野菜づくりは、まず入念な土づくりからスタートします。タネまきや苗の植えつけの直前に土づくりをするわけではないということです。野菜が植えられるようになるまで、3週間はかかります。【解説】加藤正明(東京都指導農業士)

執筆者のプロフィール

画像: 執筆者のプロフィール

加藤正明(かとう・まさあき)

東京都練馬区農業体験農園「百匁の里」園主。東京都指導農業士。日本野菜ソムリエ協会ジュニア野菜ソムリエ。34歳まで民間企業に勤務したのち、家業の農業を継ぐ。2005年に「百匁の里」を開園、野菜づくりのノウハウからおいしい食べかたまで伝授している。野菜ソムリエ協会主催の第2回ベジタブルサミット枝豆部門で最高得点を得て入賞。NHK趣味の園芸「やさいの時間」では、番組開始時より栽培管理と講師を務める。著書に『加藤流 絶品野菜づくり』(万来舎)がある。
▼百匁の里(公式サイト)
▼やさいの時間(みんなの趣味の園芸)
▼専門分野と研究論文(CiNii)

本稿は『達人が教える!農家直伝 おいしい野菜づくり』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。

畑の準備

野菜づくりは、まず土づくりからスタート。野菜が植えられるようになるまで、3週間はかかります。

数週間かけて有機質に富んだ土をつくる

野菜を育てるには、入念な土づくりからスタートします。まず知っておきたいのは、タネまきや苗の植えつけの直前に、土づくりをして畝を立てるわけではないということです。少なくとも、その2〜3週間前にスタートする必要があります。

土をやわらかく耕したり、酸度の調整のために苦土石灰をすきこんだり、堆肥などを施したりして、時間をかけて分解させます。数週間おくことで、微生物の働きで分解が進み、通気性・排水性のよい、ふかふかとした団粒構造の土になります。

畑の準備のおおまかな流れは、次のようになります。

土づくりからタネまき、
植えつけまでの流れ

タネまき、植えつけの2〜3週間前
①土起こしをする

土をていねいに耕します。

画像: タネまき、植えつけの2〜3週間前 ①土起こしをする

タネまき、植えつけの2〜3週間前
②酸度調整をする

酸度を調べ、酸性が強いなら苦土石灰をまきます。

画像: タネまき、植えつけの2〜3週間前 ②酸度調整をする

土づくり完了! & 栽培スタート

タネまき、植えつけの1〜2週間前
③元肥を施す

育てる野菜にあわせて堆肥や肥料をまきます。

画像: タネまき、植えつけの1〜2週間前 ③元肥を施す

④畝を立てる マルチを張る

育てる野菜にあわせて畝を立て、必要ならマルチフィルムを張ります。

画像1: ④畝を立てる マルチを張る
画像2: ④畝を立てる マルチを張る

⑤タネまきまたは植えつけ

育てる野菜にあわせてタネをまくか、苗を植えつけます。

画像1: ⑤タネまきまたは植えつけ
画像2: ⑤タネまきまたは植えつけ

土起こしをする

かたい土を掘り起こして、栽培に向くやわらかな土にすることが「土起こし」。畝より広い範囲を起こします。

①剣先スコップで、深さ30〜40㎝ほど土を掘り起こす。かたいところはスコップの上に足の土踏まずを置いて、体重をかけて土に刃を入れるとよい。

画像1: 土起こしをする

②土のかたまりを、足で踏んで細かくほぐす。

画像2: 土起こしをする

③土がやわらかくなるまでクワでていねいに耕す。

画像3: 土起こしをする

④土がやわらかくなったら土起こし終了。このあと酸度調整を行う。

画像4: 土起こしをする

冬に行う 寒起こし

冬からスタートする場合、寒気にさらして土をリフレッシュさせる「寒起こし」を行うとよいでしょう。1月中旬の最も寒いころに行うのが最適です。

まず、米ぬかを1㎡あたり1ℓを目安に、全体に均等にまきます。

地表から約30㎝の深さまでスコップを入れて掘り返し、深いところにあった土を表にさらします。すると夜に気温が下がって寒気にさらされ、地中の病害虫が死滅する効果が得られます。かたくなってゴロゴロとしていた土のかたまりも、夜間に寒さで表面が凍り、日中溶けることを繰り返すことで、徐々にくずれます。そのまま1カ月ほど寒気にさらせば完了。その後、畑として1年間使ったら、また寒起こしを行いましょう。

クワの使いかた

土起こしをはじめ、畑仕事にはクワが不可欠。正しい使いかたで効率よく作業しましょう。

基本の構え

クワは利き手で柄の真ん中よりやや上を持ち、反対の手で柄の先端を握る。利き手側の足を半歩ほど前に出し、反対側の肩を後ろへ引く。クワを体の前でまっすぐ持つとクワが体から離れて腰がひけ、うまく操れない。

画像: 肩を引いて構える

肩を引いて構える

画像: 体の前で構えるとへっぴり腰に

体の前で構えるとへっぴり腰に

基本の耕しかた

膝の高さくらいまで刃を上げ、刃の重さを使って自然に落とすイメージ。刃を高く振り上げると、刃を入れる位置に命中しづらくなるうえ、ほかに当たる可能性が高く危険。

画像: 後ろの足は横向きに

後ろの足は横向きに

画像: 振り上げすぎ

振り上げすぎ

重要!
後退しながら耕す

前に進むと、せっかく耕した土を踏みつぶしてしまうことになる。クワは、基本的には後退しながら使う。

画像: 重要! 後退しながら耕す

かたい土を起こす

①クワの刃を横にして入れ、カンナで削るイメージで、少しずつ掘り起こす。

画像1: かたい土を起こす

②クワの刃の幅で何度も削って掘り起こしたら、すぐ横の土を同様に起こしていく。

画像2: かたい土を起こす

やわらかい土を耕す

クワの刃を斜めに入れて土をすくい上げ、その場に落とす。これを数回繰り返し、位置を移動する。

画像1: やわらかい土を耕す
画像2: やわらかい土を耕す

肥料などを混ぜる

やわらかい土の耕しかたと同じ要領で、クワの刃で土をすくい上げてその場に落とす。同じ場所に落とすことが重要。下の写真のように引っ張ると、まいた肥料などが片寄り、一部のみ生育がよくなったり、または悪くなったりする。

画像: 肥料などを混ぜる

土をならす

クワを横にし、刃の側面を使って手前に引くと、ある程度、平らにすることができる。

画像: 土をならす

土を削る

刃先を軽く当てて土を削りとる。おもに畝を成形するときに用いる。

画像: 土を削る

なお、本稿は『達人が教える!農家直伝 おいしい野菜づくり』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

画像: 【野菜栽培】家庭菜園の土作り 畑の準備と土作りの順番 鍬の使い方も初心者向けに解説
達人が教える!農家直伝 おいしい野菜づくり
¥4,335
2020-12-22 9:44

※④「野菜づくりの道具を揃えよう」の記事もご覧ください。

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