間のドライブで同乗者に快適な時間を過ごしてもらうには、車内でテレビや動画を視聴できるエンタメ機能が欠かせない。しかし、純正のカーナビは、走行中にテレビの視聴やナビ操作ができないように機能制限がかけられているのがデフォルト……。そんな純正...

PRガジェット