特別な資材がなくても花壇を簡単に手づくりすることができます。また、はじめての花壇づくりに役立つQ&Aもご紹介します。水やり、花がら摘み、土や肥料、植え替えの回数、手間をかけずにセンスアップするコツ、植える草花の種類、草花の配置についても紹介しています。【解説】戸倉多未子(ガーデナー)
著者のプロフィール
戸倉多未子(とくら・たみこ)
有限会社グレイスオブガーデン代表。ガーデナー。暮らしを豊かにする緑の庭づくりをモットーに、小さな庭からエクステリア、ガーデンリフォームまでオリジナルガーデンを手がける。化学肥料に頼らない、自然の恵みを生かした庭づくりを得意としている。ガーデニング講師歴30年、ガーデニング関連の雑誌などでも活躍中。
▼グレイスオブガーデン(公式サイト)
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本稿は『小さな庭のつくり方』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。
お手軽花壇のつくり方
家庭用の花壇なら、固定用のセメントなど、特別な資材がなくても簡単に手づくりすることができます。「ここに花壇があったらいいな」というスペースにつくってみましょう!
用意するもの
- レンガ
* ここでは耐火レンガ(縦22×横10×高さ6cm)を36個 - 不織布シート
- 土
- マルチング材
(1)花壇をつくる場所を決め、花壇のサイズと形に合わせて1段めのレンガを並べる。表面が土の場合は、土を平らにならす。デコボコしがちなときは川砂をまいてもよい。
(2)レンガを1段めにならって、計3段積み重ねる。今回は、2段めは白色のレンガにしてアクセントにした。また、どの角度からも見える四方見の花壇なので、長方形に囲った。
(3)不織布シートを花壇の内側に敷く。透水性のものならばOK。水やりをしたときに土がこぼれないようにするため。
(4)花壇に土を入れる。市販の培養土でもよい。
(5)花壇に植物を植える。四方見の花壇の場合は、中央に背の高い植物、花壇の縁に低めのものを入れるとバランスがよい。最初に中心になる背の高い植物を並べて植える。
(6)苗はポットからそっとはずし、花壇の土になじむように根の部分を少しだけ、やさしくほぐす。また、根元の茶色く傷んでいる葉などはあらかじめ切っておき、風通しをよくしてから植える。
(7)だいたいの植栽が済んだら、(3)の不織布の余分な部分はカットし、はみ出している縁を花壇の内側に入れ込む。
(8)仕上げに土を覆う「マルチング」をするとなおよい(ここでは木製のチップ・ベラボンを使用)。土をマルチング材で覆うことで、泥や、虫が卵を産むのを防ぐ。ただし、ダンゴムシがつくこともあるので注意。
最後に花壇全体にたっぷりと水をやる。
カーブをつけた花壇も素敵
レンガの積み方次第でカーブ型の花壇もつくれます。花壇の奥行と左右の幅を決めたら、中心のレンガを置き、そこから左右に少しずつ角度をつけながら並べてカーブをつけると置きやすいでしょう。
はじめての花壇づくりQ&A
Q 草花が元気に育つ花壇のお手入れのコツは?
次のお手入れを心がけると、草花が元気に育ちます。切り戻しも忘れずに。
水やり
水やりは、植えつけ直後の株が根づくまでの間や雨の少ないときに行えばOKです。土が乾いたら、たっぷりと水を与えましょう。
花がら摘み
花がたくさん咲く花壇では、花がら摘みは欠かせません。咲き終わった花をそのままにしておくと、病気や花つきが悪くなる原因になります。元気がなくなってきたら、摘みとってしまいましょう。
観察
お手入れでいちばん大切なことは、よく草花を観察することです。虫がいたらすぐに見つけてとったり、しおれていれば水やりをしたりできます。葉が黄色く変色していたら肥料切れかもしれません。そんなふうに観察していれば、何ごとも早めの対応ができて、花壇を美しく保つことができるでしょう。
土や肥料
最初の植えつけ時にしっかりとした土を入れるのが大切。そのうえで、植え替えの際にかたく締まった土は軽くほぐして、緩効性の肥料を混ぜたり、花つきがよく、花期が長い草花には、液肥の追肥を2週間に1回程度やるようにします。
植え替えの回数を最小限にしたいのですが?
花期の異なる多年草を組み合わせて入れたうえで、季節感を表現するための花つきのよい一年草を、5~6月頃と10月頃に入れ替える方法をおすすめします。5~6月は、春咲き終わった一年草を、夏から秋にかけて咲く一年草に入れ替える作業を行います。10月頃からは、翌年の春に向けた球根や苗が多様に出そろいます。球根では原種のチューリップ、パンジーやビオラの苗もしっかり育って美しい春の花壇になるでしょう。
手間をかけずにセンスアップするコツは?
植える草花の種類について
かつては定番の花壇といえば、2~3種類の花を規則的に並べるというものでした。それだと、単調になってしまううえに、いったん花期が終わればすべて植え替える手間もかかります。自然な花姿を四季の移ろいとともに楽しめるのが、多年草と一年草を組み合わせる花壇です。寄せ植えの感覚で、いろいろな種類の植物を入れてみてください。花色も葉の形や色も異なる草花が集まる、ナチュラルで表情豊かな花壇になります。
草花の配置について
同じ高さで並べると、いくら植物を変えても平坦でつまらない印象の花壇になってしまいます。後ろが壁になる三方見の花壇なら、後ろに草丈の高い植物を入れ、花壇の手前に向かって低くなるように。縁あたりには大きく広がる植物を植えると、小さな花壇でも立体感が生まれます。また、前後左右から見る四方見の花壇の場合は、中央を高く周囲の縁に向かって低く、山なりのシルエットを意識すると上手にまとまるでしょう。
四方見の花壇の中心に、いちばん背の高いクラスペディアを配置し、縁に向かって低くなる山なりのシルエット。このすき間を埋めるように植えていきます。
高低差をつけた配置がコツ。植え込む前にポットに入れた状態で、花壇に並べてみてバランスを確認するとよいでしょう。
なお、本稿は『小さな庭のつくり方』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。下記の本は、知りたい情報の全文がコンパクトにまとまった一冊です。詳しくは以下のリンクをご参照ください。
※(8)「小さな庭はDIYでどこまで?(費用の目安)」はこちら