コロナ禍で奮闘する飲食店から「業務用の空気清浄機のおすすめはないか」と尋ねられることがあります。業務用の空気清浄機はあるのですが、埋め込み型。後付けするのは困難です。一般家庭用の空気清浄機も畳数などの条件を満たせば、業務用として使用可能です。この記事では、コロナ禍の業務に適した家庭用空気清浄機の選び方をご紹介します。

空気清浄機の「業務用」と「家庭用」に違いはある

家電は「一般家庭用」と「業務用」に分かれます。先日レポートした「業務用ロボット掃除機」もそうです。目的は同じ「満足のいく掃除レベル」ですが、家庭と業務では、満足のいく状態が異なりますので、似ていても異なるものが出来ます。

さて、コロナ禍。外食先で、店主から「お勧めの空気清浄機ありませんか?」「業務用ってありますか?」とか聞かれます。多分、皆さんも「業務用っていう強力なのはないのか」と思われていると思います。

実は、空気清浄機に業務用はあるにはあるのですが、家庭用とは全く違います。

空気清浄は空調の一要素にすぎない

太古、人が文字を持たず、狩猟生活を営んだころ、実は空調という概念はできました。そう、寒さ、獣を避けるため、洞窟生活を営み始めた頃からです。原因は「火」です。洞窟内で火を使うということは、風通しの悪い、今風な言い方をすると寒気の悪い場所で、燃焼という大量に酸素を消費し、不完全燃焼による人間に害のある物質、すなわち煙を大量に出すことです。空気を汚しているのです。中には一酸化炭素中毒で一家全滅なども合ったようです。

そして、生まれたのが「換気」という概念です。生物は地球という環境で生きてきました。このため、生物は外気が不可欠です。このため汚れた空気を、外気と入れ替えます。換気のための空気穴。ここから、人の住居に不可欠な「空調」はスタートします。

そして今。空調は「二酸化炭素量 もしくは 酸素濃度」「温度」「湿度」「風(気流)」「浮遊粉じん物」「揮発性有機化合物」の6要素をコントロールすることが求められます。この中で、「温度」「湿度」「風」は、人がダイレクトに感じることができるため、「快感」という意味で、対価がスムーズに得られます。要するに「エアコン」「扇風機」は、必要空調家電として売れるということです。

しかし「二酸化炭素量」「浮遊粉じん物」「揮発性有機化合物」は、なかなか、その恩恵を感じられません。(冬の北京など「浮遊粉じん物」も感じられることもあります。)このため、同じ家電でも「換気扇」「空気清浄機」は、エアコン、扇風機に比べると、余り人気がありません。不要だという人もいるくらいです。

まず、コロナ禍でにわかに注目されている「空気清浄機」は、空調の一要素(正確には二要素「微小空中浮遊物」「揮発性有機化合物」)に対応するモノなのです。

業務用空調は埋め込み型

家電は、人に必要なモノですが、ほとんどの時間は使用されていません。使われる時間が長いのは、冷蔵庫(24時間)と照明(8時間)。エアコンがこれに続きます。(これは節電を考えるときに不可欠な3家電でもあります)

しかし、人間の住む空間は、家電売り場でも、家電置き場でもありません。家電はできる限り見えない方がベターです。テレビのようにダイレクトにその価値を知らせてくれる家電でないなら、尚更です。第一、そちらの方が部屋を広く使えます。

このため業務用空調は、基本「埋め込み型」となります。ここまで聞くと、会社のオフィスなどでピンと来る人が多いでしょう。天井裏の空気ダクトで外から新しい空気を取り込み、温度湿度を合わせ送り込みます。そして、最新のものはフィルターを掛けます。空気清浄というわけです。設計時より計画していないと業務用の空気清浄機は付けられません。

家庭用空気清浄機は、業務用としての能力を持っているのか?

では、一般市販の空気清浄機は、業務用としての能力を持っているのでしょうか?

答えはイエス。持っています。空気清浄機の基本原理は「ろ過」。フィルターに空気を通過させればいいのです。が、このために必要なのは、適用畳数が使いたい場所以上であることが最低条件です。また、令和の今、多くの空気清浄機は2つの試験結果を載せています。

アメリカで作られたAHAMのCADR(クリーンエア供給率。規格:ANSI/AHAM AC-1)。そして日本で作られたJEM1467です。

日本のテスト規格は、ある部屋をどの位の時間でキレイにできるかのテスト。その間、空気の入れ替えは考えられていません。一方、アメリカのCADRは、単位時間あたり、どの位空気をキレイにできるかのテスト。ドアを開けたり閉めたりが当たり前な、環境下を考慮したテストですから、こちらの方が業務用には合っています。

今のCADR値が高いものは、フィルター能力ギリギリと言われており、家庭用にせよ、一般用にせよ、今以上の能力の空気清浄機は中々作れそうになりません。

コロナ禍の業務に適した家庭用空気清浄機とは

さて、コロナウイルスは、今、主に使われているHEPAフィルターより小さいので、単独で浮遊しているときはフィルターで捕捉するのは、かなり難しいです。

対応する策は、大きく分けて2つ。1つは活性イオンを外に放出してウイルスを不活化することです。シャープのプラズマクラスター、パナソニックのナノイーがそれに当たります。

ただし、これは換気のためと称して、窓を開け放っている、ドアを開け放っている場合は、ほぼ聞きません。それは、活性イオンとウイルスとの出会いは確率だからです。密閉されたエリアだと動作させるとイオンの濃度は上がり、ある一定濃度まで高まります。多くの場合、その状態でウイルスが××時間で減少したと言っているのです。換気中、濃度は上がりませんので、活性イオンとウイルスが出会う確率は減るからです。イオン発生もタダではありません。電気料もかかりますし、イオン発生器には寿命があります。なんだか、虚しい感じです。

もう1つの策は、取り込んだ浮遊物を帯電させ、フィルターに吸着させることです。吸着の場合は、ろ過と違いサイズによりませんから、フィルターの目より細かい浮遊ウイルスも捕まえることができます。

こちらは、海外、国内の高級モデルからドンドン採用されています。高級機からなのは、その分、本体価格が高くなるからです。

フィルター寿命もすごく重要

家庭用空気清浄機を業務用で使う時、もう一つ重要なことがあります。それはフィルター寿命が長いことです。みんなHPEAフィルター並のものを使っているのでは、という考えもありますが、それはろ過という場合です。一部吸着になると、その分、長寿命化が期待できます。

面白いのは、ダイキンのストリーマーという技術。先ほど、イオンは「濃度」だという話をしましたが、それを空気清浄機内でしたらというのがダイキンの考え方です。

こうすることにより、ろ過物、付着物の一部分解が可能です。空気清浄機では、フィルター代をどう倹約するのかが、安く、長く使うポイントです。

今まで、空気清浄機を使っていない店の場合、電気代を含め、余分な経費になります。電気代の数千円ならまだしも、空気清浄機のフィルターは1万円以上。店の売り上げにもよりますが、実に嫌な経費です。

フィルター交換時も注意が必要

使用後の空気清浄機のフィルターは、非衛生です。交換時は有無を言わさず袋に入れ、しっかり封印して廃棄すべきでしょう。今、家庭ならともかく、公共の場だと、フィルターには生ウイルスがついている可能性すらあります。

フィルターを交換した生手を口に持っていく人もいないでしょうが、十分注意が必要です。

最後に

空調をきちんとするためには、家電ではなく、家自体を真剣に考えなければなりません。そうでないとバランスが取れないからです。特に、空調の基本である「換気」に対しては、よく理解しなければなりません。

今のコロナ禍では、店の改造などできるわけもなく、後付けの空気清浄機で凌ごうとしている場合が多いです。しかしそれとて環境を整えないと、効果も十分望めません。今回レポートしたように、今や空気清浄機は、ウイルスレベルの捕獲も可能になっています。

例えば、今まであげた要素を網羅している空気清浄機の例としては、ダイキン工業のACB50Xです。(2021年4月発売予定)などがあります。

画像: UVストリーマ空気清浄機ACB50X-S www.daikin.co.jp

UVストリーマ空気清浄機ACB50X-S

www.daikin.co.jp
画像: 設置イメージ www.daikin.co.jp

設置イメージ

www.daikin.co.jp

しかし、この高性能を有効活用するには、ウイルスを含む空気を空気清浄機に飲み込ませる必要があります。これは設置位置から初めて、いろいろな要素を考慮することが重要です。これこそAIですべきことだと思います。今後求めたれるのは「結果を出せる空気清浄機」。政府の様に、闇雲に「換気」を訴えることではありません。

空気清浄機は、まだまだ発展の余地があると思います。

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京散歩とラーメンの食べ歩き。

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