私は、これまでに、のべ12万人の足をケアしてきました。そして、普段はあまりのばさない“足の甲”をのばすだけで、足の甲がほぐれるだけでなく、 足指や足全体の骨、関節、筋肉の配列のすべてが整うことを突き止めました。そのセルフケア法として確立したのが、「足の甲のばし」です。
今回は、そのやり方と、足元が機能する「正しい靴の履き方・脱ぎ方」「正しい靴下の履き方」も紹介します。全身の痛みやコリは、足元を整えれば取り除けます。ぜひ、今日からお試しください。【解説】伊藤勇矢(いとう鍼灸整骨院院長)

執筆者のプロフィール

画像: 執筆者のプロフィール

伊藤勇矢(いとう ゆうや)

いとう鍼灸整骨院院長。柔道整復師。鍼灸師。世界最高峰のトレイルランニング大会「ウルトラ・トレイル・デュ・モンブラン(UTMB)」日本人初のメディカルトレーナーとして、2017年から3年連続参加。柔道の名門校で稽古に明け暮れた高校2年生の春、ひざの内側側副靭帯と後十字靭帯を断裂する大ケガを負うも、治療院による施術と懸命なリハビリによって驚異的な回復を見せ、半年後の大会で優勝。この経験から治療家としての道を本格的に志し、柔道整復師と鍼灸師の国家資格を取得。治療院で研鑽を積ん だ後、2012年、神戸市内にいとう鍼灸整骨院を開業。現在、国内外にクライアントを抱え、神戸と東京を拠点に活動中。体の根幹である「姿勢」に着目し、姿勢を改善させるための治療とトレーニングを提供している。また、治療方針である「治療からの卒業」に導くため、院内に留まらず、教育現場や地域の健康セミナーで、身体と意識を変えるセルフケアの指導にも力を入れている。
▼いとう鍼灸整骨院(公式サイト)

※この記事は書籍『1日1分で痛みが消える! 足の甲のばし』(マキノ出版)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。

「体の土台」である足元のくずれが全身の痛み・コリの元凶

「いつも腰に重だるい感覚がある」
「少し歩いただけで足のつけ根が痛くなる」
「階段の上り下りでひざが痛む」
「外反母趾でまともに歩けない」

私が神戸市内で開業している治療院には、このような、慢性的な痛みや不具合に悩む患者さんが多く訪れます。
痛みを訴えるのは、やはり中高年の人が多く、ご自身でも、「加齢によって各部位にガタが出てきた」と捉えがちです。しかし、最近では、若い世代や子どもたちでさえ、慢性的なひざや腰の痛みを訴えるようになっています。

私は、不良姿勢に着目した「姿勢改善メソッド」をもとに、足首から下の「足」にアプローチした治療や指導を行っています。また、毎年、フランスで行われるトレイルランニングレース「ウルトラ・トレイル・デュ・モンブラン(UTMB)」で、2017~19年の3回、メディカルトレーナーを務めました。その現場でも、多くの選手たちの足をケアしてきました。

さて、前述のようなしつこい痛みやコリ、不具合は、加齢や症状がある患部ではなく、「姿勢のゆがみ」が原因です。そして、その原因は、「足の構造のくずれ」にあると考えます。

足は、私たちの体の中で唯一、地面と接している部位です。
足には 26個の骨(種子骨を除く)があります。これらは、靱帯や関節、筋肉でつながっています。この構造が正常に維持されれば、指が地面をしっかりとつかみ、地面からの衝撃を吸収・分散でき、バランスを取ることができます。

ところが、 足指が地面から離れた「浮き指」の状態になると、バランスを保とうと、足より上の骨がゆがみ、靱帯や筋肉が緊張して硬くなります。
そして、靱帯や筋肉が硬くなって骨の配列が少しでもずれると、足指が十分に働かなくなり、足の構造がくずれます。すると、歩いたり走ったりしたときの衝撃がひざや股関節、腰など、足より上にある関節に直接伝わります。

こうして、私たちの体の土台である足元がくずれることで、土台に乗っている体の各部位に、痛みやコリ、不具合が現れるのです。

画像: 体の土台となる足元がくずれると、全身がゆがんでいく イラスト/石玉サコ

体の土台となる足元がくずれると、全身がゆがんでいく

イラスト/石玉サコ

私は、これまでに12万人の足をケアして、気づいたことがあります。
それは、扁平足や外反母趾など、足に問題を抱えている人や、足から上に痛みやコリ、不具合がある人のほとんどが浮き指で、「足の甲」が硬くなっている、ということです。

そこで私は、足の甲に着目し、実際に患者さんの治療・指導をしながら、浮き指を解消し、足を「整える」「安定させる」「動かす」ための試行錯誤をくり返しました。
その結果、普段はあまりのばさない足の甲をのばすだけで、足の甲がほぐれて、 足指や足全体の骨、関節、筋肉の配列のすべてが整うことを突き止めました。
そのセルフケア法として確立したのが、「足の甲のばし」なのです。

骨や筋肉が正しい位置に戻れば、足指も地面に着くようになり、浮き指がなくなります。そして、足指が使えるようになると、くずれていたアーチも修復されて、本来の足の構造に戻ります。
こうして、土台が安定するうえ、衝撃も吸収・分散できるので、ひざや股関節、腰など、足からの上の負荷が減っていくのです。

一生歩ける土台をつくる「足の甲のばし」のやり方

では、「足の甲のばし」のやり方を紹介しましょう。

「足の甲のばし」は、 基本的に、イスに座って行います。足指を曲げて足を立てて、足の甲を前方と小指側にそれぞれ押し出して、足指からすねまでをのばします。
2方向に押し出すのは、のばしたときに刺激される筋肉が異なるためです。

なお、基本のやり方が痛い人は、手を使ってのばす方法から始めてください。

【足の甲のばしのやり方(基本編)】

①イスに座り、左足の指を曲げて足を床に立てる。

画像: 【足の甲のばしのやり方(基本編)】

②左足の甲を前方に向けて10秒間、ゆっくりと押し出す。

画像: ◆ポイント◆5本の指と足の甲全体、すねの前側がのびることを感じればOK。その際、足指を強く床に押しつけないこと。

◆ポイント◆5本の指と足の甲全体、すねの前側がのびることを感じればOK。その際、足指を強く床に押しつけないこと。

③ひざを少し開き、左足の甲を小指側に倒すように10秒間、ゆっくりと押し出す。

画像: ◆ポイント◆薬指、小指、足の甲の外側、すねの外側がのびることを感じればOK。その際、足指を強く床に押しつけないこと。

◆ポイント◆薬指、小指、足の甲の外側、すねの外側がのびることを感じればOK。その際、足指を強く床に押しつけないこと。

①~③を右足にも行う。1日に何回行ってもよい。

注意点

● 足指が痛い場合は、ラグやマット、座布団の上で行うとよい。
● 足指や足首が激しく痛んだり足がつったりした場合は、すぐに中止すること。

画像: 注意点

【手を使った足の甲のばしのやり方】

①イスに座り、左足の裏が体のほうに向くように左足を右ひざの上に乗せる。

画像1: 【手を使った足の甲のばしのやり方】

②左足の足首を左手で固定し、右手で足指全体を包むように持って体側に引き、足の甲全体を10 秒のばす。次に、右手で左足の薬指と小指を包むように持って体側に引き、足の甲の小指側を10秒のばす。

画像2: 【手を使った足の甲のばしのやり方】

①~②を右足にも行う。1日に何回行ってもよい。

注意点

足指や足首が激しく痛んだり足がつったりした場合は、すぐに中止すること。

足をフィットさせる「正しい靴の履き方・脱ぎ方」

スキーブーツの履き方はお店で教わるかもしれませんが、そのような特殊な靴以外で、靴の履き方を習った人は、ほとんどいないでしょう。デザインを気に入り、足型に合った靴と巡り合っても、履き方と脱ぎ方が悪いと、足元はくずれてしまいます。
そこで、スニーカーを例に、靴の機能が損なわない、基本的な履き方と脱ぎ方のポイントを紹介しましょう。
このような靴の使い方は、つっかけの履き方に慣れ親しんだ日本人にとって面倒かもしれません。しかし、靴の中で指が使えるようになり、足取りも軽くなるので、ぜひ実践してみてください。

【靴の正しい履き方と脱ぎ方】

≪履き方≫

①ひもを緩めた状態で足を入れ、かかとをヒールカップと合わせる。

画像1: ≪履き方≫

② 足先から順番に靴ひもをきつめに締め、いちばん上の穴の内側からひもを通す。 次に、その外側の穴に外からひもを通し、小さな輪を作る。

画像2: ≪履き方≫

③反対側も輪を作り、各輪の中に 反対側のひもを内から通す。

画像3: ≪履き方≫

④両方のひもを同時に引っ張って 足首部分を締め、ひもが緩まないように蝶結びにする。

画像4: ≪履き方≫

履くときは、指先のほうまでひもを緩めておきましょう。そして、履いたらつま先ではなく、かかとを「トントン」として、かかとと靴のヒールカップを合わせます。
次に、フィットさせたかかとがずれないよう、つま先を上げたまま、ひもを結んでいきます。締める強さは、足の甲が圧を感じ、固められている感覚が得られればOKです。
 なお、靴に付属しているひもは、その靴を正しく使うことを考えた長さになっています。足首や足の甲をしっかりフィットさせるためにある物なので、最後の穴までひもを通して結びましょう。

≪脱ぎ方≫

①結び目を解き、タン(足の甲に当たる布の部分)を立てて開口部を広げる。

画像1: ≪脱ぎ方≫

②足先のほうへとひもを緩める。

画像2: ≪脱ぎ方≫

③靴のかかと部分を持ち、靴をず らしてかかとを抜く。

画像3: ≪脱ぎ方≫

④開口部から足を抜く。

画像4: ≪脱ぎ方≫

…ひもの結び目は、一つひとつ、足先のほうまで緩めます。面倒かもしれませんが、次に履くときは、再びきちんと締める必要があるので、しっかり緩めておきましょう。
そして、脱ぐときは、かかとから脱ぎます。足を抜くのではなく、靴をずらすようにしてかかとを抜くとよいでしょう。 そして、足を抜いていきます。
このように脱げば靴のヒール部分が削れにくくなり、靴の寿命ものびます。

足指の自由度が上がる「正しい靴下の履き方」

さらに、足元を整える靴下についても解説しましょう。
足のことを考えると、私は5本指タイプをお勧めします。
5本の指が独立しているので、靴の中でも足指を動かしやすい特長があります。そして、足指が使えることで、「足の甲のばし」で整えた足元がくずれ にくくなる効果があります。
 なお、素材によっては靴の中で滑るので、靴と足の接着剤として役目を果たしてくれる滑り止めつきの5本指タイプがあれば理想的です。
 
ちなみに、一般的な袋型の靴下でも、履き方をひと工夫するだけで、足指の機能が高まります。5本指タイプの靴下がない場合の代案として、ご紹介しましょう。

【正しい靴下の履き方】

①つま先から足を入れ、足首まで靴下を引っ張る。

画像1: 【正しい靴下の履き方】

②靴下の親指と小指部分をつまんで引っ張り、足指の半分程度まで余裕を持たせる。

画像2: 【正しい靴下の履き方】

…このひと手間を加えるだけでも足指が開くようになり、動かしやすくなります。転倒防止対策にもなるので、5本指タイプの靴下がない場合は、ぜひ試してください。

1日1分、その場でのばしてみよう!

「足の甲のばし」は、広い場所も道具も必要ありません。1日1分からでいいので、すき間の時間を見つけて、足と向き合うだけでいいのです。
ぜひ皆さんも「足の甲のばし」を毎日行い、地に〝足指〟を着けて、一生スタスタ歩ける足をつくり、全身の痛みから解放されましょう!

※この記事は『1日1分で痛みが消える! 足の甲のばし』』(マキノ出版)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。詳しくは、以下のリンクからご覧ください。

画像: 12万人の足をケアした治療家が考案「足の甲のばし」のやり方
一生歩ける土台をつくる!
1日1分で痛みが消える!
足の甲のばし
著者
伊藤勇矢(いとう鍼灸整骨院院長)
▼12万人の足をケアした治療家が考案した、両足1分でできる簡単ストレッチ「足の甲のばし」▼座っていても立っていても、いつでもどこでもできます。▼本書では、「足の甲のばし」のやり方をはじめ、「足の甲のばし」を続けてひざ痛、腰痛、股関節、外反母趾から解放された体験談も収載!▼運動嫌いな人でも簡単に続けられる足のストレッチで、一生スタスタ歩ける土台をつくりましょう!

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