小さな庭の草花は季節の移ろいに合わせて、表情をくるくると変えていきます。季節の恵みをより実感できるような植物を選んで、ローテーションをしましょう。【解説】戸倉多未子(ガーデナー)
著者のプロフィール
戸倉多未子(とくら・たみこ)
有限会社グレイスオブガーデン代表。ガーデナー。暮らしを豊かにする緑の庭づくりをモットーに、小さな庭からエクステリア、ガーデンリフォームまでオリジナルガーデンを手がける。化学肥料に頼らない、自然の恵みを生かした庭づくりを得意としている。ガーデニング講師歴30年、ガーデニング関連の雑誌などでも活躍中。
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本稿は『小さな庭のつくり方』(永岡書店)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
イラスト/あらいのりこ
草花で彩る小さな庭の春夏秋冬
小さな庭の草花は季節の移ろいに合わせて、表情をくるくると変えていきます。季節の恵みをより実感できるような植物を選んで、ローテーションをしましょう。
季節の恵みを庭からいただきましょう
春
一気に芽吹く草花に生命力を実感する季節
早春の庭、前年の晩秋に植えておいたクリスマスローズが花咲き、原種のチューリップが蕾を膨らませ、春の芽吹きを知らせます。3月頃は同じく秋に植えたビオラ、パンジーが主役。
春が進むにつれて冬を越えて生長してきた宿根草の草丈が高くなる宿根リナリア、オルラヤ、ニゲル、ギリアなどの植物が、徐々に風にそよぎだし、バラが咲きはじめる4~5月初旬の庭はクライマックスを迎えます!
夏
梅雨までに夏越しの準備をしっかりと
5月末には、花期の終わったビオラ、パンジーを、秋まで花が楽しめる花期の長い植物に植え替えます。暑くなる前にしっかりと根を張らすこと。主役はルドベキア、ガイラルディア、ペンタス、トウガラシです。高温多湿に強い葉物のレックスベゴニア、カラジュームなど、花が少なくなる真夏はカラーリーフで華やぎを補います。庭の植物はジャングルのように旺盛に生長するので、様子を見ながら何回か切り戻しをし、整然とした庭づくりを心がけましょう。
秋
落ち着いた色合いの庭で秋バラがにわかに華やぐ
気温が落ち着くと、植物の発色も花もちもよくなります。秋はワインレッドをはじめ、シックな色合いの草花が増え、こっくりとした色合わせが楽しめる季節。存在感のあるセロシア、センニチコウ、ペニセタムが秋風にたなびく姿は風情を感じます。さらには、夏を乗り越えた草花たちが再び元気をとり戻します。トウガラシ ブラックパール、ダリア、セージが花をつけ、秋バラも春よりいっそう美しく長持ちして晩秋まで咲き続けるでしょう。
冬
静かに生命をはぐくむ冬時間は、春に向けた準備を
秋の草花の花期が終わる10月末から11月には、次の春に向けて球根の植えつけなどを行いましょう。春までの間少々さみしい冬の庭に色彩を与えてくれる植物も忘れずに。おすすめはネメシア、ビオラ、パンジーなど。カレンジュラも花つきよく寒さにも強くて丈夫、葉色が豊富なハボタンも真冬の庭の貴重品です。どれも霜の降りる前に植えておきましょう。寒さがいちだんと厳しくなる大寒の頃(1月)には、土に栄養を与えて、枯れた宿根草の葉や茎はあえてそのままで、寒さから株を守るようにします。
なお、本稿は『小さな庭のつくり方』(永岡書店)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。
※(4)-2「「日陰の花壇」」の記事もご覧ください。