有名人の偽アカウントが出現することは、ツイッターだけでなく、ほかのSNSでも頻繁に起こることで、さして珍しくない。だが偽アカウントがより危険なのは、ツイッター社が認定する「公式マーク」が付いていること。よく見れば、IDは本人のものとは異なっているが、だまされる人が多い。
毎日のように起こるネットがらみの事件。注目の事例を紹介するとともに、その対策も解説していこう。
■解説者のプロフィール
福多利夫(ふくた・としお)
デジタル関連のフリーライター。インターネット以前のパソコン通信時代からのネット民。家電製品協会認定の家電総合アドバイザーでもある。
あなたもねらわれている!?
ネットの“アブない”事件簿
2020年10月、ツイッターに人気ユーチューバーのヒカルさんを名乗る偽アカウントが出現。「フォローRTした全員に10万円配ります」と投稿した。有名人の偽アカウントが出現することは、ツイッターだけでなく、ほかのSNSでも頻繁に起こることで、さして珍しくない。今回の偽アカウントがより危険なのは、ツイッター社が認定する「公式マーク」が付いていたことにある。よく見れば、IDは本人のものとは異なっているが、だまされる人が多かった。
◾️ユーチューバーのアカウントが乗っ取られた!
公式マークとは、正式には「認証済みバッジ」といい、同社が有名人本人であることを認定したアカウントに付く。現在、ユーザーからの要請は受け付けておらず、同社が独自に認定している。
その後も”偽ヒカル”が現れているが、使っていたIDの一つは、もともと海外のサッカー選手のものであることが判明。この選手がツイッターの規約に反してIDを売り、それを悪意のある人間が手にしたようだ。
ツイッターは、IDを維持したままアカウント名を変えることができるため、このような事態が発生したわけだ。執筆時点で金銭的被害はないようだが、10万円の振込先として個人情報を盗まれる可能性は十分にある。そこから別の事件に巻き込まれるおそれもあるので、偽アカウントには注意が必要だ。
処方箋
SNSの偽アカウント出現は、後を絶たない。アカウントの売買が行われていることを認識し、有名人のアカウント名だけで本人と信じずに、IDも確認しよう。公式サイトや別のSNSのプロフィール欄を読むなどして、本物のアカウント名やIDを確認することを怠らないこと。
今回のネットのアブない事件簿
「 フォローするだけで10万円!?」
ツイッターで、ある有名ユーチューバーが「フォローRTした全員に10万円配ります」と投稿。しかし、このアカウントは実は偽物。アカウントに「公式マーク」が付いていたため、従来の偽アカウントよりも、投稿を信じてフォローやRT(リツイート)をした人が多かった。プライバシーの漏洩が危惧される。
■解説/福多利夫
■イラスト/早川修